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ボーンズワールド  作者: ピタピタ子
14/17

旅行2

日本につくと入国手続きがはじまった。

「やっと日本戻れた!」

「うちはアメリカにまだ残っていたかったわ。」

「帰ったらママに頼んでおいた録画したドラマたくさん見るんだから。」

ラウラは楽しそうな女の子達を見ていた。

「ラウラ、どうしたんだ?」 

「何でもないわ。楽しそうで良いなと思っただけよ。」

荷物をずっと待っていた。中々見当たらない。

「ジョー、私達のあの荷物よ!」

俺達は自分達のキャリーケースを運びながら、税関の所まで行った。

「申告書類を出してください。そしたら荷物をこちらにお願いします。」

税関の言われる通り、キャリーケースを台の上においた。何も問題なかったのでラウラを待った。

「お待たせ。」

「待ちくたびれたよ。」

俺達は空港を出て、電車に乗り換えた。

「日本に行っても、皆骨になってたね。」

「世界的な現象なんだな。」

「骨の世界のほうが旅行しやすいわ。」

骨になっても平日なせいか忙しそうな人がそこそこいた。

浅草の街を観光した。前行った時と比べれば活気はなくなっていた。アメリカと同様日本も落ち込んでいる人がまだまだ多かった。

「お寺なんてこの目ではじめてみたわ!」

雷門を見て、声をあげた。

「何度行ってもすごい迫力だよな。」

「皆、お参りとかするのね。皆仏教徒なの?」

「そういうの関係なしに皆、お参りするんだ。」

「びっくりするわ。」

ラウラは何もかも新鮮な体験で驚いていた。

「すみません、写真撮ってくれませんか?」

「良いですよ。」

ある一人の男性が写真を撮ってくれた。記念の一枚というものだ。

「ありがとうございます。」

俺達はそのまま歩きで上野まで行こうとした。ついでに街の人にインタビューをしてみた。

「すみません、ドキュメンタリー取ってるものですが良ければ撮影に協力出来ますか?」

「はい。何の映画かね?」

70代の男性に声をかけた。撮影する内容を説明した。

「骨になって、何か変化とかありましたか?」

「変化しかないな。それも悪いことが起きた。まずは骨になったことだよ。ただでさえ歳で骨が丈夫じゃないのに。骨がすぐ折れそうだな。」

「お仕事などはされてますか?」

「わしは代々和菓子職人をしてるんだ。」

和菓子の写真を見せた。お茶の席に出そうな練りきりが多かった。

「皆骨になったせいで、空腹が無かった。食べなくても生きていける体になったんだ。だから和菓子を食べる人が誰もいなくなった。和菓子作りに情熱をかけたわしのプライドが傷つけられた!こんな世界なんて最悪だ。」

ウェディングドレス販売してる女性より深刻な感じがした。どう言葉をかけたら良いか分からなかった。空腹も感じなければ味覚も感じない。俺達からすれば空腹がないのは良いことなのだが、飲食店の経営者からしたら職人としての存在価値を問われる問題だろう。

「元の世界の方が幸せですか?」

「当たり前だろ!こんな姿でこんな状況じゃ死んだも同然だ!」

男性は突然大きな変化が起きた世の中に対して怒っていた。どんな状況でも幸せな人不幸な人どっちもいる。逆転した状況だ。

ラウラが提案をする。

「私ハンドメイドとか作ってるんですけど、和菓子って芸術だと思うんです。だから和菓子を使ったハンドメイド作品なんてあったら面白いと思います。ジョー、私日本語分からないから私の言ったこと通訳してくれる?」

俺はラウラの言ったことを訳して男性に伝えた。

「お嬢ちゃんふざけてるのか?和菓子は日本が誇る芸術だが、おもちゃじゃないんだぞ!」

「確かに納得行かないと思います。でもあなたが作品を作るなら私買いたいと思うんです。今の話は不快に思ったなら忘れてください。」

撮影はこうして終わる。

上野に行くと、美術館に行く人が多かった。公園では屋台や出店も多かった。

「これ可愛い!木の弁当箱?」

ラウラは木の弁当箱を手にとった。

「俺が買おうか?」

「大丈夫よ。その気持ちだけ受け取るね。」

彼女は嬉しそうだった。そんな表情がとても可愛らしい。可愛らしいのは彼女しかいない。美術館ではゴッホ展がやっていた。

「ジョー、ゴッホが好きなのね。」

「そうだな。ゴーギャンとかの作品も好きだけどな。昔の画家は悲惨な人生を迎えた人が多いな。もしあの時代に皆骨になったらどんな絵が出来るか気になるな。」

「想像もつかないことを考えるわね。」

「もしかしたら俺らも死んだ後に有名になるかもな。」

「変な冗談やめてよ。」

ジョークを言いながら、街中を見て回った。

新宿に行って、俺は道行く人何人かにインタビューをした。新宿も落ち込んでいる人でいっぱいだった。現実を受け入れきれてないのだろう。

「すみません、ドキュメンタリー撮ってるんですが良ければ撮影に協力出来ますか?」

「良いですよ。カメラなんてはじめてだわ。」

女性は少し緊張していた。女性にインタビューする。

「骨の世界になって何か変化ありますか?」

「私の周りで変化が起きました。周りを見ると落ち込んでいる人が多くて。何もできなくなった人もいました。」

「それではご自身に何か変化ありましたか?」

「ありました。」

「どのような変化ですか?」

「良い変化です。私、こんなこと言ったら変だと思うかもしれませんが、骨になってからの生活の方が楽しいです。外見に縛られなくなるから、こっちのほうが自分らしく生きられるんです。私、雑貨屋さんで働いてたんですけど義務づけられたメイクの規定がうるさくて、皆同じようなメイクに違和感を感じていたんです。本当はこんなのしたくなかったですよ。それにメイクしてる時間は労働に入らないんです。ある程度清潔感があれば私は問題ないと思うんです。あの時は外見に縛られずに働きたかった。就職活動だって、メイク講座とか嫌いで違和感しかなかったし、ファンデーションとか生理的に無理だった。それに男とか女とかの縛りも嫌だった。嫌々安定を求めてそんな道を歩んだ。私は本当は外見に縛られずに堂々と生きたかった。だけどそれが出来なかった。今は骨になったら皆外見なんて気にしてたら生きてけない。だからこそ今の生活が落ち着くの。」

女性は今まで誰にも言ってなかったことをどんどん打ち明ける。俺はひたすら話を聞いた。

「メイク自体は嫌いなんですか?」

「メイクそのものはたまにしたいと思うし、嫌いじゃない。ただ顔中に化粧品を塗りたくるようなのが嫌いなの。メイクしない女性は一人前ではないという人はまだいるけど、骨になってからそんなこと言う人もいなくなった。」

俺が女性の話を通訳すると、ラウラは女性を見て話す。

「人を外見で判断する方が一人前の人間じゃない。」

女性は続けて話す。

「私は骨になってやっと気がつきました。男性とか女性である前に人間だと言うことを。女性としてじゃなくて人間として生きたかったんです。だから今は私という人間として生きてます。」

「最後にメイクは何のためにするものですか?」

「自分を売り物にするためにするんじゃなくて、楽しむためにするものだと思います。もう一つは自分を引き立てるためですかね。メイクは隠すものではないと思います。」

中々面白い話を聞けた。

「どんなにメイクで隠してもいずれ骨になる運命は避けられないんです。それなら皆、周りが自分の顔をどう見てるか気にせず堂々と生きれたら良いなと思います。」

撮影は終わった。女性はかなり長く話した。ラウラは彼女にハンドメイドのぬいぐるみを渡した。

俺達は横浜や鎌倉なども観光した。日帰りで群馬県の高崎なども旅行した。

ホテルで韓国に行くための準備をした。

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