20.入学式&自己紹介
遅くなってしまいすみません。
2人はあの入試試験のスタート会場となった校庭に集まっていた。
「えーっと、それでは今から入学式を始めさせてもらうとする。まず最初に合格者の諸君には成績に応じたクラス分けがなされる。そのクラス分けを今から発表する。
Aクラス 入試結果11位から25位のもの
Bクラス 入試結果26位から40位のもの
Cクラス 入試結果41位から60位のもの
Eクラス 入試結果1位から10位のもの
と決めさせてもらった。今日からはそのクラスで動くように頼むぞ。」
突如として始まった王立学園の入学式はクラス分けから始まった。
クラスが発表されて、向かって右側から順にA、B、C、Eクラスというような順番で集合して隊列を組むように指示される。
言われた通りに隊列を組むとあの濃いメンバーたちがここぞとばかりにEクラスへと集まってくる。
「やっほーい。カイトもここにいたんだねー!名前がそれっぽいからもう怪盗になっちゃえー!
怪盗カイト何つって!!!」
頭おかしいナギさんの通常運転把握。
「先日はお見苦しいところをお見せしました親分。姐さん。わたくしが本当のアルレイアでございます。この前はちょっとお宝が近くにありすぎて興奮状態マックスになっていけないくせが出てしまっていたようですの。改めてよろしくお願いしますね。」
最初から衝撃映像。
スクープ!アルレイアの本当の姿とは!?
何か残念エルフのはずのアルレイアが礼儀を身につけたために、おとぎ話の中のような神聖さを持ち合わせ、所作一つ一つから気品が滲み出すお手本のようなエルフへと変貌していた。
「ねぇカイトー、この人誰?こんなまともな人見たことないよー?」
リリーの言いたいこと=王都でまともな人に出会ってない。確かにそうだな。このエルフも結局やばいやつってことは分かってるからな。
もしもほんとにリリーがアルレイアの正体についてわかってなかった時のために彼女の名前を呼び話しかける。
「アルレイア、この前のあの残念すぎるのがお前の本性じゃないのか?」
「いえいえそういう訳ではありません。わたくしはお宝を見つけるとどうしてかなんとも野蛮な下民のような振る舞いをしてしまうのです。ある程度経てば戻るのですが……。」
リリーは自分の懐に手を入れるとすぐにあるものを取り出す。
それはヘラクレスからのドロップアイテム。
「うわー。すごいお宝だー。やっぱり姐さんすごいです!いや、ボクももっとトレジャーをハントしないとダメだね!」
ダメエルフへとの変貌は一瞬であった。
もはやリリーはその様子を見てちょっと幸せそうな顔で、リーベルを見るのと同じような感じでただただ愛でていた。
本人曰く放っとけば一定時間で戻るらしいので放置しておこう。昨日は帰り道でふと死にたくなったとアルレイアが言っていたのは余談である。
毎日死にたくさせて上げるように努力します!
ゴルスラはどうなったかというと、なんとアルレイアの家のハウスキーパーになったそうだ。
あとからそのことを知った時のサクヤの反応を。
「ル〇バじゃん!」
続いてサクヤとノア、あとその取り巻きかノアのためのボディーガード役のような女性が一人いた。
ここは目線だけで牽制をしておき、今は接触はなしで何かあるのならまた後でとしておこう。
さらにその後ろには残念ながら知り合いのいないのか3人がそれぞれ緊張した様子で整列していた。この式が終わったらクラスメイトになる仲間だから仲良くしときたいなとは大いに思う。まともな人間とまだ友達になったことないからできればまともな人であることを願っている。
「おい、そこのEクラスのものたち、今は入学式中だぞ。少し静まれ。」
喝が入ったので黙るとしましょうか。
改めてこの入学式会場を見渡す。
皆の前で話しているのは副校長っぽい。
この前の入学試験で話していた校長は隣でゆっくりとした佇まいで全体を観察していた。
校長、副校長を含めた教員一同は生徒の前に出来ている大地の変形による魔法でできたステージ上にいた。
生徒達はその前に今は整列しており、そのさらに後ろには、、、観覧席のようなものがあった。
あまり人は来ておらずスカスカ状態なのがわかる。そもそも王都に在住でこの学園に入れるような素質を持ったものは意外と多くないのだ。
地域で実践を積んで力をあげたものが一旗上げるために来るのが一般的なのでなる。
つまり、そんなガラガラなはずの観覧席に1箇所に見覚えのある光景が、1箇所だけほかと違うオーラを振りまいている場所があった。
「制服姿のカイト様をしっかりと心のメモリーに保存しなきゃ!!!」
「なんで私まで付いてこなきゃならないのだ。」
「そんなのそこにカイト様がいるからでしょ!」
他に神様はほぼ来ていないし、来ていても地味な格好であまり目立たないようにしている。なのにあの2人はテンションを上げて目立つことこの上ない。こっちに近づいてこないように祈っておこう
「それでは次は新入生代表としてリリー・ゴールドさんお願いします。」
「はい!」
隣にいたリリーは返事をして、皆の前のステージの壇上にのぼる。
そしてマイクに向けて、、、
「長く話すことを誰も望んでないと思うので、簡素に行きます!これから1年精一杯頑張りたいと思いますー。ついでに言いますとこの学年の最強は私ではありませんー!新入生代表リリーゴールド。」
最後にニコッと笑ってステージから降りていく。
なんとも衝撃的な新入生代表挨拶。最初のただの注意事項的もの言いが全体の3割程を占める挨拶なんて見た事ない。
だが、リリー!ナイスだ!みんなも喜んでいるみたいだ……
「リリーちゃん可愛いよーー」
「はあ、リリーちゃんマジ天使」
「リリーちゃんは最強じゃなくていいんだよ。言わずもがなのさいかわだから!」
「聞いてる人が疲れないように短い挨拶。気配りができる子っていいよね。」
カイトのこめかみが少しピクピクしているのは言うまでもない。だがカイトはそんなことはみんな笑って流せる。最後にリリーが笑いかけてきてくれたのはカイトに決まっているから。。。
「最後リリーちゃん自分の方に笑顔向けてきたっす。マジ天使。もう死んでもいいです。」
「いいや、俺の方に笑いかけたんだ!」
俺の思考もリリーのファンの人たちと大して変わらないものだったっぽいな。なんかすごく恥ずかしい。
リリーが本当に見つめていたのはカイトだったので何も間違いは特にはなかったという部分に関してはカイトと周りの人達との大きな差であったのであるが。
そうしてリリーはカイトの横に戻ってくる。
「えへへー、後で怒られるかも……。」
言ってることとは裏腹にリリーの顔は満足そうだ
「えーでは次は校長先生お願いします。」
入学式の時にいたあの人がステージにのぼる。
「皆の者元気にしておるか!」
そのあと、驚きの出来事が起こる。
いい歳のダンディーなおじ様だったその校長の外見が見る見るうちに変わっていく。
最初に見えていた外見は段々と溶けていくように消えていき、下から現れたのはなんとナイスバディなお姉さんだった。
そもそも性別さえも違ったことに驚きを隠せない。
周りの皆もどうせ挨拶なんてつまらないんだろうなんて考えていた矢先のこのパフォーマンスに、男子の大半はナイスバディなお姉さんの登場に喜びの感情を露わにしていた。
「いやー、いい感じの年のおじさんのダンディーなイケボでこんなこと言ってみたかったんだよねー。っと紹介が遅れてすまない。私はこの学園の校長であるサラだ。これから1年間よろしく頼むよ。しっかりと学び、しっかりと戦いの心得を取得してもらえればいうことはないからな。この1年を君たちのできる限りで有意義なものとしてくれたまえ!以上だ。」
こうして校長の挨拶とともに、入学式は終わった。校長の挨拶の後には生徒の皆からの拍手が沢山集められたとも言っておこう。
そうして皆は最初に発表された自分のクラスへと移動していく。
「待って、待ってカイト様ー!ここで1枚記念写真をね!いいでしょ!私と撮ろうよー!!!」
面倒なことになりそうだと判断し流そうとした俺だったのだが、だんだん遠ざかるにつれてクロトの目には光る神の雫が溜まっていき、周りからの視線がそれはそれは痛かったので結局写真を1枚だけ撮ることとなった。
その前にまずこの神様はこのカメラをどこから手に入れたんだろうか。カメラなんてコウガシツとかいうものになると50万レイを超えることもあるとかいう高級品だと聞いたこともあるけどたぶんそんなことは無いよね!
こうしてクロトへのサービスを終え、リリーがリーベルと撮りたいとねだったのでそちらも一枚だけとって、俺とリリーは教室へ向かうこととなった。
そして構内を見ながら教室へ向かっていく。
学園の建物は木造の建築だ。建物の骨格から廊下や教室など見えている部分まで全てが木から作られている。
壁の木目がいい味を生んでいて、ほのかに匂ってくる木特有の匂いが森の中のあの木に囲まれていた生活を少し思い出させてくれる。
でもどうして石材などの上部なもので学園を建てるのではなく、木材という材質としてハッキリ強いとは言いがたいようなものを使ったのかは謎だ。
「この木材に私の支援魔法に似たような魔法がかかってるねー。」
「そういうことか。」
ひとりごちていたためかリリーが首をかしげている。かわいい。だが、木材を選んだ理由がわかった気がする。石などという魔法によるカバーがしにくそうなものよりも、最初がもろいため簡単に魔法による耐久性アップなどが可能となる木材で他の材質と同じような強度や、対魔法性などを得ることに成功しているみたいだ。
と、階段を上がっていくと俺たちの教室が見えてきた。
そしてその教室に入ると……。
「静かだねー。」
「そうだな。」
サクヤとノアとそのお付きの人以外が集まっていたが、みんな気まずそうな顔をしながらみんながみんな自分の席で小さくなっていた。
絶賛雰囲気に流されることしか出来ない男、俺は自分もその先達たちに習って同じ行動をとろうとする、が、もちろんそんなことをリリーが許してくれるわけはなかった。
「おーい。アルちゃーん!」
リリーがアルレイアを呼ぶ。
「何でございましょうか。」
気持ち悪い感じのアルレイアがそこにはいる。
「この学校になんかすごいお宝が眠ってるって聞いたことがあるんだけど……」
「お宝!お宝!その情報はまじ!?マジなんですね!よし今から行こう!」
さっきの事はあったけどやっぱり真面目の皮をかぶったヤバイやつであることにはわりなかったようだ。2回実験して同じ結果が出ればもうそれが真実だと言っていいだろう……
「カイト、この子はもう手遅れですー。」
リリーが楽しそうにこっちを見てくる。
うん。ただアルレイアを玩具にしてただけか。
そんな光景を見ながらこの部屋の廊下側の後ろの列の席に座っているナギから私も混ぜろビームが目から発射されているが華麗にスルーを決めております。
そこでサクヤとノアとあと一人が入ってきてそこに続いて担任の先生が入ってきたためにみんな一度席につく。
「担任の……バーーーん!サラちゃんでーす!」
口から擬音語発してる悲しい先生だ。
俺はひっそりと心の中でそう思いながら担任のサラちゃん……サラ校長を見る。
「あれ、サラ先生は校長なのでは?」
ナギがすかさず質問を飛ばす。
「えっと、教員の数が足りてないんで今年は私がこのクラスを持つことになっちゃいました!
例年はA〜Cの3クラスしかないのでどうにかなってたんだけど今年は君たちが特別優秀だから新しくクラスを作っちゃったんです!そして私は書類仕事から逃れて、今頃は楽しく副校長が書類とにらめっこしているでしょう。」
全てをぶっちゃけててすごい正直な人なんだなと思いました。まる。
サラ先生の容姿は黒髪黒目である。漆黒の髪が光が当たって出来るひかりの輪が波打つ黒髪と合わさっていて美しい。顔のパーツはどれも主張がそこまで強くないのだが、全体としてのバランスがこの世界で見てきた誰よりも美しいと感じてしまうお姉さん系の感じの美人さんであった。
「で、今日というとなんと!することがありません!」
えー。
「ということで自己紹介に今日を当てたいと思います思います!」
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みんなからは肯定の意の拍手がなる。
「では改めて私からやらせてもらいますね!
校長であるサラです!年は永遠の18歳です!
みんな、困ったことがあったらお姉さんにいうんだぞ!何でもしてあげるからね。あんなことやこんな事でも……」
ごく。
静かな教室に男子達の喉を鳴らす音が響き渡る。
「冗談はさておきこれから宜しくね!」
年下をからかうお姉さんって恐ろしい。うん、これが年上の魅力ってやつか。
俺の腕を地味につねっているリリーも恐ろしいけど。
この教室は5個の机が横に並びそれが2列という並びになっていて、俺とリリーは窓際の後ろ側の席を2つ確保している。
「それでは入試結果の逆順に自己紹介ということにしましょうか。」
「ひとつ提案よろしいでしょうか?」
今まではずっと黙っている印象だったノアが手をあげる。
「普通の自己紹介ではつまらないと思われるので、スキル魔法からひとつ手の内を明かすというのはいかがでしょうか。もし避けたいようであれば職業を言うことにしてもいいですし。」
いいんじゃない。
やろうよー!
しょうがないなー
誰も反対することは無かったためその提案が実行されることになった。
まず一人目。
黒いローブで肌が見えているところはほとんどなく、顔も覆面で半分ほどが隠れていた。
それでも、覆面の間から見える切れ長の空色の目元だけで彼女の素顔が美しいであろう事ははっきりと理解出来た
「名はナタリアだ。王都出身20歳。
スキルは……いえない。職業、暗殺者。……仲良くしてね。」
一礼してナタリアは座り、次の人の番だ。
この流れで職業だけ言うという流れが作られないと面白いのだが。
2人目
次はノアの番だ。
「皆さんご存知かも知れませんが私の名前はノア・カトレア・ローウェルです。王都の15歳です。私の持つ一つのスキルは『王家純血』といって、私の周りの味方を任意で強化することが可能となっております。私は王族の一員ですがそんなに畏まらずに仲良くなっていただければと思います。」
無難にまとめてきているしスキルも少し上手に逃げられた感じはするけど重要な情報とはなり得るからよしとしよう。
3人目
この教室に入って、カイトが一目見た時からなにか良く分からないけど親しみを持ってる男子生徒。
「ネルだよ。レガール村というとそこそこ辺境の村からここに来たんだ。僕は『性能強化』というスキルを持っている!このスキルはアビリティーを少しあげるのと共に自分の戦闘センスを上げてくれるスキルなんだよ。田舎から出てきたばかりで友達はいないし、可愛い幼馴染もいないから友達になれると嬉しいな。これからよろしくね!」
同じ匂いと思っていたのは辺境の村の匂いだったのか。なんとなくだけど仲良くなれそうな気はする。
茶色い髪の毛に目も茶色の光を反射させている。
容姿に関しては平凡と呼べるものだけど、人懐っこい感じの笑顔が周りの人に安心感を与える。そういうタイプのようだ。
席はカイトの前の席となっている。
4人目
ショートカットの薄い水色の髪に鋭い目つきをしており刺々しい感じの印象を受ける。だが、身長も高めで170センチ程となっており女子ウケしそうなカッコイイ女子みたいなそんな感じの女性である。
「名前はフローラ。17だ。相手を弱体化させることが可能な『氷点下』というスキルを持っている。口数は少ないがよろしく。」
ついでに付け足しとくとフローラはサクヤとノアとともに行動をしている。ノアのお付の人と思われるからなかなかやるのだろう。
5人目
眼鏡をかけて学者風とした感じの受ける男。
だが、服や体の至る部分に不自然な膨らみや何か危険物(?)が覗いているのだが。
「名前はマルセロ。年齢は18だ。私の家は王都で魔道具店をやっていて、私に出たスキルは『新製品開発』という。名前の通り魔道具づくりを手伝ってくれるスキルとなっている。もしなにか欲しい魔道具があれば言ってくれ。私はここに将来の顧客を求めてきたのだからな!ふふふふふ」
仕込んである多数の魔道具はその後、この学園の安寧を壊す恐れがあるとして一時没収され、これから校内には持ち込み禁止となったようだ。これで魔道具が見たくなったら彼の家の店へ行くしかないのか……。
あれっ?なんか逆に彼の商売に有利になっている気がするけど気のせいだよな?これもすべて計算づくなんて……笑ってやがる!恐ろしいやつだ。
そう言われると魔道具店に行きたくなってくる。
次からは知っている人たちの自己紹介が始まる。
まずとてもハイテンションな初代やばいやつ。
「ナギだ!みんなよろしくね!これでも一応ドイスの街の商人の娘で17才だよ!私は魔法がなんと二つも使えるんだ!しかも攻撃と回復!すごいでしょー!『魔源』っていうのでバビューンって攻撃できたり、『回復砲』っていうのでポワーンって回復できるんだ!」
やっぱりナギは魔法を隠す気がないようだ。
普通に説明にもなってないし。
「この学園には私を人間として扱ってくれる仲間を求めに来たんだー!人外認定されないように頑張るからよろしくね!」
最後に羽織っているローブを翻してかっこつけてすわる。その時にナギからはリリーにも負けないくらいの破壊力が見え隠れしている。
黒色の隙間から見える肌色ってなんかこう緩急をつけられてかえって良さを感じるよね。
絶対そのとんがり帽子とローブを脱いで、町娘の格好して大人しくしてればその紅玉の瞳に吸い寄せられるようにして沢山の男どもがよってくるだろうに。この上なく残念だ。
中身があれじゃあ俺はゴメンだけどな。
次は優雅な雰囲気(笑)を纏ったエルフが立ち上がる
「アルレイアと申します。年は秘密でお願い致します。クワトロというエルフの里から来ました。使える魔法は『太陽爆弾』と言います。火力の高いロマン砲となっていますが自傷、仲間も傷つける危険性があるためにほとんど使えないものとなってます。使わせないでくれると嬉しいです。人間の方達とそんなに関わってこなかったので仲良くしていただけると幸いです。ただ、お宝を見つけた時は豹変するらしいのでそこで手綱を話さないようにお願いしますね。
あと一人称はボクで、どうしても治らないのでできるだけ言わないようにしていることをお見知りおきを。」
ずるいよね。ただ真面目にしてるだけでエルフってこんなに尊いものに見えるんだろう。中身は多分俺らの2回りくらい上なんだろうけど……。
ここにいる人たちはサクヤグループを除いてさっきの残念エルフを見てるからまあ正体には薄々気づいているだろうけど。
と、そんなこんなで俺の番か。
ゆっくりと席を立ち、周りを見渡す。
「俺の名前はカイト・シルバー、ゼロの村出身だ。でも半分位は魔の森で過ごしてたかもしれない……。年は18で力はついこの前もらったばかりだ。俺のもらったスキルは『理想世界』。あらゆるものを反射するシールドを発生させるらしい。今まで同年代の友達(?)がリリーしかいなかったから新たに友達ができるといいと思っている。一年間よろしくな!」
ふぅ。なんとか挨拶は終わった。
同い年くらいの人たちの前で挨拶する経験なんて初めてでちょっと緊張してしまった。
横でリリーがニコニコしてるからそこまで悪くなかったってことかな?よし。
そして次は注目の、あるいは問題の勇者くんだ。
「やあみんな、自分はサクヤアカツキ。異世界から来た勇者だ。年は元の世界とこっちとでの時間に差があるからわかんないけど多分17才だと思う。自分の持ってる魔法には『聖なる雨』というものがある。簡単に言えば天から光の砲撃が降ってくる感じかな?雷に近いかも。それが威力調整も可能になっている。そんなところかな。
自分がこの学園に来たのはこの世界について学ぶこと、そしてこれから現れるであろう魔王を倒すための勇者とともに戦ってくれるパーティーを探すためだ。かわいい女の子は大歓迎家だからね。と、まあこんな感じで一年よろしく頼むよ!」
なかなか軽い挨拶だったけどその端々に少し力の込められた言葉が感じられたような。
女の子とか女の子とか女の子とか。
リリーの方向を見て言ってるんじゃない!
おっと危ない。つまらないことに時間を割いてリリーを見逃すところだったよ。
サクヤのことなんてどうでも良くなる最後のメインディッシュリリー先輩の登場だ!
「こんにちはー。リリー・ゴールドですー!年と出身はカイトと同じです!私の力は『凪一閃』だよ!どんな支援魔法でも発動できる優れものらしいけど、特定の方法以外では実際に使用しているところを見ないと獲得できないスキルなんだー!すごいでしょー!私は支援魔法使いなのに一位をとったんだ!
あとは剣士でもあるので宜しくねー。この1年間はこの校舎で迷わないように頑張りたいと思います!よろしくねー!」
「「この校舎でどうやったら迷うんだよ!」」
「え、私いつも魔の森に入る度に迷ってたから……」
「「「「よく生きて帰ってこれたな!」」」」
やばいこれ無限ループのツッコミ入るやつだぞ。
「だって私川で流されてたらいつのまにか村に戻ってたこともあるもん!」
「「「「「魔の森舐めてんのか!」」」」」
みんなのツッコミとリリーの噛み合わなさがコントのように見えてくる。
それもそのはず。魔の森は近づいただけでも死の危険が漂うと言われているところだ。そんな所に女の子1人で入ったら、自殺志願者としか思えないような行動に見えてしまう。リリーは一応首席入学なのだが。。。
「お前も相当苦労してるんだね。美人な幼馴染も羨ましいけど、僕は平凡な人生を送りたいよ。」
前にいる確かネルが、俺の事情を察してか話しかけてきてくれた。
「わかってくれるのか?それは嬉しいな。いつもリリーに振り回されて大変なんだよ。。。」
多分俺は今遠い目をしていることだろう。
「でも少し羨ましいけどね。俺の村には同年代の娘はいたけどあそこまでの美人さんにはあったこと無かったもんね。。」
「リリーと一緒にいれたのは正直嬉しいんだけどな。リリーは可愛いし。でも俺、一回年上のお姉さんとちょっと遊ぶのが夢だったり…………。」
背筋が凍った。
一瞬、自分がただの肉塊に成り下がるところを幻視したのだがそれは夢だよな?
目の前にいるネルの顔はちょっと怖いなー。
顔面真っ青で口が酸素を求める魚みたいにパクパクしてるよ!それチョーおもしろーい!
「カイト?」
「はい、なんでもありませんリリーさん。お姉さんよりも可愛い可愛い幼馴染と一緒にいたいなー。改めてそう思うなー。」
決して後ろを振り向かないカイト。
そこには般若しかいないことは分かっている。全ては目の前にいるネルくんが頑張ってくれたおかげで掴めている。ありがとうネルくん!君とはいいお友達になれそうだ。
「そうならそうと最初から言ってよー!」
リリーが元の調子に戻ったのか俺の背中へと飛びついてくる。背中にあたる二つの山の感触を楽しみながらリリーの甘えに応える。
感情の落差は世界一。
周りは嵐が去ったことに安堵している。
ネルくんは畏怖の目線で俺を見るようにもなってきてる気がする。
ただ、サクヤだけは遠くからじっと観察するかのように俺たちの方を見ているだけだ。
今日はまだ一日目だ。
これから楽しい学園生活が始まる(といいな)!
こうして自己紹介も終わり、学園初日は解散となった。
短編を書いてみたのでもし宜しければ下のリンクからどうぞ。
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