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幼馴染を勇者に……取らせねーよ!?  作者: 二人乗り観覧車
第一部 勇者がやってきた
14/22

14.『反射』

俺とリリーはギルドに戻ってきた。


できるだけとばして洞窟探索をしたつもりだったがさすがに洞窟までの往復2時間に加えて、探索2時間もすれば夕暮れ時へと差し掛かってしまうものだろう。


「えーっと。もうお2人はアサシンバッドを倒してしまわれたという認識でいいのですか?」


リーフさんがとっても困惑した顔でこちらを伺いながら聞いてくる。


「そ〜だよー。はい!これが今回の私たちの戦利品だよー!」


そう言いながらリリーはカウンターの上に魔石とドロップアイテムがぎっしり詰まった袋を置く。


お、置いただけでドンって音がするくらい詰まってるな。


「え、これ全部こんな短い時間で倒されたんですか?いや、ちょっとあなた達常識ってものを知ってますか?」


「俺たちの村だとこの程度だと逆に馬鹿にされるくらいだったんだけどな。」


「は、はぁ。」


もはや顔を諦めの色が征服しようとしているリーフさんはそのことは置いといて、いつも通りの業務をすることにするらしい。


「ではまずアサシンバットの討伐を示せるものって何かありますか?」


うーん。あの牙はここで見せるべきじゃないよな。


「はいこれでどうですかー?」


リリーはほかの魔石とは一回り違った存在感を示す拳大の魔石をリーフさんに渡す。


「えっ?これがアサシンバッドの魔石ですか?少し大きすぎやしません……いえ、何でもないです。これで討伐は確認できました。ただ、アサシンバッドにはいつも被害をたくさん受けているのでどんな倒し方をしたのかギルドの資料として教えてもらえませんか?」


リーフは考えることを放棄した。

倒したなら倒したというのが全てなんだろう。


でも少し気になる。


そんな心境だ。


「えっと。あっと。絶対に参考にならないと思いますけどいいですか?」


ちなみにこの会話を続けている時にギルド内の周りにいる者達は皆会話の内容に興味を持ち、またリーフさんの顔色の変化からただ事ではないとワクワクしながら聞き耳を立てていた。


「えっと。基本的に攻撃は跳ね返しました。」


「そ、そうですね。」


「攻撃をかわしながら最後に突撃攻撃をされたんですけど……」


ギルド内の人たちが気持ちカイトたちの周りに近づいているのは気のせいだろう。


みんな続きが気になって少し鼻息が荒くなっているのも気のせいに違いない。


「真正面から殴ってぶっ飛ばしました。」


「「「「「「何じゃそりゃー」」」」」」


ギルド内から間抜けな声が一斉にあがった。


「アサシンバッドってあれだよな。めっちゃ早いやつだよな。」

「あぁ。突撃体勢に入られたら終わりだっていうやつだよな。」

「と言うか俺はBランクだけどあいつとはできれば戦いたくないぞ。」


あちらこちらでたくさんのこの話題に対する話が盛り上がり始めていた。


そこで皆は気づく。


「あれっ?あの魔石の大きさおかしくね?」


誰かがそう言った。


「何だあれ。アサシンバッドってか強い割に魔石が小さくて割に合わないことでも有名だよな。せいぜいエラーバッドの3~4倍くらいだよな?」

「そのはずじゃないのか?何であれは7~8倍くらい、いつものアサシンバッドの魔石の倍あるんだ?」

「ユニーク個体だったのか!?」


またもや白熱した議論が始まってしまった。


そこに少し小さくなり気味でリーフさんがやってくる。

「えーっと。この雰囲気の中で渡しにくいのですが、報酬の30万レイです。」


「ありがとー。えへへーこれで美味しいもの食べれるね!」


リリーは30万レイを貰ってご機嫌だ。


「それであとの素材は買取ということでいいでしょうか?」


「アサシンバッドの素材以外でお願いします。」


そしてしばらくするともう30万レイが届いた。


リーフさんが言っていたことを付け加えておくと、俺の倒したアサシンバッドはユニーク個体と呼ばれる少し(少しどころではない)普通のやつよりも強い種類だったらしく、買取金額にも少しプラス査定が働いた。ラッキー。


そうして俺たちがカウンターを離れると。。。


「なあお前ら新人なのか?新人でこんな大物倒しちまったのか?ちょっと話聞きたいからそこで一緒に飯でも食わねーか?」


周りの人達がウンウンとうなずいている。


ちょうどお腹も減ったしそれもありかな。

俺たちもこの王都で少し交友関係を広げたいからな。


ただ、リリーに向けて不埒な目線を向けているやつにはあとでお仕置きが必要かな。


「あまり知り合いがいないので嬉しいです。ぜひお願いします。」


最初は丁寧にいい印象を与えておくべきだろう。


「なら隣にある店にまずは行こうか。」


そうしてみんなでゾロゾロとギルドの隣にある店へと向かう。


そこは典型的な飲み屋だった。

リリーの感想を聞けばわかりやすいだろう。


「絶対リーベルが来たがるよー!」


そんなところだ。


店に入り、席へと座る。

声をかけてきた人たちはここの常連らしく、いつも冒険の話を肴にお酒を飲んでいるらしく、店員さんとも仲が良いようだ。


「紹介が遅れちまったが俺はBランク冒険者のライドだまずなにか困ったことがあったらよろしくな。」


それからはみんながみんな自己紹介を始める。


正直言うとみんなから一気に言われたところで覚えれるわけないんだよな。

もちろん俺たちも自己紹介をする。


「’なあ、アサシンバットの突撃を殴って倒したってほんとか?」


「ああ、それは事実だ。だけど俺も壁までぶっ飛ばされたけどね。」


((((((((((((問題はそこじゃねぇ))))))))))))


「何で殴るだけであんな巨体でスピードのあるものを倒せたんだ?」


またある誰かが聞く。


「なんか俺の本能がこいつ殴れば勝てるんじゃねって囁いてきちゃって。気づいたら殴ってた」


「すげーなお前。それ命懸けだぞ笑」

「よくそんなことするな。俺なら無理だわー」


みんなからカイトの話はなかなか好評価である。


その間、リリーも女冒険者の方に囲まれていた。

こっちに関しては冒険者としての話というよりも、可愛いリリーを愛でてあわよくば自分の妹分にしたいという感じであった。


そんなこんなで最初は5時くらいだったのが気づくともう7時くらいに到達していた。


もちろんみんなの様子は……

リーベルの仲間が沢山できたと言っておきますか


ここからはみんながみんなリーベルで喋ると読みづらいかと思うので、標準語に戻してお送りしていきたいと思います


ここで話題はカイトたちの村と魔の森の話になっていた。


「お前らはどう育ったらそんなんになるんだ?その特殊な眼の色を加味しても強すぎるぞ」


「うーん。俺とリリーは元々魔の森に近いからという理由で、村で連日連夜修行をさせられていたんだ。10才になると突然ゴブリンの目の前に放り出されて戦わさせられたな。」


「え。マジで?」


「うーん。リリーたちはその後も年齢と強さが上がっていくことに違う相手に変えながら戦わさせられていたんだー。ゴブリンの次はオーク、オーガ、トロールといってそこからは森の中で放置されるようにまでなったよー。ここから村まで帰ってこーいってねー!」


「「「「「‥‥‥」」」」」


急速に酔いが覚めていく感覚に襲われる一同。

こんなこと自分がされたら、それから冒険したいなんて思えなくなるレベルだと魔の森を知っているものは思うからだ。


「そうして、狩ったものも大人に奪われてそんな訓練を積み続けたんだ。ちなみに一番強いのはミノタウロスだったかな。ワイバーンだったかな。」


さっきまでの様子とは打って変わった目線でカイトとリリーを皆は見つめる。


「俺はBランクで両方倒せるけど魔の森のワイバーンだろ?俺でもそれはギリギリだぞ。お前らどんだけなんだよ。」


そういうライドの言葉にみんなは頷くが、そんな生活していればそうなるかもしれないという納得というものも生まれていた。


だが少しこの場がしんみりしてしまった。

なので、


「まあそんなことは置いといて今はもっと飲んで新たな凄腕冒険者の誕生を祝うとするか!」


その後もみんなで親交を深めてさらに2時間の時間が過ぎた後解散となった。


もちろん最初にリリーに不埒な目線を送っていた男どもにはしっかりとお仕置きをしておいたよ。


お酒の中身にすこーし村の特産品の『激辛くん』を入れといたらみんな元気になったな。


そして帰り道。


話題は俺がアサシンバッドを倒した時のことだ。

リリーはやはり何かを感づいていたみたいだ。


「カイトってあの時そんなに感情が高ぶってたわけでもないよね。どうしてあんなこと出来たのー?」


「リリーに攻撃が当たって俺が怒らないはずがないだろ?」


そう真顔で俺は返すと次第にリリーの顔が熟していき、食べ頃になった頃には耐えきれなくなったのかリリーは俺から視線を外す。


「と、言いたいところだけどあれはほとんど発動してなかったな。多分少し発動したけどあまり補正がかからない程度だった。」


「ならどうしてそんな力が出てきたの?」


今度は俺をその宝石のようなオッドアイで見つめてくる。



「『理想世界インフィニットワールド』の本当の効果が発動したからだ。」


そう。

あの戦いで俺はあのスキルのすっかり忘れていた一文を思い出した。



・1戦ごとにステータスリセット



この文言の意味は『理想世界』を使って初めてわかることだったのだ。


「俺はこのスキルの反射(リフレクター)は相手の攻撃に対する迎撃の意味での反射だけだと思ってたんだがそうではないらしいんだ。」


「あのカマイタチが撃ててたのもこのスキルのおかげってこと?」


お、なかなか鋭いな。



「そうだ。このスキルの反射は相手の攻撃を相手に返すだけではないらしい。俺にもしっかりと『反射』されていたんだ。」


「カイトにも反射???」


「そう。相手のステータスや魔法という能力が俺に『反射』されていたんだ。だからこのスキルには1戦ごとにステータスリセットという一文がついたんだろう。そうしないと俺はずっと強化し続けていくからな。」


アサシンバッドとの戦いで、さすがに自分の生身の力だけでは殴り飛ばす前に自分がひしゃげていたことくらいはわかっている。


だが、あの時俺はアサシンバットのカマイタチや超音波を反射することにより自己強化が進んでいたのだ。だから柄にもない謎の全能感に酔いしれてあんなことをしてしまったと今になって納得している。


「私が能力で少しリードしたかと思ったのにやっぱりカイトには敵わないよー!」


少しすねた顔をするリリー。

それは一瞬で終わり、今度は満面の笑みでこちらを向いた。


「でもこれならカイトに私はいつまでも守っててもらえるから安心だねー!」


(可愛すぎるだろーーーーーー)


思わず抱きつきたくなるほどの衝動をなんとか抑え、その代わりという感じで頭を撫でる。


やめてリリー、俺をそんなチキンなやつを見る目で見ないで。


実際チキンだし、そのニヤニヤした顔も可愛いけど。


結局ヘタレな俺は手を繋ぐという妥協点に達し、いつもより少し頑張って帰るので精一杯だった。


と言っても手を繋ぐことでさえ大きな進歩と呼べてしまうのかもしれないが。




「ただいまー?」

「クロトいるかー?」


「はーいはーいここですよ!」


俺たちはクロトのホームに帰ってきた。

どうしてリリーがクロトのところに来るかって?


そんなの俺の身の安全とリリーのそれはそれは強い希望によるものらしいよ。


「おかえりなさい。今日の冒険はどうでしたか?楽しかったですか?」


「あぁ、アサシンバッドを倒したぞ!」


「なかなかの大物を倒したんですね。私もその勇姿、この目に収めたかった。そしてその光景を何度も脳内再生エヘヘ」


これはスルーが得策かな……


あれっ?


何故か奥からすごいいい匂いがするんですけど。


「さすがクロト。私も帰ってくるのを見越してたんだねー。」


「それはもちろんです。そこで、私をアピールするにはこれしかないと思いまして。」


はいドーンというかけ声とともに後ろから出てきたのは美味しそうな料理の並べられたテーブル。


新鮮な野菜が贅沢に使われた彩りの良いサラダ、しっかりと煮込まれていてその匂いだけでヨダレが出てきそうなほどに食欲をくすぐってくるシチュー、その真ん中には鳥の丸焼きまで置いてあった。


「すごいな。こんな美味しそうな料理初めてみたかもしれない。」


「私の料理はーー!」


「いや、リリーは料理は壊滅的というか、うん。個性が強すぎるんだよ!」


そんな会話をしている間も幸せそうなちょっと笑みで崩れた顔をしているクロト。


「リリーちゃん!料理は大事なんですよ。主人公が料理で男を落とすのは超王道なんです!」


若干理解出来ないのだが多分これも少女漫画(バイブル)とやらから来ているに違いない。


それを言ってしまったら元も子もないのに……





それからは美味しく3人でご飯を食べた。


クロトの料理は見た目通りとても美味しく俺もリリーも大満足。

田舎の村では絶対にこんな贅沢出来ないと思って少し食べすぎてしまったくらいだ。


「そういえば、明日1日私に時間をくれませんか?」


「明日1日ー?予定は決まってないけどどうするカイトー?」


先ほどとはうって変わってこの女神にしては珍しいくらい真剣な目をしてこちらを見ている。

そもそもその目線からはnoという回答が元々許可されていないようにも感じるが。


「ちなみに何をするんだ?」


クロトはにやりと笑う。


「明日国王のところに行きます。」


「「国王!?」」


「ちなみにリーベルと話し合った結果なのでこれは決定事項なんですけどね。もうアポも取っちゃいました!」


少し茶目っ気を乗せたクロトの言葉だがカイトとリリーは凍りついていた。


カイトたちは辺境の村の出身、つまりど田舎者だ。そんな自分たちが国王様に会うなんてという念に囚われていた。


……国王よりも本当は偉いはずの神様たちへの行為は棚に上げて。


「というわけで明日王城に行きますので把握をお願いしますね。」


こうして俺たちの明日の行動は決まった。


と、そこで忘れていたものを思い出す。


「今日はクロトにプレゼントがあるんだけど、、、」


「えっ?」


驚きと期待という二つの感情をうまく顔にはりつけながらこちらに目線を飛ばしてくる。


「アサシンバッドの牙です。」


そう言って懐のポケットから今日倒したアサシンバッドから得たそれを取り出す。


「このアイテムにはねー認識阻害の能力がかかってるらしいんだー。あとは一つ魔法が使えるようになるのー」


「そういうことだ。」


「えっ?まさかのユニーク個体を倒しちゃったわけですか?」


「そうだな。」


否定してもさらにめんどくさくなりそうなので肯定し、話をまとめにかかる。


「もし、神様たちの中で立場が低く肩身の狭い思いをしていたのならそれを付けて歩けば多分一般市民くらいの認識になると思うぞ。それとカマイタチの魔法も入っているからいざとなったら使ってる自分の身を守ってくれよ。まぁここでそんなことしたらする前に死んじゃうけどな。」


「カイト様…………ウルウル」


ちなみに後から聞いた話によるとユニーク個体は一体につき1つ普通の個体とは異なる魔法を持っているらしい。

つまり、今回倒したアサシンバッドの持っていたカマイタチもそうだったわけだ。


というわけで明日は国王様にも合わなければいけないらしいし、しっかりと今日かいた汗を流して寝て明日に備えますか。







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短編を書いてみました。 「再開の救世主(メシア)~精霊と英雄の世界樹による奇跡」 もし宜しければ読んでみてください https://ncode.syosetu.com/n0547ev/
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