表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

335/336

【第335話】天音ちゃんのアイデア

「 具体的にどうしましょうか?」


 天音ちゃんが尤もな質問をしてくる。


「うーんと、喜怒哀楽の”喜”は大丈夫そうだから残りのどれかだね 」


 ”喜”は俺が担当すれば良いんだから、何とかなるだろう。


「”怒”は協力してくれることになった以上できないと思いますが……」


 さすがに、協力してくれるっていう天音ちゃんに”怒”をお願いするって、それはないか……いきなりヒール役を頼むっていう話になってしまう。


(まあちょっと、天音ちゃんのヒール役も見てみたいような気もするけど……)


 と、そんなことを考えていると、陽花に見透かされてしまった。


「また何か、不純なことを考えていましたね?」


 いやいや、さっきはカッコイイって言ってくれたのに……どうやって人の考えを読んでいるんだ?


「またって、どういうことだよ」


「先程は、私のことを学術的に考えていたようですので、カッコイイと表現しましたが、今回は天音さんのことのようでしたし、鼻の下が伸びていたようですので……」


(えっ、うそ? まさか?)


 と思って、鼻の下を触ってみると……


「比喩表現ですので、実際に鼻の下は伸びませんがそういう兆候があったということです……やはり不純なことを考えていたのですね?」


 やばっ、誘導尋問に引っかかった……しかし、かすかな変化から人間には見分けることのできない真意を見抜くというのは、AIの特性だな。


 天音ちゃんは、「先輩が私に対して不純なことを考えて……」とかなんかつぶやきながら顔を赤くしてる……しまった、これって言葉にはしてないけどセクハラだな。


 しかし、感情が戻ってきたら急に攻撃的になったけど、どうしてだ?


「何か、俺に対して当たりが強くない?」


「おそらく、”喜”と”怒”だけが戻った状態では、アメとムチの繰り返しになるのではないかと……」


「俺にはムチばっかりみたいだけど?」


「そうですね、協力していただいている天音さんにムチはひどいと思いますので」


 あっ、俺一人に対してアメとムチがくるわけじゃなくて、天音ちゃんにはアメ、俺にはムチなのか……それもひどいと思うけど……


 感情が一部だけ戻るのも考えものだな。


「なるほど、部分的に感情が戻るとそうなるのか……」


「大丈夫です。涼也さんの考えていることを予測するというのは、無感情のときでも行っていますので……言うか言わないかの違いだけです」


 そうだったのか……無感情のときは”怒”の感情が無いから何も言わないだけで、バレてはいたんだ。


「でも、”怒”の感情はいつ戻ったんだ?」


「2年生の女の子と仲良くしようとしたときです」


「えっ!? 先輩が2年生の女の子と……」


「いやいや、自己紹介しただけでしょ?」


 あれで仲良くなれるなら、世界中の女の子と仲良くなれるんだけど。


「さり気なく情報科学科をアピールしていましたよね」


「いや、あそこでまさか情報科学科に興味を示すって分からないだろ」


「確かに普通は分かりません……ですが、そこで偶然当たりのカードを引いてしまうのが涼也さんですので」


 ……ひどい風評被害だな。


 天音ちゃんも猫のような目でこちらを見ている……これは一体、どういう感情なんだ?……猫ににらまれたネズミ?……いや、それはヘビとカエルか……


「……すごい……陽花さん、涼也先輩のことをすごく理解しているんですね」


 変な風に理解されているような気がするが……


「そうすると、”喜”と”怒”は先輩におまかせするとして、残りは”哀”と”楽”ですね」


「”哀”は難しいんじゃない?」


「でしたら、”楽”ですね……」

 

「そうしたら、天音ちゃんの思いつく方法でいいからやってみて」


「えっ!? いきなりですか?」


 しまった、家庭教師のときのクセがでてしまった……”まず、自分の思いつく方法でいいからその問題解いてみて”って、口癖になるくらい言ってたからな。


「ごめん、家庭教師モードになってた」


「あっ、それでですね……何故か既視感があるような気がしてました」


 それで通じてくれたか……


「私の考えで良ければ、一つ案がありますが……」


「えっ、あるの?」


「先輩、自分で振っておいてそれはひどいです」


 あっ、いや、確かにそうだな……


「ごめん、その案聞きたいです」


「はい、分かりました……えーっと、女の子が楽しいと思える一般的なことなんですが……」


 なるほど、女の子目線というのは俺には考えつかないな。


「楽しいだけじゃなくて、先輩にも関わってくることなんですが……」


(俺に関わってくること?……なんだろう、それ?)


「それは……」


 俺と陽花は、その考えを聞いて、なるほどと納得したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ