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【第269話】タブレットと激辛料理

「夕花ちゃん、タブレットが届いたわよ」


 朝、柊木先生に呼び止められた。


「タブレットですか? あ、はい、ありがとうございます」


 そっか、タブレットは前の学校と機種が違うから新しく用意してもらうことになってたんだっけ。


「前の学校とは違うタブレットなのよね、使い方を教えるわね」


「説明の紙があれば大丈夫ですよ、兄が情報系の大学生なので」


「あら、そうなのね、お兄さんすごいのね」


 この前、メッセージアプリのQRコードの出し方を教えたばっかりだけど……まあ、嘘はついていないから良いか、使い方は自分で調べるけど……


「それほどでもないです……クラウドに入るときのパスワードはどこですか?」


「えーっと、パスワードは……この紙ね」


 これがあれば、スマホからクラウドに入れるんだよね……


 正直、教科書も全ページ取り込んだから、必要なのは映像コンテンツとか、クイズアプリとかの補助教材だけかな。


 Bluetoothのキーボードとかマウスに直接接続しちゃえば、タブレットから指で入力しなくても、1秒間に5,000文字くらい入れられるんだけど、さすがにそれは駄目か。


「ありがとうございます! 前の学校と違うタブレットですけど、やれることは同じみたいなので、お友だちにも聞きながら使ってみます!」


 タブレットもらった嬉しさを表現しつつ、教室に戻ると……


「あっ、夕花ちゃん、タブレットもらったんだ!」


 香菜ちゃんが、声を掛けてくれた。


「うん、前の学校のは返しちゃったから」


「そうなんだ、違うタブレットなの?」


「そうだね、ちょっと違うけど、中身は似てるよ」


「えーっ、すごいね、2つも使えるなんて」


 先生には、バレないようにしないといけないから、前の学校の話をしないといけないんだけど、香菜ちゃんに嘘つくのはちょっと心苦しいな……


(実は私アンドロイドなんだ、なんて言ったらどうなるんだろう)


 妄想好きの女の子扱いだよね、きっと。


「なんだ、今ごろタブレットもらったのか? 俺なんて家にスマホがあるんだぜ」


 ――達也がマウント取ってきた。


 どうせ、キッズスマホでしょ……私なんか、最新のスマホ基板が内蔵されてるからうらやましいどころか、ちょっと可愛そうになってくるけど、まあ、相手してやるか。


「ふーん、それって便利なの?」


「べ、便利に決まってるだろ、スマホなんだから」


 スマホって、入れられるアプリによって、便利さが変わってくるからね。


 たいして使ってないとみた。


「タブレット便利だから、夕花はこれがあればいいかな? みんなとお揃いだし」


「べ、別に、タブレットはいいんだよ! スマホならゲームだって出来るんだぞ!」


「夕花ゲームやらないもん」


 試しにMMORPGをやってみたら、アカウントがBANされたし……


(人間の処理スピードじゃないからね、BOTだと思われたのかな……あながち違うとも言えないし)


 まあそんな、すぐ消えちゃうデジタルデータのために貴重なリソースを割くくらいなら、色んな会話をして、学習に使ったほうが、有効な時間の使い方だ。


「な、なんだよ、優等生ぶりやがって」


「夕花、みんなとお話してる方が好きなんだ……だから、今もこうやってお話してると楽しいんだよ」


 そう言うと、達也は驚いた表情をした後、顔を真っ赤にして、そそくさと退散していった。


 ――ふふ、勝ったな。


「……夕花ちゃん、すごいね……前の学校でもモテたでしょ」


「えっ、なんで!? 全然そんなことないよ!」


 どこにモテ要素が?


 お兄ちゃんにはモテたいけど、小学校で目立っちゃいけないんだよね、平穏無事に過ごさないと……


(もしかして、天然!? ぜったい達也ってば、夕花ちゃんのこと好きだと思うんだけど……)


 男心を全く分かっていない夕花だった。


* * *


「ただいまー」


「おかえりなさい、夕花ちゃん」


「あれっ、お兄ちゃんは?」


「それが、陽花ちゃんの修理しに、実験室に行っちゃったのよね」


 ……えっ?


 なにそれ、確かに学校にいるときは連絡しないって言ったけど、重要な案件は連絡してほしいんだけど。


 せっかく、タブレット見せようと思ったのに……


「どこか壊れちゃったの?」


「うーん、壊れたっていうほどでも無いみたいなんだけど、頭をぶつけちゃって、カラカラ音がするようになっちゃったのよね」


 中のネジが外れたとかかな?


 それくらいで実験室に行かないといけないのも考えものだね……


 部屋が2つになったら、応急処置くらいできるように、設備を整えてもらうっていうのもありかな。


『お姉ちゃん、なんで連絡くれなかったの!』


 実験室経由の通信を使で、そう呼びかけてみるが……


 ――あれっ、返事がない。


 まさか、本格的に壊れた!?


『お兄ちゃん、そっち大丈夫?』


 ――こっちも既読がつかない!


 なんで?


「全然連絡が無いのよね、どうしちゃったのかしら」


「お姉ちゃんと連絡がとれないんだよ。もしかして壊れちゃったのかも……」


「本当に? 普通に歩いて出掛けたけど……」


 いや、元気だった人が急に……なんていう話は、ネットにいくらでも転がってる。


 修理不能ってことはないんだろうけど、もしかして大事な回路だったとか?


 どうしよう、怒ってる場合じゃなかったかも……


 ――その時、スマホに連絡が来た。


『うん、今から帰る』


 ……いやいや、三千花お姉ちゃんから聞いたから実験室行ったってことも大したことなさそうってことも知ってるけど、何この返信!


 こーれーはー


 絶対お仕置きしないと……


「三千花お姉ちゃん、晩御飯、夕花が作って良い?」


「えっ、いいけど、何作るの?」


「激辛、麻辣湯麺だよ、三千花お姉ちゃんのは普通の辛さにするから」


「私も激辛で良いわよ、今、女の子に人気なのよね」


 あれっ、もしかして、お仕置きにならない!?


 そう思いつつも、唐辛子と花椒を取り出し、スープの仕込みをする夕花だった。

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