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【第252話】事前学習

「お兄ちゃん、早く行こうよ」


 夕花が俺の手を引っ張り、俺が三千花の手を引っ張る。

 人混みの中で、はぐれないようにしているのだが、ちょこちょこと動き回る夕花の動きにも気を使いつつ、俺と三千花が周りの人にぶつからないように注意しているため、まだ買い物も始まっていないのに、神経がすり減ってきている。


「もうちょっと、ゆっくりで良いだろ、急ぐ買い物でもないんだから」


「でも、ネクタイとかって選ぶのに時間かかるんじゃないの?」


「どうせ、就職活動に使うネクタイなんだから、真面目そうに見えるのが1本あれば良いだろ、Yシャツは2枚は欲しいけど」


 そう、今日は面接とかに着ていくための服を東京最大のターミナル駅に買いに来てる……といっても、スーツは入学式のときに、リクルート活動にも使えます的なのを買ったので、Yシャツとかネクタイとかがあればいい。


「Yシャツは1枚持ってるのよね、アイロンはうちから持ってくればかけてあげられるけど、形態安定にしておいた方が良いわね」


 もはや、その辺は三千花の意見を100%取り入れるつもりだ……そもそも、うちにアイロンがなかったし、毎回アイロンかけるのがどれだけ大変なのかも分からない。


「夕花もアイロンかけてみたいー」


「買ったら、最初は畳みジワがついてることがあるから、一度アイロンをかけておくといいのよね、帰ったらかけてみる?」


「うん、楽しみー」


 三千花に時間が無いときでも、夕花がかけてくれるなら助かるな……よし、帰りに三千花のアパートにアイロンを取りに行こう。


「それにしても、広いねー」


「また迷子になるなよ」


「迷子じゃなくて、待ち合わせに失敗しただけでしょ、夕花は悪くないし」


 まあ、確かに、夕花のせいで会えなかった訳じゃないし、穂乃花ちゃんにずっと付き添ってくれてたんだから、迷ってはいないか。


「ごめんごめん、まあ、はぐれないように注意しよう」


 それにしても、日曜日だというのもあるけど、すごい人の数だ……


「ちゃんと駅の周辺地図まで含めて学習してあるから、大丈夫だよ」


「ん? どういうこと?」


「実験室のコンピュータを使って、あらかじめ夜間に学習しておけば、昼間も学習した結果を使って思考することができるから、何でも聞いてくれていいよ」


「そうなんだ……もしかして、俺たちより詳しいってこと?」


「そうだよ、何日か前に言ってくれれば、調べて学習しておけるから、ローカル情報を会話に混ぜることができるよ」


「じゃあ、紳士服を売ってるお店も何件か知ってるってこと?」


「知ってるけど、一番リーズナブルなお店に案内するから、そこで全部買っちゃいなよ」


 ばっさり結論出してきたな……学習した意味とはいったい……


「お昼ご飯の美味しいお店とかも分かるのかしら?」


「うん、お昼に食べたいもの言ってくれれば、案内するよ」


 ガイドさん付きで買い物できるってことか……

 前回は、急に予定外の駅で待ち合わせることになったから、学習機能が使えなかったけど、前の日から行くのが決まってるなら予習できるのか。

 今度から、出かける前に予定を伝えておくようにしよう。


* * *


「Yシャツとネクタイはあっという間だったね」


「Yシャツはサイズで決まっちゃうし、ネクタイはリクルート用だっていったら、数種類から選ぶだけだったからな」


「他に買いたいものはないの?」


「春物を買っておいたほうがいいんじゃないかしら、子供服の」


「そうだな、小学校に着ていく服を選ぼうか」


「えっ、夕花の服? いいの?」


「今、一番必要なのって、それだろ」


「ホント! じゃあ、こっちだね」


 嬉しそうにする夕花に連れられて子供服売り場に行くのだった……


* * *


「これ可愛いわね、夕花ちゃん、着てみて!」


 三千花に着せ替え人形にされてる夕花……ワンピースとか、セパレートとか、色々あるんだけど……


「どれも、短いスカートばっかりだな」


「なに、お兄ちゃん、もしかして夕花が短いスカートで学校行くのが心配?」


「いや、そういうわけじゃないけど……」


「大丈夫だよ、こっちはスカートに見えて、実はつながってるし、ワンピースとかこっちのミニスカートとかはホントに短いけど、学校に行くときは、下にスパッツとか履けばいいんじゃない」


 学校に行くときだけなんだ……


「家では、お兄ちゃんが覗かなきゃ、誰も見ないでしょ」


「覗くか!」


「じゃあ、平気だよ……まあ、前日までに言ってくれたら、小学生コーデ調べといたんだけどね」


 あっ、さっきの事前学習は、こういうのにも適用できるのか……それなら、あらかじめ夕花の服も買うかもって、伝えとけばスムーズだったか。

 

「はい、夕花ちゃん、これとこれ、試着してみて」


「うん、分かった、着てみるね」


 今回、学習はしてないので、三千花の選んだ服を着せられて、良さげなのをカゴに入れていく……


 結局、俺の買い物より、大量に購入することになった。


 小学校私服って、面倒くさいな……男子なら似たような服毎日着ていっても、汚れてなきゃ良かったんだけど、女子はローテーションできるだけ無いと駄目らしい。


 女の子の買い物って、大変なんだな……


 まあ、夕花の洋服代は会社の経費で落ちるらしく、夕花が「領収書ください」ってお願いしてて、店員さんが戸惑ってたけど。


 ちなみに、ランドセルも見たんだけど、立て替えられる金額をはるかに超えてた……ランドセルって、こんなにするんだ……


 それは向田さんに言って、用意してもらった方がいいな。


 とりあえず、就職活動と小学校に来ていく服を無事購入できたのだった。

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