エサの蒔きあい
「どういうことだろうね。『征服計画書』とはまったく違うことを言ってる」
「いまはお互いに餌の撒きあいだね。それで相手がどうでるか、様子見だ。大統領は「友好国」なんて言ってたけど実際、敵国なんだから。すぐに手の内を明かすようなことはしないよ。互いに見えないように交渉をしてるようなものだね」
サマンサとはったんは下水道の穴ぐらで枝子たちの思惑を詮索しあっていた。
「でもこれで一応は、あひるランドのダニ騒動は落着くよ。あいつらがやってることなんだから、止めればすむことだからね。それで終わりじゃないだろうけど」
はったんが思案顔で言う。
サマンサは頷きながら、
「取りあえず、ぼくはあひるランド軍への援軍要請を任されたみたいだから、急いで連絡しなきゃならない。軍隊の再編や志願兵募集はどうなっているだろうか。大丈夫かな。アヒル防衛大臣にこの情報を知らせないといけない。はったん行ってくれるか?」と尋ねた。
「大丈夫。下水を走ればすぐだ。地面の下だから誰にも見つからないよ。任せてよ」
はったんは確信を持ってそう答えた。
ドバトであるサマンサにとって国境越えは難しい。蚤ヶ島新政府に何を勘ぐられ追跡されるか分からない。一方でモグラのはったんであれば下水道を走ればすむことだ。簡単なことだ。しかも地面の下の行動であり新政府に知られるはずがない。いままでもそうだったとはったんは思っていた。
(つづく)




