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採掘

鉱石の採掘は重労働だ。

近代的な機械を持たないドワーフ達は全て自分たちの手で行わなければいけない。勿論ツルハシ等の道具は使うが、それでも過酷なことには変わりないだろう。

だが、今回はいつもとは違う。地属性魔法のエキスパートであるホビット族のフォルがいるのだ。


いつもと同じようにツルハシで採掘を開始しようとしたルミルにフォルは待ったをかけて壁に手を当てる。

フォルは魔力を壁に流して魔法を放つと硬い岩の壁は瞬時に砂へと変化した。

それを見てルミルはあんぐりと口を開いたまま固まる。

硬い岩盤がどんどん砂になっていき、鉱石だけが中から出てくるという不思議現象にルミルは自分たちドワーフのしてきた今までの苦労は何だったのかと膝を付いた。

フォルが壁を砂に変えてルミルが砂の中から出てきた鉱石を荷車に持っていく。自分が鉱石を掘り出そうと張り切っていたのもあって腑に落ちない顔でルミルは鉱石を運んだ。

魔法で岩盤だけを砂にしているので鉱石は傷が付いておらず完璧な状態で出てくる。それがまたルミルのプライドを傷つけた。


1時間程で一回では運びきれないほどの鉱石を入手したフォルとルミルは採掘を止めて帰ることにした。

手に入れた鉱石はかなりの量だ。これだけあれば武器だけでなく、全身鎧を作ったとしてもおつりが出るだろう。


「予定の半分位の時間で何時もの倍以上の鉱石が取れるとは思わなかったわ。」

「そりゃ良かった。じゃあ蜘蛛に見つかる前に帰ろうか。」


荷車は鉱石が沢山積んであるからか重くてバランスが取りにくい。2人は協力して鉱石を落とさないように慎重に運んでいく。

入口まで来たら今度は持ってきたリュックに鉱石を詰め込んでいった。2つのリュックをパンパンにしたら、松明を消して外に蜘蛛がいないかの確認をする。

重い荷物を持った状態で蜘蛛との遭遇は避けておきたい。重い荷物が無くても逃げるのは難しい相手だ。それにフォルとルミルの2人だけでは蜘蛛には勝てないだろう。


既に太陽は沈んでいて外は暗くなっていた。月明かりだけが頼りなので蜘蛛がいるかどうかは良くわからないが、これは命に関わることなので目を凝らしてしっかりと確認していく。

まずは近くに有る蜘蛛の巣に蜘蛛が帰っていないかの確認だ。暗くてよく分からないが見た限りでは蜘蛛がいる感じはしない。

フォルとルミルはできるだけ音を出さないようにゆっくりと鉱山を出た。

歩くたびにガチャガチャとリュックから音がするが、幸いなことに直ぐに何かに襲われることはなさそうだ。


周囲の警戒をしながら重い鉱石を背負って歩くのはかなり辛い。

歩くのは遅くなるし、息もすぐに上がってしまう。精神も擦り切れそうだ。しかし歩みを止めれば何かに襲われそうな気がして止まることができなかった。



フォル達はドワーフの村まであと半分という所まで来て、一旦休憩を取ることにした。

2人は湧水で出来た小さな湖の辺に座って固まった体をほぐしていく。

まだ夜は明けそうもなく、周囲は暗いままだ。

湧水で出来た湖は冷たく、熱くなった身体を冷ますのには丁度良い。

しばらくノンビリしていると、ルミルがポツリとフォルに呟いた。


「ねぇ、フォルは仲間の仇を討つために武器が欲しいのよね。」

「そうだよ。沢山の仲間が赤アリに殺された。俺は運が良くて生き残ったけど、親しかった奴等もみんな死んじゃったんだ。」


フォルは初めての食料採取で起こった事をルミルに話した。

あの時のことを思い出すだけで今でも吐きそうになる。レアズが食われていくシーンは今でも夢に見ることがあるくらいだ。

あの赤アリを殺さなければ、自分は何時までも過去に縛られたままだろう。そうフォルは考えている。


「フォル、その仇討ちに私も参加していいかしら?」

「………?別にいいけど、なんで?俺に同情したとかなら止めた方がいいと思うけど。」

「私も両親を赤アリに殺されているのよ。同じ赤アリじゃないかもしれないけど、アリは私の仇でもあるの。」


―――ガサリ


突然草むらが揺れた。

フォルとルミルは揺れた草むらの方を見る。

そこにはフォルの何倍もの大きさの小蜘蛛がいた。

かなりの大きさだが、これでまだ小蜘蛛のサイズというのだから嫌になる。

しかし、幸いにも小蜘蛛だ。しかも1匹だけ、それならまだ何とかなるかもしれない。


フォルとルミルは剣を抜いて構える。

小蜘蛛もそれを見て直ぐに戦闘態勢にはいった。

小蜘蛛とはいえ蜘蛛は蜘蛛だ。フォルの何倍もある巨体とそれに見合わないスピードは確かに驚異だと言える。

糸に武器や身体を捕らえられればそれだけで苦戦を通り越して死につながるだろう。


「足を優先して狙いましょう。まずは機動力を落とさないと。」

「異議なし。あの細い足なら当たれば直ぐ斬れそうだしな。」


小蜘蛛はまだ生まれたばかりなのか、それとも弱っているのか動きは思ったよりも遅い。

突進は落ち着けば避けることも簡単だ。今のところ糸の攻撃は無いが、糸の攻撃があったとしてもこれなら避けるのは簡単そうにみえた。



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