7.こどくなたたかい
さいごのてきをまえにしてこどくなたたかい。けっしてまけるわけにはいかない。けんがおれても、あきらめない。ぼくにはたくさんのなかまがいる!
帰路、俺はいつものコンビニで晩飯を物色する。この前は限定の極太カップラーメンを食べたがあれは五分待たなければならないタイプだった。普段はここまで長いものを選ぶことはないが、たまにはああいうのも悪くない。
今日は何にするかな。俺はカップラーメンの棚を物色するが、いまいち心震えるものがない。
「……カップ麺、やめとくか」
医者から高血圧と言われているのだからたまには健康にいいものでも食べるか。俺はコンビニで何も買わずに近くのファミレスへと立ち寄る。
十九時五分。自動ドアをくぐる。無愛想なやる気のない店員が顔を出す。見た感じ、大学生のバイトといったところだ。「いらっしゃいませ」の一声もなく、席に案内される。
俺も若い頃は斜に構えていた時期もあったものだとなぜか思い出す。
注文は最近流行りのセルフオーダーで、豆腐ハンバーグとサラダセットを選ぶ。ドリンクバーは頼まずに、俺は席で配膳を待つつもりだったが、催したためにトイレへと向かう。
それにしてもやけに静かだと思ったら、みな勉強や動画サイトにご執心のようで、おしゃべりをしているようなやつがいなかった。もっとこの時間なら子供連れや高校生が駄弁っているとも思ったが、今日は全くと言っていいほどいなかった。
疲れた日にはちょうど悪くないが、気持ち悪いほどの静寂だ。
気のせいか食器の重なる音、店員の足音、呼び出しボタンの電子音、ありとあらゆる環境音すらも遠くに聞こえる。
トイレに入り小便器で用を足すと水洗が勢いよく流れていった。渦はぐるぐると回り下水へと吸い込まれていく。
席に戻るとタイミングを見計らったように豆腐ハンバーグとサラダセットがテーブルに置かれていた。
湯気が立ち上るハンバーグに箸で割り込みをいれ、口に運ぶ。チェーン店らしい良くもなく悪くもない味だ。最近はこういったセットを頼むだけでも千円近くかかる。
上下の第二大臼歯で豆腐とひき肉の混ぜ物をすりつぶす。
異様な程に静かに思えるファミレス空間の中で、まるで俺だけしか存在しないような気分になった。俺の咀嚼音だけが耳の奥に残る。それほどまでに静かだ。
だが、もちろん周囲には人々がいるし、どちらかといえば静かになにかに熱中しているといった雰囲気であり、決して俺以外がいなくなったわけではない。
会計を済まし、俺はファミレスを出る。さっきの違和感が嘘のように車のクラクション、バイクのエンジン音、犬の鳴き声、ありとあらゆる音が情報として流れ込んできた。
それにしてもやけに静かなファミレスだったな。俺はキャメルを吸おうとしたが、最後の一本が切れていたことに今更気付いたのだった。
「こどくなたたかい」いかがだったでしょうか。
セルフオーダーって最近ホントに増えましたよね。アレって人件費おさえられてるんですかね?詳しい方教えてください笑
※最終話まで毎日更新します!夏の蒸し暑さを吹っ飛ばせ!




