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おとをみつけるぼうけん  作者: 津山 みかり
4/8

4.すいしょうどくろをてにいれた

すごいアイテムをてにいれた!そのなもすいしょうどくろだ!これをつかってたくさんのなかまをあつめよう!

 朝のニュースを見ながら、俺は昨日の絵本を通勤カバンに入れて家を出る。錆びた鉄製の階段を下りていつもの通勤電車に乗る。

 電車はいつもと比べて随分と静かだった。そうか。夏休みに入って中高生がいないのか。どうりで人も少なくて静かなわけだ。

 

 コンビニでキャメルと缶コーヒー、そしてサンドイッチを買い事務所に出る。社員証で電子錠を開く。相変わらず何の電子音もしないから、開いたかどうかの確認は錠前が物理的に開いたことでしか確認ができない。


「おはようございまーす」


 誰も出社していない事務所に軽い挨拶だけして昨日の絵本を机の上に放り出す。さて、これを今日はうまく記事にしなければならない。

 まあ、こんなくだらないホラー内容を文字にするのだから、気合入れて飯の種にしなければならない。


 俺はパソコンの電源を入れ、サンドイッチをむさぼる。医者から高血圧気味と言われ最近はカツサンドからサラダサンドに変えたから昼までの腹持ちが悪いが、このレタスのシャキシャキする感覚も悪くはない。


 始業時間の五分前になり続々と出勤してきていた。

「池山さん、おはよーっす。どうでした? 面白いことありました?」

 戸塚は昨日とは違い、香水の香りがしなかった。無臭なのはいいことだ。

「あるわけねーだろ。こんな眉唾、久しぶりに難儀しそうだぜ」

 俺は記事の内容をどうひねるかを考えていたが、最初の一文以外まったくはかどらなかった。

「ははは、さすがの池山さんもつらたんっすね」

「何がつらたんだよ。お前、それより水晶ドクロの記事はどうなんだよ?」

「ああ、燃やしました」

「なんでだよ!」

「冗談っすよ、じょ・う・だ・ん」

 白い歯を見せながら戸塚は笑う。

「くだらねえジョークだな」

「でも、あんな手垢がついて、真相も分かりきってるネタ誰が喜びますかねぇ。アタシはまだヘラクレイオン遺跡に現れたアジア人盗掘者の記事の方が盛り上がると思いますけど」

「確かに海底遺跡に盗掘しにいくバカは珍しいけどな。まあ、とにかく添付送ってくれ。校正しとくわ」

「うーっす」

 長いネイルでキーボードとマウスを器用に使いこなす。長い爪で器用に獲物を捕るやついなかったっけ?アリクイ。いや、あれは長い舌か。

 送られてきた添付の日本語の誤用や句読点の位置などを確認していく。


 午後。明日午前から山形で即身仏そくしんぶつの取材のため、俺は戸塚と共に駅へと向かっていた。

 駅までの道のりは相変わらず日陰がなく暑い。先方が由緒ある寺院のためさすがにシャツとジーンズは憚られると思い、オフィスカジュアルに身を包むが慣れないジャケットにするものではない。隣の戸塚も珍しく薄手のジャケットを羽織っている。

 戸塚のフェスの他愛もない感想を聞き流しながら、駅少し手前の通りで赤信号にかかった。

「あれ?」

いつもと違い違和感を覚えた。とおりゃんせ鳴らなかったか?この時間は。

「なあ戸塚。ここってとおりゃんせ鳴らなかったか?」

「とおりゃんせ? ああ、あの盲人の誘導チャイムっすね。しばらく前からここの故障してるみたいっすよ。ホントは昼の時間は絶対鳴るんすけどね」

そうか。俺が日中にこの道を通ったのも半年振りくらいだ。いつもの通勤ルートとも違うし気付かないのは当然か。

「それにしてもやけに詳しいな」

「まあ、アタシこう見えても大学でバリアフリーのこととか勉強してましたし」

 意外な一面だ。なぜこんなオカルト雑誌の記者になったのか理由が全くわからないが。


 このときからはじまっていたのだ。徐々に日常が飲み込まれていたのは。


「すいしょうどくろをてにいれた」いかがだったでしょうか。

オーパーツってなんだか嘘だと分かっていても、魅力です。人間お宝には弱いのです。

※一日二話更新!最終話まで毎日更新します!夏の蒸し暑さを吹っ飛ばせ!

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