平民の少女は旅行へ出かける
ロークズとヒカナの2人は領都から馬車で2日の高原に来ていた。旅行である。
「可愛い」
ヒカナの目の前には産まれたばかりの子羊が十数頭。もこもこに目を輝かせている。
そんな彼女にロークズは微笑みかけ、
「触ってみるか?」
「触りたいです!」
鼻息荒くヒカナは即答した。
「お、おう」
ヒカナの迫力に圧されてロークズは思わず1歩後退さる。
ロークズは従者に指示を出し、牧場の囲いを開け、一同は子羊が居る飼育場へと進む。
「ふかふかぁ」
ヒカナは子羊を抱きしめ幸せそうに声をもらす。そんな彼女をロークズは目を細めて見つめる。
のどかな時間が過ぎていく。
時間は流れ……
夕方となり。
夕食の時間にそれは起こった。
「うっ……」
「どうしたっ!」
突如、ヒカナはうめき声をあけた次の瞬間、手にしたスプーンがこぼれ落ちる。食堂に響く金属の音。
突然の事に慌ただしくなる食堂。毒味係りと給仕が蒼くなり小刻みに震えだす。
「毒かっ!」
ヒカナの状態を見てロークズが叫ぶ。
貴族では政敵等の邪魔者排除に手荒な事がよくおこる。毒を使った暗殺もオーソドックスな手の1つであった。
彼の叫び声に小さく悲鳴をあげる毒味係りと給仕達。
ロークズは食堂の入り口に待機している護衛に合図をおくる。流れるように動き出す護衛の向かう先は、
『私は何もっ!』
「動くなっ!」
毒味係りと給仕を拘束する。
今頃は厨房へも兵が向かっているだろう。
「ヒカナ!」
ロークズは慌てて彼女に駆け寄る。
ヒカナは泡を吹いて意識を失っていた。
「まずい!」
ヒカナにもられた毒は即効性のある猛毒であった。彼女を助けるには時間が……
「解毒が間に合わない!」
次は今日か明日にアップ予定。
目標は今日。




