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ローベル公爵家2

 ローベル公爵家執務室。

 当主ローウンがたまってしまった書類を片付けていると、



 コンコン。



 静かな執務室内に響くノック音。

 彼は1度だけ視線を書類の束から動かし、



「入れ!」


「父上お呼びですか?」


「ああ。予想以上に素材の劣化が早い。準備はどうなっている?」



 ローウンの言葉にロークズは姿勢を正して報告する。



「秘薬の投与を開始したところです。秘薬の効果がでるまでは……慎重に様子をみて……」



 天井を見上げて数秒程、計算をするとロークズは答えた。



「ふた月程で……」


「ひと月以内だ!」



 ローウンの言葉に思わずロークズの顔がひきつる。



「ひと月では安定が……」


「陛下から出兵の準備をするよう御達しがあった」



 ペンを置き、ローウンは冷めたコーヒをひとくち口に運ぶとロークズに言う。



「このタイミングで供給が止まることだけは何としても避けねばならぬ。それくらいはお前も分かるだろう」


「分かりました。出来る限りの急がせます 」



 ロークズの言葉に満足そうに頷くローウン。


 と。そこに、



 コンコン。



「何だ!」


「ロークズ様。お嬢様がお見えになられました」


「わかったすぐに行く」



 側近にロークズは指示を出す。

 彼の様子を見つめローウンは思い出した。



「そう言えば、今日か……」


「はい。月一の婚約者とのお茶会です。では私は彼女を迎えに行ってきます」



ロークズが退室した事を見届けるとローウンは窓の外、ローベル公爵家正門に目を向ける。そこには一台の大きな馬車がゆっくりとこの屋敷へと向かって来ていた。

次回は火曜日を予定しています

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