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平民の少女は演劇を鑑賞する

 ヒカナは服の値段に萎縮してしまい彼女の目は出来るだけ安価な服を探し求め、そして着替えるとロークズにエスコートされ向かうは劇場。

 服は驚く程に柔らかくしっかりした生地であったが、庶民度100のヒカナにとっては着心地が良いと感じるよりも先に落ち着かなさが来るという不思議な状況だった。


2人は劇場の華美な装飾が施された特別室に通され席に着く。

テーブルにはフルーツやドリンクが置かれていた。ロークズはなれた手付きで自分の分とヒカナの分を手に取り、それぞれの席に用意されたコースターの上に置く。



「ハハハ」



 小さな笑い声にヒカナは慌てて顔を上げる。



「ひょっとして緊張しているのかい?」


「…………」



 コクリと頷く。


 2人は無言で見つめあうこと十数秒。不意にロークズは爽やかに笑うとヒカナに言った。



「気にならなくなるから……安心して。

 それより、ほら劇がはじまる」



 視線をステージに向ける。


 演目は高位貴族と平民のロマンスを題材とした演劇だ。この演劇は実話だと言われ、平民の夢見る乙女達の憧れの物語である。


 ステージに目を向けながらロークズはポツリと話し始めた。



「この【市井の中の妖精姫】は実話じゃないかとの噂って聞いた事があるだろう?

 アレな。100年前に実際にあった出来事を元に創られた実話なんだよ」


「えっ」



 ロークズの言葉に思わず視線をステージから彼に向ける。



「俺達だってこの演劇の様にうまくいくはずさ」


「私達もこの演劇の様に……」



 ロークズの言葉をおうむ返しにつぶやき、視線をステージに戻すヒカナ。



「そう。民にこの演劇が指示されている今ならば周囲を納得させる事はそう難しくないはずだ!」


「ロークズ様……」



 そして、2人は演劇を無言で楽しんだのであった。


本日の夜にあと1話公開予定です

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