第13.5話 母さん2
そして、二日目に球技大会がある。その日は一旦帰ることとなった。
帰り道。
僕は祈里さんとは一言も話さなかった。離せなかった。
怖かったのだ。
二人で話すのが。
僕たちは話すことも無く、その日を終えた。
帰ってからスマホを見ても、祈里さんからの連絡はない。
僕はそのことに対して、軽い苛立ちを覚えた。
祈里さんは何も悪くない。だけど、祈里さんに嫌われるかもしれない。
その恐怖が僕を襲うのだ。
祈里さんの写真を撮ることに関して、僕はこの地獄みたいな世界の中で唯一楽しい事だった。
それが奪え割れれば、僕はどうなるだろうか。
いや、どうにもならない。きっとまた、無気力のままに生活していくだけだ。
「明日は球技大会なのよね」
食事の際に母さんがそう言った。
球技大会、か。球技大会があることに関してはそうだ。
だけど、今ほぼすべての問題の元凶である母さんがそれを言うな、という気持ちが大きい。
何しろ、母さんに文句を言いたい気持ちが芽生えているのだから。
僕は息を吸い、そして吐く。
「うん」
僕は一言で言った。
「お母さんは、明日も来るんだよね」
僕がそう言うと、「もちろんよ」と言って笑った。
「娘の晴れ舞台なんだもん」
お母さんはまだ、正常には戻っていない。
「それよりもあの友達めっちゃ可愛かったわ」
「そうだね、祈里は可愛いよ」
そして食事の間中、僕は姉ちゃんになることを強いられ続けた。




