第七章 プライモルディアの砦奪取作戦事前打ち合わせ
報告のために王都にトンボ帰りしたマルセロさんが帰ってきたのは、夜も更けた頃だった。
「皆さん。待っていてくれたのですか? 遅くなって申し訳ありませんでした」
「話はついたの?」
ベアトリクスがせっつくが、まずは一休みだろう。
アンジェリカさんがワインを出してくれた。
最近羽振りが良いせいか大陸産だ。
皆で軽く乾杯する。
「作戦案が王陛下に承認されました。私達以外の参加兵力は、猟兵隊三十。この度発足した降下猟兵と呼ばれる選抜された猟兵です」
「降下猟兵? なんじゃそれは?」
パウルさんが知らなかった。
「お椀……超上級魔法使いが使える大型のお椀を含むのですが、空から敵地へ侵入し戦闘行動を行うことを専門にするそうです。現時点では非公開です」
国家機密らしい。特別に教えて貰いましたとニコニコしている。
各地の猟兵隊から選抜した魔法兵と軽装歩兵の混成部隊で、ゴブリン脱出作戦のような奇襲を専門にやる。あれが試金石だったそうだ。
「相手は、やはり禁呪を使ってサボーディネイションを使っている可能性が高いそうです。それならば、本家のロビンソンが奪うのは可能だとウィルソンさんが言っていました。ロビンソンが操ったガーゴイルから情報を得て、敵の術者の位置を特定します」
禁呪を使えば、託宣師の宣託無しでも新しく魔法を覚えられると聞いた。
しかし所詮は真似事で本家には敵わないとのこと。
もし出来なければ即時撤退だ。
「私とパウルさんは先発として斥候に合流します。なので、木曜には出発します。他の皆さんは、テレポートが繋がった時点で、本隊と一緒に来て下さい。私達が出発してから偵察に一週間を見込んでいます。その後本隊が到着したら、一気呵成に奪取します。上手くいけば、一月最初の週末は中の原で過ごせますよ」
ベアトリクスが待ったをかけた。
「ちょっと、待って。私とジャンヌも先発に参加するわよ」
どうして、私の名前が出てくる?
「構いませんが危険ですよ」
「大丈夫よ。フローラとフィオナがいるのよ。夜目が効くわ。その方が安全よ」
まあ、確かにそうだ。
フローラもフィオナもやる気だ。
「フローラ、寒さは大丈夫なの?」
年中花を咲かせているが、枯れないだろうか。
「大丈夫よ。こう見えても精霊よ。ゴブリン達もそうだけど、凍死はそうそうないわ」
なるほど。
しかし、そうなるとだ……。
案の定、リュドミラとボニーが行くと言い出した。
「駄目よ。そんなに大勢で行ったら目立っちゃうでしょ」
「行くもん」
「私は斥候目指してんだよぉ。先発がいいよぉ」
ボニーの言い分は妥当だ。ベアトリクスも言葉に詰まった。自分こそ行く必要がない。
「じゃ、じゃあ、一七五の会は、皆で行くということで……」
マルセロさんが苦笑し、パウルさんがため息をつく。
「アンジェリカ。ネズミ退治はよろしく頼むよ」
マルセロさんがニコニコと言い、六人揃っての参加が決まった。




