第五章 お山の探索後
もう一度メディオランドの王宮に行くことになった。
ジェームズ様がお礼をしたいから是非来てくれ、と言うからだ。
ヘンリー様、エレノア様にウィルソンさんとはここで別れた。あくまでもお忍びを通すつもりらしい。
ロバーツ様達はスティーブンスさんと一緒に砦に残り、パウルさんと一七五の会だけになった。
今度は控室ではなく、最初から元グラディス様のお部屋に通された。
二時間ほど侍女様達とお喋りをしている間に、準備が整ったようだ。
国王様と王妃様がジェームズ様に連れられてやって来た。
「父上。この者達の力添えで精霊の指輪を得ることが出来ました」
「良くやった。今後も精霊との誼を通じ、王家のために尽くしてくれ」
「はい。この島の成り立ちや我らの知らないことを学び、王国繁栄の基盤としようと心得ております」
ここらへんのやり取りは既に終わっていたのだろうが、私達に聞かせるために再現したに違いない。
「うむ。それから、ジャンヌ神官。パウル殿。三人の娘達よ。良くやってくれた。メディオランド王の名において深く礼を言う」
メディオランドの国王様が頭を下げてお礼を言ってくれるなんて、畏れ多いことだ。私達も随分と出世した。つい、皆ではにかんでしまう。
「花園に宴を用意しておる。デューネ殿であったか。それから新たな精霊……メル殿と申すか。是非呼んで貰えぬか。お付き合い頂きたい」
デューネ達には、池の前でジェームズ様から既にお話があった。きっと、今か今かと待っているに違いない。
早速、私がデューネを呼び、ジェームズ様がメルを呼ぶ。
デューネはセルトリア初代様が送った服を、メルはスティーブンスさんの奥方様が町で見繕ったうす緑色のヒラヒラしたワンピースを着ている。
「おお、なんと言うことだ。お二方共、良くぞお越し下さった。メル殿。お姿を描いた絵は精霊の絵として花園の近くに飾らせて頂きますぞ。デューネ殿もお力添え誠に感謝いたします」
「呼ばれたってことは、期待していいのね?」
「勿論です。当王家の料理人が腕によりをかけた料理と、王家の森番が丹精込めて集めた極上の蜂蜜を清水で薄めたものをご用意させていただきました」
宴席の場が設けられた花園は、北に向かって正門があるお城の南側にあった。白い石を積み上げた壁で囲まれている。周辺は厳重に監視されていて、秘密の保持についても万全だと言う話だ。
春とはいえ、まだ寒いので木の芽の蕾が膨らみかけている程度で、地面も茶色い部分が多いが、春になれば一面に花が咲くのだろう。
白い石を組み上げた休憩所は、豪華な赤い絨毯が広げられ、十人以上が自由に座って寛ぐことが出来る。アーチ形の柱四本で天井を支えているだけなので花園全体が見渡せた。
簡単なパーティーを開くには十分な広さなので、今回参加した私達全員と国王様達が座ってもまだ余裕がある。ここでは皆平等ということで、侍女様や庭師の方も座って、真ん中に積まれた料理を堪能できた。
セルトリア王都の宴会と違い、海産物がかなり多く、海の蟹の料理を初めて食べた。
中央に置かれた銀のお盆に鎮座している大蟹は、甲羅を両手で持たなければいけないような大きさで、見た時は魔物かと思った。
所々焦げのついた蓋がわりの甲羅をとると、殻ごと焼いた後にほぐされた身が暖かい白いスープと混ぜてあり、それを掬って食べる。
スープは小麦と牛乳を混ぜて香菜で味を付けたらしく、歯ごたえがあり、さっぱりした味に仕上がっている。見た目に似合わず随分と美味しかった。
鯰もそうだったが、見た目が悪いのは中身が美味しいのかも知れない。
メルはと見ると、侍女様の膝の上に座って、蜂蜜水を飲んでいる。
メディオランド王は、精霊番として専属の侍女様二人と庭師一人を用意した。庭師の方と侍女様が三人並んで座り、早速お喋りをしている。話好きな人を選んだのだろう、メルも楽しそうにしている。
その様子を見て、デューネも安心したようだ。
「上手くいったみたいね」
「色々ありがとう」
「いいのよ。この島には人間だけじゃなく色々な生き物がいて、魔物や精霊もいるの。そういったことを分かって人が暮らしてくれるのが一番よ」
「この国の王様と王太子様は大丈夫だと思うわ」
「そうね」
メディオランドは、その他の国と違い島で最も古い歴史のある国だ。女神様を信奉すること篤く、教義の本質でもある共存共栄の精神を最も濃厚に受け継ぐ国と聞いている。
実はセルトリア国教会の総本山もメディオランド王都にあったりするから、私達の方が見習うべき立場だ。滅多なことでは、デューネやメルのような精霊の存在をないがしろにはしないだろう。
そういう話をすると、だから最初から私を呼んだのね、と抱きしめてくれた。
宴もたけなわの頃、私達へのお礼のお披露目になった。
一旦皆立ち上がって、王様と王妃様の前に並ぶ。
デューネとメルは、侍女様達と一緒に参観役だ。
まずは、最初に約束してもらった調査報酬が私個人あてに金貨十枚。次いでドラゴンの討伐報酬が、セルトリアに習う形で金貨二百枚の頭割り……戦闘に参加したのは八人になるから、豪華なおまけがついて一人金貨三十枚。そして、メルとの交流が回復したことに対して、各人にメディオランドの勲章と報奨金の金貨十枚に加えて、メディオランド国内の関所の自由通行権と国内での自由商業権の所持者である札がそれぞれに授与された。
「殊にジャンヌ神官には、特別にメディオランド王家にとって貢献が大であった。よって、騎士の称号を授ける」
というわけで、お貴族様に任命されることになってしまったのだが……。
「いいのかな。神官に騎士なんて位階ないわよ。帰ったら皆に怒られないかな?」
「分かんない。大体、満足に馬に乗れないあんたが騎士なんて名乗ってもいいの?」
「いいわよ、貰えるんだから貰ちゃおうよ。うふふ。晩餐会に呼ばれたら私も呼んでね」
「ジャンヌ凄いなあ。おすそ分けして」
こそこそと話していたらジェームズ様に聞こえたようだ。
「心配いらない。ただの称号だから今まで通りで問題ない」
どうやら取り越し苦労だった。
後で聞いたのだが、セルトリアを含めそういった称号を持っている神官は大勢いるらしく、魔王を倒した院長先生も色んな国の騎士なのだそうだ。当然、領地も何もなく当代限りだ。
「しっかりせんか。どこの田舎者かと思われるぞ」
パウルさんにも叱られてしまった。
そんなこと言ったって、本当に田舎者なんだから仕方ないじゃない……。
「謹んでお受け致します、て言えばいいよ」
「あ、はい。謹んでお受け致します」
ジェームズ様が小声で助言してくれたのを復唱すると、王様と王妃様から勲章を授与され、私は特別にメディオランド王国の紋章の入った騎士杖という名前の杖を頂いた。
「これを渡したからと言うて、儂の家臣になったわけではない。忠誠を誓え、とか、従軍せよ、などとは言わんから、記念品だと思って部屋の飾りにすれば良い」
恐らく、授与の場では初めてそんなことを言ったに違いない。国王様に笑いながら言われてしまった。
こう見えてもお貴族様?
授与式が終わって、頂いた杖を手に持って良く見ると、紋章だけではなく、剣やら楯やらの彫刻が施されている。材料は魔獣の牙とかを使っているらしい。
「悪いがただの称号だ。ただし、メディオランド国内で暮らす分には何かと都合が良いかも知れんな」
ジェームズ様が説明してくれるのだが、どうも良く分からない。第一、今のところメディオランドで暮らす予定は無い。
「ジャンヌはお貴族様なの?」
「一代限りだがな。他国へ行っても、杖を見せて騎士を名乗れば、相応の扱いを受けるだろう。例えば平民が入れない場所に入れたりな。しかし、元が神官だから、扱いはそう変わらないかもしれんが」
ベアトリクスを見ると、ニヤついている。リュドミラとメアリーもだ。
「おすそ分けしてね。騎士様」
まあ、皆と比べて金貨十枚上乗せして貰えたのだから、奢らないわけにはいかないだろう。
その後の相談で、ジェームズ様がメルを呼ぶのは月始めの午前中と決まった。ただし、呼んでくれなかった時は腕輪の石を光らせるから、私が代わりに呼んでくれ、と言われた。
ジェームズ様はどうも信用されていない。何分他国へ行ったり、戦争に行ったりしなければならない身だ。よろしく頼む、とお願いされてしまった。
帰り道は、王家御用達の風のように早い駅逓馬車になった。国境までは護衛付きだ。
道中一泊したのだが、いいのか? と思うくらいの豪華な宿だった。無論タダだ。
途中でスティーブンスさんの砦に寄って、泊めて貰った。
報告会で、騎士の儀礼称号を頂いた、と言ったら、ロバーツ様やグラディス様に、騎士ジャンヌ殿と呼ばれて散々にからかわれた。お付きの騎士様達は格が上の領地持ちのお貴族様なのに、御同輩扱いしてきて、乗馬の訓練をせねばなりませんなと、やっぱりからかわれた。
「水の精霊に加えて風の精霊の加護か。凄いわね。あと火と土が加わったらコンプリートよ」
宴会を兼ねた報告会も終わり、一七五の会用に用意してくれた部屋で休んでいると、ベアトリクスが気楽なことを言ってくる。
「残り二つは外国よ。今回は運が……メルの気まぐれみたいなものだし、これ以上は無理よ」
ちなみに、メルの用心棒代は、観光とお喋りの相手らしいが、そこは女子が八人も揃っている。
「最近金回りが良くなってきたから結構貯まったんじゃないの?」
ベアトリクスに言われて気付いた。
そう言えばそうだ。今回一気に金貨五十枚も稼いだ。元々の金貨十枚や今まで稼いだお金の貯金を併せると金貨八十枚を超えるはずだ。皮算用になるが、秋の受勲で救済策が通ればもう二枚ほど加算される。
「後十何枚かで百枚超えるかも」
「もう少し頑張ったらジャンヌはノルマ達成になるわね」
ノルマは一人金貨百枚だ。私は野良神官だから、ベアトリクス達のように店を出す資金は必要ない。
今のところ、達成しているのは資産持ちのヴィルがいるが、代々伝わる宝石の類を売らなければならないらしい。
リュドミラの試算では、金貨八百枚あれば、八人が暮らせる農地や家畜込みで八件の家を並べ、十年は土地税を支払いながら生活していける。勿論、農地に出来るかどうか分からないような荒れ地を開拓しなければならない。つまり、その金額が必要最低限度で、格安の湿地を買うなら兎も角も、もう少し開拓が楽な土地を買おうとすれば何倍にもなる。
「でも私一人じゃどうしようもないわよ」
「分かってるわよ。だからさ、この関所の自由通行権や自由商業権を使って、なんとかお金儲けする方法を皆で考えようよ」
「まずはセルトリアで始めないと……」
「メアリー、ちょっと来て」
「どうしたの? 今度の晩餐会の話?」
「目を開けて夢見てんじゃないわよ。帰ってきて」
ベッドに寝そべって、壁に掛けたメディオランドで貰った新しいドレスを眺めているメアリーを呼ぶ。
空想の世界に浸っていたようだ。
普段朝の早いリュドミラはもう寝ている。ニコニコしているから、さぞ良い夢を見てるのだろう。
「セルトリア・ブランドって企画が進んでんでしょ? あれをさあ、私達の自由商業権使って、この国で売れないかなあ。デザインは私とメアリーでやってジャンヌに染めて貰うの」
どうして私が一人で染めなけれなならない。第一、あれは戦争未亡人や生活に困っている人達のためにやるんであって、私達のお金儲けの為ではない。
「だから、その救済策の売り先をこの国に広げられるでしょ。そこに私達の作った品物も混ぜるのよ」
「いいわね。でも、輸出になるから、国王様の許可を貰わないといけないわよ。それに、デザイン担当したからって、どの位私達の手元に入るの?」
「それは相談して決めなきゃなんないけど……でも、例え銅貨一枚でも、実入りになるならいいじゃない」
「紋章付きで売れるかどうかは、審査に通ってからの話よ」
「紋章付きは売らなくてもいいのよ。それは救済策でしょ。私達は一七五の会ブランドを目指すの。その方が安く売れるわ」
なるほど。そう言うことか。自由通行権と自由商業権があれば、中の原から物を運んだりお店を開いたりしても無税だ。セルトリア王家お墨付きの紋章付きに便乗する作戦か。しかし、そう簡単にいくのだろうか。
「セルトリアショップを開いて、紋章付きと私達が作った物を扱うようになれば、かなりいい線いけると思うわよ」
「一度グラディス様に相談してみようか。そうしたら、王妃様と連絡とってくれるかもしれないわ」
魔道具屋と薬屋の店員が、随分と壮大な計画を立てている。ベアトリクスも夢を見てるのかも知れない。
「お店の名前は、名誉騎士ジャンヌの店、でいいんじゃない?」
「そうね。その位のインパクトは欲しいわ」
どうしてそうなる。そこは一七五の会でいいじゃない。
翌朝、グラディス様に相談した結果、この話はお流れになった。輸入品を扱う正規のお店を開くには、同業者に信用される過去の実績が必要であり、店構えも大仰で複数の店員を雇わなければならないから、その費用や給料は馬鹿にならないらしい。国王様のお墨付きがあっても、貴族と結託した商人同士の縄張り争いが酷いようだ。行商人のほうがまだ簡単らしい。
「それよりも、まずはセルトリア国内で有名になって、是非欲しいという他国の顧客がついてからの方が良いと思いますよ。それに、他国の紋章付きは売れないどころか、非国民扱いされて、最悪焼き討ちされるかも知れません」
恐ろしい現実を突きつけられてしまった。例え同盟国と言えど、紋章付きに便乗しようとするのは浅はかな行為らしい。
「でも、独自のマーブル染めを中の原で売るのは問題ないでしょう。救済策は救済策で、あなた達はあなた達で売れば良いのではないですか?」
結局は地道に販売するしかないわけか……。
「でも、残念ですね。ベアトリクスかメアリーのどちらかに、東の原で作る物のデザインを手伝って貰おうかと思ったのですが、ライバルになりますね」
こんなことを言われて、メアリーが黙っている訳が無い。
「私はグラディス様のお手伝いがしたいです」
つつつ、とグラディス様に寄って行く。
「あっさり寝返ったわね」
「仕方ないわよ。元々、私達の話は二番煎じなんだから。それに染めるのは私だけなんでしょ? ベアトリクスがデザインしたのを染めるので精一杯だわ」
あまりの転身ぶりにグラディス様も困った様な顔をしているが、こちらもそんなに暇ではない。
冬の間、クマやオオカミを狩ったのだが、その分キツネやイノシシが手つかずだ。彼らは春に増えるらしいので、せめて麦が実る時期までには狩っておかないといけない。
「あの、構いませんか?」
グラディス様も困惑気味だ。
「どうぞ、どうぞ。私達は中の原で細々とやっていきますから」
結局、メアリーはグラディス様のお手伝いをすることになり、月に一枚デザインを提出する事になった。きっと、三枚は出すだろう。
「ありがとう。二人共。帰ったら奢るわね」
ちゃっかりしているものだ。
どうせ、最初のうちは野戦服だ。あまり頑張らなくても良いはずだ。
夢心地のメアリーと共に中の原に帰ってきた。
念の為と、アドルフさんに報告すると、儂も持っとるぞ、と騎士杖を見せてくれた。先の戦争で同盟国に貰ったらしい。三本あった。くれた国の人が来客としてきたら、その国のやつを飾っておくらしい。
はったりにはなるぞ、と言って笑っていた。
絵皿は、ロバーツ様達のドラゴン・レヴァナント退治を描いた物になり、王太子様は微妙に顔が隠れて見えない位置に立っていた。
私とベアトリクスが仮面の男に魔法を放ち、リュドミラとメアリーは陰ながら応援、の態で加わっていた。
報告を終えて帰り着くと、幽霊屋敷の一階が様変わりしている。
「どうだ。凄いだろう。上等の鋤を貰ったからな。ちょっとしたお返しだ」
ベアトリクスが聞くと、金槌を持ったマチルダが自慢気に胸を張る。
四月になったばかりだと言うのに汗だくだ。
「やあ、帰って来たね」
ベイオウルフが板切れを運んできた。
「一体、何する気なの?」
元事務所だったから、一階部分は入ってすぐに受付用のカウンターだ。その奥はがらんどうだった。幸い暖炉がついていたから、皆でゴロゴロする部屋にしていたのだが……いつの間にか、商品棚や服を入れるチェストが置かれ、窓際にはテーブルと椅子が並んでいる。マチルダが作ったらしい。
「まあ、これを見てくれ」
ベイオウルフが持ってきた板をひっくり返すと、白地に大きな金色の字で、一七五の会の店、と書いてあり、左端に一七五の会の星が、やはり金色で描かれている。
「今度あれだろ、ジャンヌが染めた服を売りに出すんだろ? だから、この部屋を販売用の場所に改造したんだ。服だけじゃ足りねえだろうから、あたしが作った銀細工やボニーが木や皮で作ったアクセサリーや食器も一緒に売ろうと思うんだ。町の女子専用のお店だよ」
一体どこからそんな話が出て来たのだろうか?
「リュドミラが作った野菜で簡単な食事が出来るようにしよう。飲み物はミルクやサイダーとか簡単な奴でいいだろう。飲み食いで儲けは考えてねえから、原価で出せば値段も安く済むしな」
「今、ヴィルがハンナさんと一緒に、部屋でアドルフ町長に出す申請書を書いているところだ。話は既についているから、商品が揃えばオープン出来るよ」
日々ハンマーを振るっているマチルダと衛兵隊で吶喊要員のベイオウルフが女子専門のお店と言うのもアレなのだが、ハンナさんまで一枚噛んでいるらしい。
帰宅組四人で呆気に取られていたら、奥からボニーが皮の切れ端やら木の枝やらを持ってきた。
「皆でお店やるんだって。頑張ろうねえ」
とかく、物事を早く進めるのはマチルダの得意技ではあるのだが……えっと、突然の話過ぎて、いまいち理解できない。第一、店をやると言っても、皆仕事を持っている。野良の私も魔物退治でちょくちょく外に出る。
「大丈夫。売る物が揃っているわけじゃねえから、毎日はやらねえ。今んとこ土曜日だけだから、あたし達は休みの日に交代で顔を出す程度でいいはずだ。とりあえず半年もたそう。お前ら王都で勲章もらって金貨十枚も報奨金が出たんだろ? 必ず返すから、しばらく貸しにしといてくんねえか?」
確かに、金貨十枚と言わず、もっと手持ちがあったりするのだが……。
「ここは借りているとはいえ、私達八人が住んでいる所だよ。ここで実際にお金儲けをやってみて、後の参考にするのさ。この幽霊屋敷が始まりだ」
ベイオウルフの言葉でようやく分かってきた。
そっか。ジェニファー先生が言っていたのは、こういう事なんだ。外に出てお金を稼ぐのは出稼ぎだ。それだけじゃなくて、住んでいる場所にお客を呼んで、お金を稼がなきゃいけないんだ。
「仕方ないわね。ジャンヌ、今度マーブル染め教えてよ。忘れちゃったから覚え直すわ。こうまで気合い入っちゃたんじゃ、やるしかないもんね」
「私も手伝うわ。それに、グラディス様に渡すデザインが出来たら、こっちで売る分を考えるわ」
「飲み物出すなら、山羊を一頭買おうかなあ」
皆やる気になっている。
よし、頑張ろう!
「お疲れ様ね。ただいま」
「おう、お帰り!」




