遂に来ました建国祭。(1)
ここから建国祭編になります。
少し続きます❁¨̮
恵である雨が長く続いた後、今度は太陽の光が煌々と差す初夏に入る。その太陽の光を浴びながら、この国の象徴であるヒマワリの花が伸び伸びと成長する季節がやって来る。
そして、それと同時にこの国が作られた…とのことで、建国祭が三日三晩続く。この国を建国した者に感謝の気持ちを伝えるために、国内で取れた野菜や育てた家畜を使って料理を作って捧げる。後は、身の回りに黄色やオレンジの色のものを身にまとったり、ヒマワリそのものを身につけたりする。そして、国民全員で感謝を全体で伝えるのだ。
今年はオレンジ色のドレスをルートヴィヒが贈ってくれた。今までの裾がふんわりとしたものではなく、くびれが強調されているタイプのものだ。
大人っぽいドレスに身を包み、私は鏡の前に立つ。グラデーションかかったドレスの胸元には、以前ジークフリートからプレゼントされた翡翠のブローチを付ける。
色が色だからか、違和感なく私を彩ってくれる。大切な人たちからもらったもので、私が作られていると思うと、口角がグッと上に上がる。
「お嬢様、殿下がお見えです」
ベルが静かに部屋へ入って来る。
私は鏡の前でニッコリ笑顔を作ると、部屋を飛び出し玄関へ駆ける。
「お、お待たせしましたっ、ルートヴィヒ様」
走ったために、せっかく整えた髪が若干乱れる。
私の慌てぶりを見たのか、ルートヴィヒが微笑む。
「さっき来たばかりだから、大丈夫だよ。今日から三日間、メルクーアを独り占めしてもいいかな?」
ルートヴィヒの甘い声に、私だけでなく周りにいたメイドまでもがうっとりしている。
私は耳を赤く染めながら、彼が差し出した腕に手を控えめに添えた。それを確かめるかのように、私の手の上からルートヴィヒの手が添えられる。手袋越しから伝わる暖かさに、緊張が解れた。
王家の馬車に揺られて到着したのは城下町の外れ。流石に中心部までは閉鎖されていけないので、ここからは徒歩になる。
横で歩幅を合わせながら、賑わっている中心部へとやって来る。
毎年同じような事をしているが、出す店がころころと変わるため、同じようで異なる盛り上がり方を見せるのが建国祭なのだ。
私は久しぶりに訪れるお祭りに、年甲斐もなく目を輝かせて浮き足立つ。
「やっぱり…いいですね」
「一体感があるからね」
貴族だけでなく、庶民も楽しめるのがこの祭りの良いところ。むしろ、庶民から始まったものもあって、彼らの方が特段面白いと感じるだろう。
「ルーイ、あちらで音楽がなっています」
城下町の中心部では、心が踊るような音楽が鳴っている。
周りには、誰これ構わずダンスをして楽しんでいる。その中には、見慣れた貴族の令嬢・令息たちもいる。
私もルートヴィヒと共にやって来ると、彼は片膝をつくと私の手を取る。
「メルクーア、私と一曲いかがですか?」
王太子とその婚約者が来たという驚きあり、固まる人々や堂々としたお誘いに囃立てる人々と反応は様々だ。
周りの反応に照れて、口をモゴモゴと動かした私だったが、意を決して口を開く。
「ルートヴィヒ様、私と一曲お願いします」
私は彼の手を離さないように握ると、会場からは割れんばかりの拍手が起こる。
「……手を離されたらどうしようかと思ったよ」
「…そんなことしませんよっ」
ルートヴィヒが腰を抱いて引き寄せるものだから、美しい顔とスレスレになる。彼からは柑橘系の匂いが漂っており、私の鼻腔をくすぐる。
音楽隊はステップの踏みやすいメロディーへ変えてくれる。この音楽は、いつもダンスホールで踊る優雅なものとは程遠いが、楽しさを沸き立たせてくれる。
「ドレス、似合っているよ」
「ありがとうございます。ルーイの審美眼にはいつも驚かされています」
会話をしながらダンスは私たちにとっては朝飯前のこと。これでも小さい頃は、足がもたついたりしていたのだ。
私が彼を見上げると、ほのかに頬を染めている。
……照れてる…可愛い。
可愛いは流石に口にはしない。この国の殿下なのだから、可愛いはよろしくないだろう。私は誤魔化すようにわざとらしく咳払いをする。
「…一曲終わったね」
「終わりましたね。なんだか名残惜しいです」
話をしている内に一瞬で終わった音楽。名残惜しい事を伝えると、彼も同じ気持ちだったのか、添えられた腰に手に力が入る。
「もう少し…メルクーアと居たいんだけど」
「えぇお願いします。私の時間は全てルートヴィヒ様にお預けしているので」
悪巧みをするような表情で言えば、ルートヴィヒは楽しそうに笑う。そして、腰に添えられた手をまた引き寄せると、音楽に合わせてダンスを踊るのだった。
更新が遅くなりましてすみません。
この次も続くので、ぜひお待ちください。




