表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/86

腐れ縁の方とのお話合い。

また明日ね。といつもの笑顔で手を振るメルクーアを静かに見送る。彼女は待機していたシュテルンベルガー家の馬車に乗り込んだ。

しっかりと見送った後は、帰ろうと教室を出ようと一歩踏み出した瞬間…目の前に一人の少女が立ちはだかる。


「…なんだ…ハインツェ嬢」

「なんだ…もなにも。用事があるの?」

「いや?急いでない」

「じゃあこっちに来て」


僕の苦手な令嬢であるツェツィーリアは、僕を自身のアゴで外へと誘導する。それに小さく吐き捨てると、文句を言われて長くなるのが嫌なので、黙ってついて行く。

静かな廊下には、ツェツィーリアのヒールの音が鳴り響く。彼女に連れられてやって来たのは校舎の裏庭だった。


「メルと出会ったのはいつ?今まで何回会ったの?贈り物を上げたことは?彼女の部屋に入ったことは?」


眉間にシワを寄せながら、矢継ぎ早に…マシンガンのように質問をしてくる。彼女と鏡合わせになるように眉間にシワを寄せる。すべての質問に考えるという頭がいかない。このまま沈黙を貫こうとしていると、目の前で仁王立ちをしているツェツィーリアは足を使って威嚇してくる。


「メルクーアに会ったのは、殿下の婚約者として紹介されてた日。今まで出会った回数は覚えていない。贈り物は…してない。部屋に入ったこともない」


全ての質問に丁寧に返したつもりだ。前半二つは記憶が正しいはず。後半二つは嘘だ。

彼女の誕生日には小さいものだが、贈り物を渡したことがあるし…部屋に入ったこともあれば、入られたこともある。特に、僕が腕に大怪我を負った時は、ベッドの傍で泣きそうな顔をして座っていたのだ。


「ねぇ…メルはルートヴィヒの婚約者って本当に知ってるの?」


知ってるも何も……彼女が婚約者として王から紹介された夜会に参加していたのだ。その時は知り合いでもなんでもなかったが目撃している。メルクーアが、他の婚約者候補だった令嬢達に、囲まれているのもしっかりと見ている。そんな令嬢達を一蹴しているのも知っているのだ。


「さっきも言った。この国の全員が知っている…僕だけが例外なわけないだろ」


少しだけ声を荒げてツェツィーリアに返事をする。彼女も彼女で眉にシワを寄せたままだ。

結局コイツは何を言いたいのか。だがなんとなくわかる気がする。

メルクーアはこの国の王太子であるルートヴィヒの妃…つまり王太子妃なる人物。そんな彼女の相手はルートヴィヒなだけであって、他の男が簡単に近づいてはいい訳ではない。朝のように、肩に手を触れたり、家に…部屋に入るなんてもっての他だ…ということだろう。


「近くなって言いたいんだろ?」

「そうよ。流石…クラウスハール様。メルと貴方が仲良くしていると、メルに迷惑がかかる」


そんなこと…言われなくても知っている。

父に紹介された時から、近づきすぎるのはよくないと思っていた。だが…あの出会いから、自分の気持ちを抑えることが出来なかった。

彼女の…メルクーアの傍にいるには、友達でしか居れないのだ。


「僕はメルクーアのことを護ると誓った」

「なんて…ことをしてるの!?」


ツェツィーリアは目を見開く。


「だから…学園では彼女に迷惑をかけないように、なるべく距離をとってるだろ?」


周りに知り合いだとバレないように距離をとっていたつもりだ。その距離で、皆んなが見ていない所で、彼女を護る予定だったのに。今日の朝の出来事で…知り合いだと気付かれただろう。

その原因がツェツィーリアにもあるのだが、彼女は気が付いているのだろうか。


「別にいいだろ護るぐらい。騎士なんだから」

「…クラウスハールは騎士だけど……貴方…騎士の前に…」

「ツェツィーリアっやめろっ」


彼女が続きを言う前に声を荒げて止める。

その声を正面から受けたツェツィーリアは肩をビクリと揺らす。


「……ごめん」


小さく息を吐いて謝ると、彼女の方も小さく謝る。

一瞬気まずくなり、変な空気が流れる。


「僕のことはもういいよ。そう言えば…ハインツェ嬢も殿下と仲が良いだろう?」


今度は、ツェツィーリアとルートヴィヒとの関係性へと話題を変える。彼女はないないなんて、嫌そうに言っているが、周りから見れば、噂される対象になってしまうのだ。

実際、ツェツィーリアはルートヴィヒの親戚でありながら、メルクーア同様彼の王太子妃候補でもあったのだ。噂好きの僕の母から聞いた話だけど。彼女の親が真っ先に辞退したらしいが、二人の関係性は貴族が知っている。

噂話が大好きなゲスい貴族達が、ツェツィーリアが婚約者を作らないのは、ルートヴィヒの事を慕っているからだと…楽しそうに話しているのを、知らないだろう。彼女がいくらルートヴィヒをなんとも思っていなくても、何も知らない貴族達はそう思わないだろう。

そのことを婉曲して伝えると、ショックを受けている。


「…そんなの…知らない」

「今まで優しさで言わなかったんだ。僕に感謝して欲しいぐらい」

「そうね…ありがとう。これからはルートヴィヒ…殿下と距離をなるべくおくようにするわ」


話の内容がショックだったのか、ツェツィーリアは項垂れている。


「私も貴方のこと言えない訳だわ」

「メルクーアとの距離は遠ざける気ないけどね」

「……矛盾してない?どうしてそうなるの」

「だって、メルクーアと僕は友達だし」


そうはっきり…特に友達の部分をはっきり言うと、ツェツィーリアは何か言いたそうに、だが言葉が出ないのか…口を開いては閉じてを繰り返している。


「…分かったわ。でも、節度を保って」

「勿論、分かってる」


結局最後は向こうが譲歩した形で幕を閉じた。



ルートヴィヒとメルクーアの間に入り込めるなんて、思ってないし思わない。

だけど、彼女を傷つかせようものなら…王族であろうが関係ない。何かしても両親なら笑って許してくれるだろう。

それくらいの覚悟は僕にはあるのだ。

ここまで読んでくださりありがとうございます!!


また沢山の方が読んでくださっているのか…と思うとすごく嬉しいです。

これからは毎日更新…ではなく、話が出来次第投稿になりますが、把握の方お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ