第1章 その七 あれから3ヶ月が経ちました。
あれから3ヶ月くらい経った。暦の概念は一緒だった。30日を1ヶ月として12ヶ月で1年。共通して30日なところが地球とは微妙に違うが。
時が経つのは早いもので、この3ヶ月の記憶はほとんどない。というより忘れたい。
具体的な修行内容については語ってもいいけど、特筆することは特にない。
結論から言うと、魔法は使えるようになった。
ただ、あの日どうなったかだけ伝えると、緑の魔力を受け止めた僕は木になった。生えるどころじゃなかった。身体を構成する物質が変化したのか、同じ有機物だから可能だったのか、原子レベルまでみたら何が起こったのか全然僕にはわからない。理屈を超えて僕は自然と一体になった。
「この変化は私も予想外だった」
そういうとアーシャは僕を置いたまま何処かへと歩いていった。その時の僕は、同じくらいの背丈の木になってて動けなかったためついていけなかった。どうやらアーシャにも原因がわからなかった(つくづく全知とはなんだろう)ので、一度家に帰って調べに行った。
今は元の姿に戻れたからよかったけど本当に危なかった。それから数日ほっとかれたけど、どうやら魔力への親和性が高かったためそういった現象を起こしたらしく、緑の魔力を打ち消す魔力を僕にぶつけると元に戻った。そんな暴力的な解決方法で大丈夫かと思ったけど、そこはさすがアーシャだった。僕の体内に流れてた緑の魔力と全く同じ量をぶつけなければ何が起きたかわからないらしい。
だけど、しばらく身体に緑の魔力を流していたおかげで僕は緑の魔力を集めることはできるようになった。その魔力を使って何かしらの魔法は使えるようになるのに3ヶ月ようしていまここ。
「魔力はそれ自体に力があるわけではなく、使用する人がどうしたいか想像する力によってその効果が決まるの。私は緑の魔力を和馬が全身で感じれるように気持ちを込めて投げつけたから、その気持ちに答えて木になるっていう効果が表れたのね。」
僕が人型に戻ったときに、アーシャはそう言っていた。魔法という存在は思ったよりも不安定のようで、具体的に想像できればそれだけ魔法としての強度もあがるらしい。ちなみに、強度は影響を与える範囲が広くなればなるほど弱くなって行くので、それを強くするにはより具体的に想像するか、魔力を集めるかする必要がある。
そうなってくると、魔力を集めるのにはまだまだ練習がいるとして、想像力の方は幾分か工夫できる。現実に経験したことをそのまま実行すれば、想像力が強くなり強力な魔法が使えるはず。つまり、僕が身につけた魔法はーー。
「我ながらえげつない魔法を身につけてしまった。」
魔力をぶつけると相手が木になる魔法だ。今のところ動物には当てずにその辺の草とかに当てるとそれが木になる。石に当てても何も起きなかった。動物にはまだ試してないけど、きっと木になるはず。
そういえばこの辺には危険な生物が多いって話だけど、僕が襲われてからはアーシャが近づけないよう何かをしてくれたらしい。結界みたいなものかな。僕には何もわからないけど、一言「とりあえず近づけないようにしたから」と言っていた。
「さて、それじゃそろそろ実践を交えて指導していかなきゃね。でも和馬がこの辺の魔物を相手にするのは厳しいんだよねー。ということで旅に出よう!」
この日も提案は突然だった。アーシャは予定というものを一切連絡してくれない。その日の気分によるものが多い。その割には行動的なものが多すぎるけど。ついて行けているのが不思議。
「旅……いったいどこに?」
まぁ聞いて地名言われてもわからないんだけどね。ちょっと気持ちを整理するための時間稼ぎ。




