第1章 その一九 師匠の正体?
「なるほど、話はわかったわ」
アーシャはひととおりルーシーから話を聞き終わった。僕と話していた時よりも詳しい話だった。襲われている街の名前が"アーバスト"という名前であること、事件が起きたのが3日前、魔王軍は総勢300人程度だというのが新しい情報だ。遠いのかと思ったけど、そんなに遠いわけではないらしい。まぁ、ルーシーが3日で来られるレベルで、だいたい1日くらいあればつくっぽい。
「ところでアーシャに聞きたいんだけど、魔王軍って強いの?」
「どうだろうね。私は強いと思わないけど、その辺の人にとっては強いんじゃないかな?魔人だし」
魔人……強そうな響きだ。ゲームとかなら間違いなくボスクラス。
「まぁ魔人より魔法使いの方が強いよ。魔法を使える人ってとても限られてるし。魔法が使えないと遠距離からの攻撃って限られてるから魔法が使えると大抵の生物より強い。魔人とは私も戦ったことあるけど、近づけたこともないわ」
魔法使いってこの世界だとそんな怪物なの?なんかなんだかんだサクッと魔法覚えれたから実感わかないんだけど。魔法覚えてからそんなに時間が経ってない僕でもグリムを討伐できたしね。
「私も和馬さんの魔法を見た時は驚きました……。初めてみましたし……」
ルーシーがテンション低めでそう語る。そうなのか。それなら魔法使いである僕を必死に勧誘するのも頷けるな。
「その分迫害もされちゃうけどね。魔法使いはその数が少ない分味方も少ないわ。」
なるほど。自分よりあからさまに強い生物と一緒に居たくないもんね。ゴリラと寝食を共にするようなものだし。ふとした拍子で殺されかねない。怖い。
「あ、それと魔王も魔法使いだって噂もあるからです。魔人も魔王が生み出した存在らしいですよ」
ルーシーからさらに追加で説明が入る。魔法使いが魔人を生み出した……。その魔王と呼ばれる魔法使いは新たな生態系を創り出したということか?とんでもないな。
「あ、う、うん。そうね。そういう話もあるわ。だから魔法使いは怖い存在なの。恐れられてるの。私は別だけど!」
なぜそこでアーシャが慌てる……。そこで慌てられるとアーシャが魔王かなっていう伏線にみえてしまうんだけれど。
「アーシャは何をそんなに慌ててるの?何?アーシャが魔王なの?」
伏線ブレイカーと名高い僕はついでに突っ込んでおく。無駄な伏線は無駄に頭のリソース使いそうで嫌なので。
「い、いや、そういうわけじゃないけど……。ていうかそもそも慌ててないわよ!和馬以外の人と話すのが久しぶりなだけ!」
アリシアとしてなら話してたでしょうに……。まぁいいや。伏線はブレイクできなかったけど、どうせ聞いても答えてくれない。そのうちわかるでしょう。頭のリソースは使わない程度に心の片隅に留めておこう。
「あのー……それで私と一緒に街まで来てくれますか?」
「ええ、いいわよ。魔王軍の討伐だっけ?私にかかれば5分もかからないわ。」
そういうと偉そうにふんぞり返るアーシャ。しかし言っていることは誇るに足りる。
「300人を5分……さすが師匠は規格外ですね」
同じ魔法使いでもやはりアーシャは怪物。僕なんて遠く及ばない。
「5分っていうのは語呂がよかったから言ってみただけで実際は1分もかからないけどね」
……まぁ、範囲的に魔法を使えるなら、たしかに何人いても必要な行程は一緒だからな。僕は木を出して殴ることしかできないから無理だけど。




