第1章 その一八 師匠とケモ耳美少女との出会い
「あ、ありがとうございます!」
耳をピョコピョコと動かし喜びを表現するルーシー。その愛らしい仕草と笑顔に僕はくらっとする。美少女っていいね。メンタルに優しい。
「ただ、師匠に話をしてみて、いいって言えばになっちゃうけど」
しかし、こうして保険をかけておくことも忘れない。師匠が「私はいかない。1人で行ってきて!それも修行でしょ?」とか言ってきたらどうにもできないからね。師匠に寄生していくスタンス。
「それでもありがとうございます!優しい和馬さんの師匠なら、きっと優しいです!」
それはどうかと内心思うけれど、ルーシーの故郷のことを考えれば、必死になることも頷ける。あまりグイグイと来られると不信感を感じて警戒する人も少なくはないとは思うけど、基本何事もウェルカムな僕はとりあえず人の話には乗って後悔する時が来てから後悔するスタイル。
「さて、そうと決まればさっそく師匠に会いに行こうか。気まぐれな人だから正直どうなるかはわからないけど、ルーシーの故郷を想う気持ちが伝わればきっと何とかなる」
「はい!お師匠さんを頑張って説得します!」
その気持ちが伝わるほどにはまだルーシーと会話をしていない僕だけど、ここではこう言っておこう。大事なのは結果だしね。
そして会計を済ませた僕たちは(もちろん僕が全部払った。ルーシーはお礼ということで奢りたがっていたけれど、お金を持っているのに奢られるのは気分が良くない)その足で宿へと向かう。その間は特に目立った話はないので何も語らない。そして宿に着いた。アーシャは戻ってきているかな?
「あ、和馬おかえりー。どこ行ってたのー?」
ドアを開けると、アーシャがベットの上でゴロゴロしながら本を読んでいた。今まで特筆して来なかったけど、アーシャは本を読むのが趣味で手が空いている時は基本的に本を読んでいる。僕はこの世界の文字が読めないので目を通したこともないけど。
「ちょっとご飯を食べにね。そしたらちょっと女の子と知り合って連れてきたんだけど」
「あ、あのー……。こんにちは」
そういってルーシーが部屋に顔を覗かせる。するとアーシャが急にこちらを振り返るとひどく狼狽した顔をみせた。
「えっ!?ちょっと!なにっ!?他に人がいるの!?」
何をそんなに慌てているのか。特に恥ずかしいと言うほどの格好はしていなかったはずだけど。あぁ、あれかな。変装していないからかな?しかし、残念ながら今更変装するのは手遅れ。
「あ、あの!はじめまして!和馬さんのお師匠さん!私はルーシー・ラビスタと言います!よろしくお願いします!」
そのまま勢いに任せて挨拶を済ませるルーシー。挨拶は大事だからね。会話を円滑に進めるためにはまずは挨拶さえして仕舞えば何とかなるもの。
「あ、あ、は、はじめまして。わ、私はアーシャです。よろしくお願いします」
「はい!アーシャさんよろしくお願いします!」
僕がそんな感じで紹介しといてなんだけど朗らかな顔をしながら適当な気持ちで会話を眺めているなか、ひどく慌てているアーシャが手招きをして呼んで来る。なんだよ。
「何勝手に人を連れてきてるの!?油断してドレイスを解いちゃってるじゃない!」
ドレイスってなんだろう。変装する時に使って魔法かな?
「いや、偶然街であったものだから。それはすまないと思うけど、ルーシーも困ってるっぽいから話聞いてあげてほしいかな」
とりあえず後で怒られるかもしれないけれど、この場は話を進めないと。
「……アーシャさんって……どこかでみたことがあるような気がするんですけど……有名なお方ですか?」
「いやいや!私なんて全然有名じゃないよ!細々と世界と関わらずに修行している魔法使い!だから気にしないで!」
ルーシーはアーシャを見たことがあるという。ほう、やはり世界に名が轟いているのかな。正体を隠しているくらいだし。でも本人の狼狽えっぷりがすごい。なんだろう、昔大犯罪でも犯したのかな?
「それで、ルーシーさん!和馬から何か話があるっていうのは聞いたわ!よかったら話をしてみて?」
まぁ気になるけど、聞いても教えてくれるとは思えない。こんな感じで周りの人と素顔のままめぐり合わせていつか正体が分かることを期待しよう。とりあえずルーシーに故郷についての話をしてもらう。




