第1章 その一 まずは自己紹介
謎の金長髪女性とすれ違い、意味深なセリフを聞いた後、気づいたら花畑に放り出された僕は、目の前にいた女性から話を聞くことになった。
「まぁまぁ、慌てないでここはお互い簡単な自己紹介から始めましょう。」
花畑の真ん中に向かい合いながら腰を下ろした僕たちは、簡単な自己紹介から始めることになった。
「先に私からね。私はアーシャ。ちょっと修行というか、思うところがあって山に1人で暮らしているわ。趣味は料理で特技は魔法。今日はすごく強い魔力的な何かを感じたから様子を見に来たの。そしたら君を拾ったわ。とりあえずはこんなところかな。」
アーシャって名前なのか。日本人には元々見えなかったけど、やはりというか日本人ではなさそうだ。まぁ今はキラキラネームとかあるし、わからないけど。
ふむ。色々と気になるところがある。魔法がこの世に存在しているみたいなこと言ってるし、女の子が山で一人暮らしをしているのも不思議。聞きたいことは色々あるけど、質問は僕の自己紹介が終わってからかな。
「僕は草壁和馬。都内の大学に通う大学生で、アパートで一人暮らしをしている。趣味は主に読書。なんか金髪の美人なお姉さんに話しかけられたかと思ったら、急に道路に穴が空いて落ちて来たら気づいたら寝てた。とりあえずそんなところ。」
そう自己紹介すると、アーシャは難しそうな顔をして僕にこう質問してきた。
「都内?大学?アパート?とりあえずこの3つの単語の意味がわからなかったんだけど何かな?」
おっと、こんなに日本語が達者なのに、日本の知識は浅い人なのかな。自分が普段使っている単語とはいえ、相手が知っていると思い込むのは良くない。
「都内っていうのは、英語で言うところのJAPANの日本の首都である東京のことを指していて、大学とは各個人毎の知識量に合わせて学ぶ内容を変えるために日本各地に存在している学び舎のことを言う。アパートは僕もよくわからないけど人が住むところ。そんな感じ」
自分の持ってる浅はかな知識で説明してみるけど概ねこんなところだと。逆にこれ以上は僕では説明できない。それでもアーシャは難しい顔を崩さない。
「日本……とりあえず大学とアパートはなんとなくわかったかな。日本は聞いたことがないけど国の名前?私も世界に詳しいわけじゃないけど、不思議な名前の国だね。」
「え?」
日本を知らない?日本語をこんなに話せるのにそんなことがあるのだろうか。
「でもアーシャが話している言葉って日本語だよね?」
「私の話している言葉?んーどうだろう。何語かって聞かれると何語って言うんだろう。今までこの言葉を話している人にしか会ったことがないからわからないな。世界共通の言語なんじゃないかな」
うーん。世界のことに対して詳しくないからわからないけど、日本語ってそんなに広まってるのかな。
日本の文化はどんどん世界に広まっているイメージではあるけど、言語はまたそういうのとは別な気がする。
まぁ細かいことはいいか。気にしてたら話が進まない。いつかわかる時が来るでしょう。
それより気になるのはさっきの魔法についてだな。
「僕からも質問があるんだけど、いいかな?」
「もちろん!なにかな?」
「さっき特技は魔法って言ってたよね。アーシャは魔法使いなの?」
僕の常識では聞くのも恥ずかしい質問。
しかもおそらくだけど歳上に聞くとなると、心に響くものがある。
「うん、まぁね!まだまだ修行中の身だけど、その辺の人よりは極めてるつもりだよ!」
「それはすごいね。」
魔法使い。あっさりと認められたけど、どこまで信じれるものなのだろう。
日本語が達者なのに日本を知らない。魔法少女ごっこをしてるとすれば、そういう設定の魔法少女としていると想像することもできる。何か意味があるのかと問われればないが、ごっこ遊びとはそういうものだろう。
「僕って今まで、魔法ってみたことがないんだよね。よかったら見せてくれないかな。」
「仕方ないなぁ。世界でもなかなかいない魔法使いだからね!みたくなる気持ちはわかる。どんな魔法がみたい?」
どんな魔法がみたい……か。いざこうして聞かれるとパッと思いつかないな。
それでも、やはり魔法と言ったらあれかなっていうのが僕の中にもある。
「それじゃ、空を飛ぶ魔法がみたい。」
これができたら本物だろう。




