第1章 その十六 ケモ耳少女と友達に
「僕の名前は和馬。どうぞよろしく。」
「和馬さん!了解です!覚えました!私はルーシー・ラビスタといいます!仲のいい人からはルーシーと呼ばれるので、ルーシーとぜひ呼んでください!」
「うん、わかった。よろしくルーシー。」
それから今まで蓋を閉めていたようにルーシーは話し出した。僕への感謝の気持ちだとか、自分はこの街に来たばかりで右も左もわからないところを人攫いに襲われたことだとか。なぜ1人でこの街に来たかなど気になることはあったが、個人的な話を聞くのもどうかなと思って聞けない。そんな感じで、基本的には僕は受け身でルーシーが色々と身の上話をしてくれる。元の世界ではあまり姉妹を除く女子と話した経験がない僕にはとても刺激的な時間だった。
「では、よろしくお願いします。」
「は、はい。わかりました、受け取ります。」
スイーパーの人に暴漢を引き渡す。木でぐるぐる巻きにされた男たちをみて軽くスイーパーの人が引いてるけど、気にすることではない。さて、今からどうしようかな。ギルドに行く予定だったけれど、せっかくだからルーシーを食事にでも誘ってみようかな。そんなことしたことないからとても緊張するけど。
「あ、あの!よろしければこれからお食事をご一緒しませんか!ぜひ助けてもらったお礼をしたいです!」
「そんなに気を使わなくてもいいよ。でも食事はぜひしよう。」
そんなことを考えていたらルーシーからお誘いが。さっきから先を越されまくりだな。同じことを考えている感じがしてとても好ましいけど、男としてはもっと引っ張らないといけないかなって気がする。まぁでも、僕の立ち位置が命の恩人なんだからこんなものかな。
「と言っても私、この街に来たばかりだから美味しいお店知らないんですよね。和馬さんはどんな料理が好きですか?」
おっと、好きな料理を聞かれてしまった。どうしよう、アーシャと過ごしているうちはあまり料理の文化は元の世界と差は無いようだったけど、料理名とかはあまり知らないんだよね。お米とかもみた記憶がないし、どう答えたらいいんだろう。まさか無いなんて言えないし。
「あの、和馬さん?どうしました?」
「いや、なんでもないよ。好きな料理が思いつかなくてね。」
無言で考えていたらルーシーに気を使わせてしまった。
「僕は師匠が作った料理しか食べたことなくてね。あまり料理の名前とかわからないんだ。」
迷ったけど正直に言うことにした。一回適当なこと言うと信頼無くしちゃうしね。
「そういえばさっき魔法使ってましたもんね!和馬さんって魔法使いなんですか?魔法使いの方見たことなかったのでびっくりしました!」
「うん、まぁね。路頭に迷ってるところを師匠に拾われて、行くところもやることもなかったから魔法教えてもらってるんだ。」
今まで魔法使いを見たことがないと言うルーシー。魔法使いって珍しいどころか迫害されてるところもあるらしいしそんなもんだよね。
「そ、そうなんですね!んーそれじゃどうしようかな。私の好きなところに食べに行ってもいいですか?気になってる料理があるんです!」
魔法使いの話題は特に広げず、料理の話に戻る。気になってる料理か。この街の郷土料理ってきっとグリムだと思うけど、狩ったはいいけどまだ食べてないから味は気になるな。まだグリム食べに行くかはわからないけど。
「うん、それでいいよ。どこにあるの?」
そして僕たちはその料理店を目指して歩き始めた。この頃にはグリムを食べたいって言っておけばよかったなと多少後悔した。話している間に考えが変わるのってよくあるよね。




