第1章 その十五 ケモ耳美少女と出会う
「あ?なんだてめえは。ガキじゃねえか。こんなところにガキがくるんじゃねえよ。」
近づいていく僕を特に強く警戒することなく、あしらおうとする暴漢。なんか油断されているけど、その理由は僕の見た目がどうやら幼いかららしい。まぁ、この2人に比べれば若いとは思うけど、ガキ扱いされるほど童顔でもないと個人的には思うんだけどな。この世界には老け顔の人が多いのだろうか。後でアーシャに聞いてみよう。
「ちょっと散歩してたら女の子の助けを呼ぶ声が聞こえちゃってね。男としては、すておくわけにはいかないでしょ?」
「なんだこいつ。何恥ずかしいこといっていやがる。おら、見せもんじゃねえんだ。こっちも急いでいるから、今は見逃してやるからどっか行きな」
男たちは僕のことは全く相手にする気はないようで、そのまま女の子の方へと向き直す。なんだかな、一応死を覚悟して出てきたものとしては、相手にされなかったらちょっと寂しかったり変な安心を覚えそうになったりしてしまう。
「あ、あの!お兄さん!!お願いです!私のことを助けてください!!」
そう叫ぶのは先ほど腹パンをされていた可哀そうな美少女。こうしてみると頭にウサギのような耳が生えている。おお、これは僕が見たくてしょうがなかった獣人。しかもケモ耳美少女だ。必死な美少女と対象に空気を読まずにテンションが上がる僕。この女の子がつかまりそうになっているのは、もしかしたら売られそうになっているのかも。
「っ!? う、うわ、なんだ!?」
さて、このまま暴漢たちとの裏通りのイベントとしてばとるのも一興ではあるのだけれど、そんなに僕も気が長い方ではないので、多少不意打ちだけど勝負をつけさせてもらう。早くも必勝パターンとなりつつある、僕の魔法によって木を操り、敵を捕らえる魔法だ。名前は特にない。木につかまり宙に持ち上がられ身動きが取れなくなる男たち。自然の力は偉大。樹木を引きちぎる膂力がないと、僕の魔法からは逃れられない。
「てめぇ!まさか魔法使いなのか!?世界に10人もいないといわれているあの!?」
え?そうなの?なんかアーシャの口ぶりからするともっといるかと思ってたけど。
「世界に何人いるかは知らないけど、一応魔法使いやってます。」
「くぅ、魔法使いか……!そんなバケモノ、さすがに相手してられねえぞ!」
そういってじたばたと暴れるマッチョな方の男。あまりしゃべらない細い方の男はもうあきらめたのか暴れることなくつかまっている。存在感はないけど一応いるよ、もう一人。
「さて、この人たちどうしようか、お嬢さん」
「え?あ、えっと……。そ、それじゃスイーパーの人たちに引き渡しましょう!」
スイーパー?なんだろうそれ。お掃除屋さん?
まぁきっと警察的な何かだろう。
「それじゃスイーパーのところまでこの人達を連れて行こう。どっちへつれていけばいいかわかるかな?」
「はい!こっちです!」
そういうと、うさ耳をぴょこぴょこと動かしながら、道を進み始める少女。少女を追いかけるべく、男たちを木でぐるぐる巻きにして担ぐ。グリムを持てたんだから、男2人くらいわけないよね。あ、ちゃんと呼吸ができる穴は残してあるよ。硬い樹でぐるぐる巻きにしたから動けないとは思うけど。
しかし、女の子の様子が何かおかしい。焦っているような様子に見える。あれかな、やっぱり僕が怖いのかな。何か魔法って珍しいみたいだし、それにふと思い出すとなんか昔は迫害されていたらしいし、魔法使いってことはあまりバレないほうがいいのかも。だからアーシャも招待を隠しているのかな?その割には僕にすぐ正体を教えてくれたけど。
無言で忙しなく歩く少女の後ろを追いかける。……こうしてみると可愛い女の子だな。身長はたぶん160センチくらいで、うさ耳を入れると175センチくらいまでに届くかな。年齢は見た目は高校生くらいに見える。青いロングのコートのようなものをきているから体系はわからないけど、魅力的な女の子だ。僕も年頃の男なので、こんな子とちょっとおしゃべりしてみたかったりするけど、どうしようかな。なんて声をかければいいのか。日本では大学生になっても草食系を突っ走っていた僕にはどうすればいいか全然わからないや。
「あ、あのっ!」
「ん?なに?」
そんなことを考えていたら向こうから話しかけてくれた。ちょっとドキッとしたよね。何とか余裕のある感じで返事ができたとは思うけどもう怪しい。
「さっきは助けてくれて、どうもありがとうございました!とても怖くって、とても安心して、とても嬉しかったです!」
そういってこっちを振り返り頭を下げる。頭のうさ耳もお辞儀をするようでとても可愛い。なんてあざといんだ。とてもときめいてしまった。僕みたいな男はこういうストレートな可愛さに弱いんですよ。
「いや、人として当然のことをしたまでだよ。」
僕は余裕な態度で答える。言っていることはかなりださいし臭いけどこれが僕の限界。
「か、かっこいい……っ!」
そんな僕の可哀そうなセリフを真摯に受け止めてくれる美少女。目をキラキラとさせてこちらを見てくる。なんで眩しい目なんだろう。思わず目をそらしたくなるが、ここ最近照れるということで得られるうるおいが足りなくなっているので、チャンスとばかりに僕も見つめ返すことにする。アーシャは美人なんだけどそういったうるおいを彼女からは得られないんだよな……。そういえば何て名前なんだろう。聞いてみようかな。
「あの!ぜひお名前を教えてください!!」
おっと、またもや先を越されてしまった。男としては情けないと思わなくもないけれど、それでも同じことを考えているのかなとか考えたらちょっとときめいちゃうよね。




