表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
師匠とみる優しい世界  作者: 輝美
15/23

第1章 その十三 師匠の実力

「それでアリシアさん!この水龍はどうやって倒したんですか!?今後の参考までに教えてください!」


「ふっ、知れたことよ。この首の断面の鋭さを見れば想像に易いだろう。我が愛刀により一撃で真っ二つよ。」


アーシャが冒険者と質疑応答をしている現場を発見した。アーシャは冒険者用の格好をした際に大きな剣を背負っていたが、あの剣で戦ったのかな?見た目を変えて周りの目を欺くのが目的で、戦闘自体は魔法で戦うのだと思ってたけど。ついでにいつもとキャラが違うけど、あれがアリシアとしてのキャラなのだろうか。


「アリシアさん、水龍の討伐代は間違いなくカードに振り込みました。後ほどご確認ください。問題なく振り込まれたことを確認しましたら、こちらに署名をお願いします。」


受付のお姉さんがアーシャにそう話しかける。基本お金はその場で受け取れるはずなんだけど、高額ターゲットになると銀行振込的なものになるのかな。というかこの世界銀行みたいなシステムがあるのか。


「わかった、後で確認しておく。それじゃ私はこれで失礼する。」


そういうと、アーシャは僕の元へ歩いて来た。そして僕の持っているグリムをみて満面の笑みを浮かべた。


「おっ、和馬。見事に魔物を討伐してみせたか。流石は私の弟子だ!」


すると、ギルド内の面々が皆僕に注目する。


「ほう、坊主アリシアさんの弟子だったのか!」


「ねえねえ!アリシアにはどんなことを教わってるの!?やっぱり剣技なんだよね!」


そんな感じで次は僕に冒険者達が群がって来た。ただの弟子にまでこんな扱いをするなんて、アーシャは本当に人気者なんだな。色々答えてもいいんだけど、アリシアとしてはなんか剣士として伝わってるっぽいし、ヘタに授業の内容とか言わない方が良かったりするのかな。


「あー、君達。私の剣術は一応秘伝なんだ。修行の内容だけでも簡単には伝えるわけには行かない。すまないな。」


そういってアーシャは僕を引っ張って移動を始める。あっ、ちょっとまってあんまり引っ張るとグリムが落ちる。


「はい、グリム一頭ですね。今から確認しますので、少々お待ちください。」


アーシャは僕を受付のお姉さんのところまで引っ張ってそのまま換金を始めた。片手に持っていたグリムが入った檻を受付に置く。すると、それをひょいと簡単に持ち上げ受付のお姉さんは中に入っていった。見かけによらずとてもパワフルだった。


(うわっ……。)


受付の奥の方から何かに引いているような声がする。なんでそんな声を出しているのかはなんとなくわかるが、ここでは多くは語らない。僕はグリムのことを思い1人黙祷する。


「確認して参りました。成体のグリム1頭、確かに受け取りました。こちらが賞金となります。お受け取りください。」


受け取った額を確認する。……いくらなのか全くわからない。単位は円なのに文字が読めないからそれぞれどれだけ価値があるのかわからない。


「どれどれ……10万か。まぁまぁだな。」


えっ!10万!?1頭5000円とかじゃないの!?


「今回のグリムはサイズが大きかったので10万で取引させてもらいました。普段冒険者の方々が挙って狩ってくるグリムは幼体でして、成体のグリムは珍しいんですよ。討伐も難しいですし、そもそもだいたいが幼体のうちに狩られちゃいますしね。」


えっ、そんな感じなのか。ちょっとかわいそうだなグリム。保護してあげたほうがいいんじゃない?


「それでは確認できましたら、こちらにサインをお願いします。」


うーん。サインかー。こっちの世界の言語わからないからな。そのまま漢字で書けばいいかな。あまりそういった日本の痕跡は残したくないけど、何も書かないほうが不自然だしまぁなんか突っ込まれたらその時フォローすればいいかな。


「えー……みたことない言語ですね。まぁ大丈夫です。どうもありがとうございました。」


フォローは必要なかった。雑な仕事だった。まぁさっき冒険者登録したばかりだし、僕の名前は把握してくれているからそんなに問題ないと思ったのかな。僕の感覚では問題あるけど。ちなみに冒険者登録をする時は頭につけた機械が名前も読み取ってくれたことをアーシャから聞いた不思議。


あまりここに長いしてもいいことはなさそうな空気を察した僕は、アーシャを連れて宿へと戻る。何はともあれこれで僕もお金を稼いだ。考えてみれば人生で初めて自分で稼いだ金だ。働いた実感があまり湧かないのが残念だけど、手にした10万円という額にテンションが上がっていた。


「どんなものを買おうかな。といっても、この街で買えるものがどんなものか知らないけど。」


「駄目だよ和馬。それは今後の生活費になるんだから。ちょっとお金が入っても贅沢何かしちゃだめ!」


とりあえず特に目立ったことがなく宿屋に戻ってきた僕たちはアーシャと雑談を交わしていた。ちなみに大したことではないけどアーシャとは同室だ。安い値段の宿を選んだら基本誰かルームメイトがいる部屋ばかり。どうせなら知り合いと同室とアーシャに相談してみたところ、そのまま同室してくれた。森ではアーシャがいなければすぐに死んでしまう状況で生きていたため、アーシャから離れて生活できるようになるには時間がかかる。すっかり依存症。


「んーそりゃそうだよね。ちなみに1ヵ月生きていくにはどれくらいのお金がいるのかな。」


「贅沢しなければ15万くらいあればいけるんじゃないかな。」


15万か。その数字だけ聞くと、物価も日本とあまり差はなさそうだな。こっちの世界にきて初の街暮らしでどうなるかと思ったけど、街並みと文字以外はあまり日本にいたころと大差ないから何とかやって行けそうだ。早く文字も覚えないとな。この調子だと形態が違うだけで文法とか日本と似たような感じがする。そもそもみんな日本語しゃべってるし。


「そういえばアーシャはあの龍を倒してどれくらい賞金もらったの?」


「あーそういえばいくらだったんだろう。確認しないといけないな。確認してギルドへ報告に行かないといけないし。」


そういえばなんかそんなこといってたな。


「まぁでもたぶん2憶くらいじゃないかな。」


「2憶!?」


そんなにするのあれ?!


「何か龍種って高いんだよね。そもそも希少ってのもあるし討伐の難易度も他の魔物に比べて段違いだし。皮に爪に牙に爪にと素材に恵まれてて肉も美味しいから需要も半端じゃない。それくらいの価値があるんだよ。」


もう高すぎて見合っているのかどうかもわからない。僕の感じられるお金の流れの遥か上を行く額。気楽に1日で討伐してきたけど、本来そんなに簡単に討伐できるものじゃないんだろうな。色々な物語で生物の中で最強の存在として語られる龍。それこそ龍を倒すのに一生をかける人だっていそうだ。この調子だとこの世界最強の生物は魔法使いなんだろうけど。


「まぁ私はあまりお金に興味ないんだけどね。必要なものはだいたい自分で作れちゃうし。人は自分に必要なものを他人に準備してもらうためにその対価として金を使うじゃない?つまり私には金は不要なものってこと。まぁ、家を自分で建てれるけど宿に泊っている今みたいに、世界で目立たないように生きたいとき用ね。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ