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75話

医療部隊は大きく分けて3部隊の編制になりました。

ハイルク隊長が率いる重体者に対応する少数精鋭の部隊、副隊長が率いる重傷者に対応する部隊、分隊長達が率いる軽傷者に対応する部隊になります。ハイルク隊長と副隊長が率いる部隊は、天幕に構える形をとる事になりましたが、軽症者に対応する部隊は戦場を付近に構える事になりました。

私は、ハイルク隊長の部隊に入る事になり、状況に応じては副隊長が率いる部隊でも活動するようになるそうです。

軽傷者部隊には、件の役立たず発言をした医療隊員が所属するそうで、私にはそちらに極力近づかない様にと、ハイルク隊長に言われました。

どうやら、その部隊には私に悪感情…嫉妬をしている人が所属しているそうです。

こんな力に嫉妬するのであれば、いくらでも差し上げますよ。私には不要な力ですから。私はこの力がある事で、不便な思いしかしてきていないのですから。


部隊編成後は特に問題も無く、各部隊とも動きだした様です。

と言っても、現在重体者が居ないので私が居る部隊は副隊長の部隊である重傷者の方の治療のお手伝いをしていますが。こちらも人数が少ないです。

昨日私が一気に治してしまったようなので、魔力が切れかかった後に見つかった方が数名いるのみです。

現在、ハイルク隊長は軍議会議の方に出席しているので、全ての指示は副隊長から出されています。


「副隊長、包帯の補充は終了しました。毒消しの軟膏の数が少なくなってきているので、補充が必要そうです。」

「そうですか。シュテルネンさんには必要ない事かもしれませんが、毒消しの軟膏の作り方を覚えるのもいい機会かもしれませんね。薬師の指示に従って作製をお願いします。」


副隊長から新しい指示を受けて、薬師でもある医療隊員の元へ向かいます。

薬師の隊員は多くの薬草を抱えて移動していたので、すぐに分かりました。彼に話掛けるととても驚いて、薬草を少し落としてしまいました。


「突然話しかけて申し訳ありませんでした。

毒消しの軟膏の数が少なくなったと副隊長に報告した所、指示に従って作る様にと言われたので。

薬草もお持ち致します。」

「ありがとうございます。」


薬師の隊員は、実家が薬師であり薬の事に詳しい事から、医療部隊では重宝されていたそうで、今度の戦争では薬を即時補給出来る様に、主に薬師の仕事を任された様です。

この方も、一部の隊員のやっかみの対象になっています。

そんな彼がチラッと私の護衛をしているダンさんに目をむけると片手を挙げて挨拶をしています。もしかして知り合いなのでしょうか?

そう言えば、ダンさんの実家は薬草園もしていて薬師や医者の知り合いが多かったですね。商品の配達も騎士様になる前はしていた筈ですし。


「ダンさんとお知り合いですか?」

「えぇ、と言うか…セシルの歳の離れた兄です。」

「えぇ!?セシルの?

お兄様がいるなんて、セシルから聞いたことが無かったです。」

「まぁ、10以上も歳が離れていて、医療隊に入ってからはそんなに実家にも顔を出してなかったから、兄妹としての繋がりも薄いですから。」


意外な所で意外な繋がりを発見できて嬉しいです。

その後は、セシルの話をしながら、毒消しの軟膏の作り方を教わりました。

そうそう、セシルのお兄様のお名前はギルさんと言うそうで、気軽にギルと呼んで欲しいと、貴族の決まり事は窮屈で仕方ないからと言っていました。

特に副隊長から呼び出しも無かったので、ギルさんに付いて薬作りを手伝いました。

太陽も頂上付近に到達した頃、軍事会議が終わり戻って来たハイルク隊長に呼び出されました。

正直言うと、私はこのハイルク隊長が苦手です。何というか…私を崇拝している様な感じなのです。出来るだけ距離を取っていたい相手で、医療隊の中でも出来るだけ関わりたくない人です。副隊長に色々指導されている方が、確実に医療隊隊員としての実力も付きそうですし…。


「ハイルク隊長、軍議会議お疲れさまでした。

お呼びとの事ですが、何かあったのでしょうか?」

「いえ、副隊長からアンダーソンの元で仕事をしていると聞きまして。

彼は腕は確かですが、薬は毒にもなるものもあります。御身を危険があるところに置くのはあまりよくないかと思いまして。」

「アンダーソンさんに色々教えて頂いて勉強になりました。

また時間があれば、彼に薬の事などをご教授して頂ければと思っています。」


これだから、この隊長には係わりたくないのです。御身って…。そもそもここは戦場で危険はどこにでもあると思うのですが。

それに仮にも隊長が、一隊員である私に敬語を使うのもどうかと思うのです。常に敬語口調の方なら気にならないのですが、他の隊員の方には命令口調ですし。


「そうですか。ミーナ様がそう思うのでしたら構わないのですが…。

それと、今日の会議で明日には開戦するだろうとの旨がありましたので、今日はお早めにお休み頂いて、魔力の回復に努めて下さい。」


ハイルク隊長に一礼をして下がり、プリースダント司祭様を探します。

丁度プリースダント司祭様も私を探していた様で、すぐに見つかりました。プリースダント司祭様が私を探していた理由は、明日には開戦になるから騎士団と魔法士団をそれぞれ回って祝詞をするので付いて来る様にとの事でした。


騎士団や魔法士団をそれぞれ回った頃には太陽も大分地平線に近づいていたので、司祭様達の夕ご飯の用意や片付けをして私も毛布に包まって寝る事にしました。

しかし、闇が支配する夜中に再び轟音が辺り一帯に轟きました。

いつもお読み頂きありがとうございます。


諸事情により、水曜日まで更新がストップします。

楽しみにお持ち頂いている皆様には申し訳なく思います。

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