72話
少し残酷描写がありますので、苦手な方はご注意下さい。
第3騎士隊隊長→イムニス
第3魔法士隊隊長→フォルシュン
流石と言うべきか、騎士様達は僅かな時間で異形なモノの元に辿りつきました。
そして、騎士隊隊長を戴くだけの事はある実力を如何なく発揮して、異形なモノの片腕を切り落としてしまいました。
さらに反対側では、ダンさんともう一人の護衛騎士様が腕を切り落とし、残りの護衛騎士様が正面に立ち異形なモノの牽制をしています。
この間の王都襲撃の際に初めて異形なモノと出くわしたのに、既に順応して戦える騎士様のポテンシャルの高さが凄いです。
あと少しであの異形なモノを倒す事が出来るでしょう。
そう思った時に、異形なモノの大きな体の後ろから何かが飛び出してきました。
また異形なモノかと構えると、騎士様達に目をくれる事なく私の方へ向かってきます。
異形なモノを牽制していた騎士様が対応しましたが、数瞬で切り伏せられ血だまりが出来ています。
そう、飛び出して来たのは異形なモノではなく、黒装束に身を包んだ人間でした。
私の側にいる要人が目的なのでしょうか?
異形なモノに対応していた騎士隊隊長ともう一人の騎士様が、こちらを気にして異形なモノに対しての注意が散漫になっています。
あれでは反撃を食らってしまいます。もう一人の騎士様にはダンさんが側にいるので、対応が出来るでしょうが、騎士隊隊長は対応出来るのかと心配してしまいましたが、そんな心配をする必要がありませんでした。
一気に異形なモノを倒してしまいました。最初から瞬殺出来たのでしょうか?
もしかしたら、異形なモノのデータを集める為に、少し長引かせて戦っていたのでしょうか?
そんな事を考えていると、目の前に黒装束の男が到達し、私に狙いを定めています。他の方には目をくれる事すらしていません。やはり目的は私ですか。
この黒装束の男は予断ならない相手ですね。全く隙が無い構え方です。
それにこの男から感じるプレッシャーは過去に2度程経験があります。この男はやはりあの男でしょう。
何故、こんな所に異形なモノを引き連れて本人が態々やってきたのでしょう。部下にやらせればいいと思うのですが。
対峙しながら、私も予断無く構えていつでも対応出来る様にしています。私から飛び出して対戦するのは愚の骨頂ですからね。私の後ろには守るべき人たちがいますから。
「ふむ。…掛かれ。」
黒装束の男…リガーフェルが言葉を発すると、何処からともなく黒装束に身を包んだ男達が現れ、私が守ろうとしている人々を襲おうとしています。
私はリガーフェルを視界の隅にいれた状態で、襲って来ている男達にクナイを投げつけてます。
男達は簡単に避けてしまったので、牽制ぐらいにしかなりませんでした。
結構なスピードで投げたのに、いとも簡単に避けられるとは…。そのすごさが1人だけ分かったアルノー兄様に緊張が走ります。
短剣を構えていますが、目の前に敵が迫れば意味が無い事を理解しているのでしょう。それだけ男達との実力差があると、私のクナイを避けた事によって知ってしまった様です。
少し震えてらっしゃいますからね。
ですが、クナイを投げた事によって時間が稼げてのは僥倖でした。騎士隊隊長とダンさんともう一人の護衛騎士様がこちらに到着したからです。
騎士隊隊長が口パクで、切り伏せられた騎士を頼むと動いたのを確認し、そちらの方へ走りだします。
勿論リガーフェルも私に追随してきましたが、私の側にはダンさんが居るので簡単には手が出せないと思います。
私が、魔法を使っている間は一人でリガーフェルの対応をしてもらう事になりますが、父様やシルバ兄様から聞くダンさんの強さであれば問題ないでしょう。
切り伏せられた騎士様の周りには、かなりの量の血が出た事が分かる程の血だまりが出来ていました。呼吸は微弱にあるので何とか間に合いそうです。
すぐに魔法を行使して助けましょう。まずは止血と造血を。次に毒の中和と解毒と…。
切り口が紫色に変色をしていたので、見た目で毒を使われているのが分かりました。相変わらず、武器に毒を仕込んでいるのですね。
戦争の時に、毒を仕込んでいるなんて卑怯だなんて言えませんが、非道だと思います。
「毒の成分もお構いなしに治癒してしまいますか。
この護衛君もかなりの使い手だし、あそこで剣を振るっているのはイムニスでしょう。ここは一旦引いて、体制を整えてから再度来ることにしましょう。
それではまたね、ミーナ。」
そう言い残し、あっという間に戦線離脱をしていきました。生き残っていた部下の黒装束達も一緒に引き上げて行きます。
誰もリガーフェルの後を追いかけ様とはしなかったので一安心です。
切り伏せられた騎士様も目を覚ましたので、肩を貸して皆の元へ戻ります。
騎士隊隊長がこちらをチラッと見て、表情を和らげます。ですが次の瞬間には厳しい顔をされて、ドライツィファー様の方を見られています。
「何か申し開きはありますか、ドライツィファー殿。」
「私はただ……。私は悪くない!」
「申し開きは団長達の前でして頂きましょう。
フォルシュン隊長、拘束を。」
私が離れていた少しの間に何があったのでしょうか?
ダンさんと思わず顔を見合わせてしまいました。
お読み頂きありがとうございます。




