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59話

床に直接座りながら魔法を発動させましたが、焦っていた様でうまくかかっている感じがしません。

どうすればいいの?何の毒か分からないので、どこに対して魔法を掛ければいいのか分かりません。このままでは、ルーカス義父様が……。


「ミーナお嬢様、落ち着いて下さい。

エーデルが、毒消し効果のある薬を取りに行っていますので、無理に魔法で治そうとしなくても大丈夫です。」


マルスがそう言いながら部屋に入ってきました。その後に続いてエマが入って来て、私が落ち着くようにと背中をトントンとしています。

どうやら私は泣きながら魔法を発動させていた様です。少し落ち着いたのでマルスに先程の事で疑問に思った事を聞きます。


「何の種類の毒かもわからないのに、効くのですか?」

「毒消しと言っても、毒を体の外に排出する働きを強くするものですので種類に関係なく効果があります。、過去にその薬で一命をとりとめた者は多くおります。

エーデルが薬を持ってくるまでの間に旦那様をミーナお嬢様のベッドへ移させていただいても宜しいでしょうか?」


体外への排出…その手がありますね。

老廃物がリンパ線に乗って体外に排出される様をイメージして、でも体にとって害悪な毒が全身に回るのはよくないので、害悪な毒を薄い膜の中に取り込むイメージも追加して、再度その場で魔法を発動させます。

エマに落ち着かせてもらったのが功を奏したのか、魔法の効果が表れて来たようで、ルーカス義父様の表情が少しずつ、和らいでいます。

ルーカス義父様の呼吸が一定のリズムを取り戻した頃に、魔法を発動させるために手を置いていた傷口の部分から何かが出てきました。

薄いオブラートみたいなものに包まれた物ですが…もしかしてこれがルーカス義父様を苦しめていた毒でしょうか?

何故これが手元に出て来たのでしょうか?

取り敢えずこれは危険なのでどうすればいいのでしょう?エマに視線で確認をすると、どこから取り出したのか分かりませんが、蓋の着いた瓶を差し出されました。

そこにこれを入れればいいのですね?


「侵入者をミーナお嬢様が撃退されましたが、まだどこかに潜んでいる可能性もありますので、ここから移動して若旦那様達が控えている安全な場所まで移動致しましょう。

私が旦那様を抱えて移動させて頂きます。エマはミーナお嬢様を支えて差し上げなさい。」

マルスがそう言うと、ルーカス義父様を軽々と抱えて歩き出し、私はエマに抱き起され歩き出しました。

移動する私達の周りを、怪我をして流血している警護の方々が取り囲んでいます。

安全な場所まで移動したら、魔法で治療しましょう。


歩いている途中でマルスが壁に寄りかかり、突然消えました。

えっ!?どういう事ですか?

驚いていると、エマが耳元でこそっと‘隠し通路で御座います。’と教えてくれました。

そんな物がここにはあるのですね。

貴族のお屋敷には当然あるものなのでしょうか?

エマに促されたので、マルスがやっていた様壁に寄りかかりますが、この後どうしたら…って、いきなり後ろに引き込まれました。

どういう仕掛けになっているのですか!?と思ったら、私の脇に人がいしました。この人は確か、警護の方の中の1人でしたよね?何故ここに立っているのでしょう?

色々な疑問が浮かんできます。そして、ここからどうすればいいのでしょう?


「ミーナお嬢様、そこにいらっしゃいますと次の者の下敷きになってしまいます。

私の後ろに控えて頂いても宜しいでしょうか?」


私は慌ててその場を飛びのき、警護の方の後ろに控えます。

すると警護の方が壁に顔を近づけてから、突起の様な物を触ります。その直後、エマがその場に現れました。


「ミーナお嬢様、大丈夫ですか?

お顔の色があまり宜しくない様ですが…。私が抱えてお連れ致しますね。

失礼します。」

「だ、だ、大丈夫です。

ちょっと何が起こったのか分からなくて混乱しているだけなので。」


エマが失礼しますと言いながら、私の事をお姫様抱っこをする体勢になったので慌てて止めます。

怪我も無く歩けるのにお姫様抱っこは恥ずかしいです。それも女性にされるのは…。

何故、エマは残念そうな顔をしているのですか?

エマと会話をしている内に外で私達を囲んで警戒をしてくれていた、警護の方々も続々と中に入って来られ、私達の会話を微笑ましそうに見つめています。

は、恥ずかしいです。


「ここにいつまでもいても仕方がありませんので、安全な部屋へ移動致しましょう。」


血を流されている警護の方の1人が先頭に立ち歩き始めます。私はエマに再び支えられながら後をついて行きますが、支えが無くてもあるけますよ。

いつまで支え続けられるのでしょうか?

暫く歩くと目の前に扉が現れました。その扉の前にも警備の方が立っていらっしゃいます。

この方も血を流されていますが、大丈夫でしょうか?

扉が開き、中へ促されます。一歩踏み込んだ瞬間に避ける間も無く何かが突進してきました。


「良かったわ、無事だったのね!」


突進してきた何か…アマンダ義母様にきつく抱きしめられます。

ちょっと緩めて下さい。骨が折れそうですし、息が出来ません。


「奥様、ミーナお嬢様に現在進行形で重傷を負わせようとされています。

少し緩めて差し上げて下さい。」

「あら、安心のあまり力加減を間違えてしまったわ。

大丈夫ですか、ミーナ?」

「ケホッゴホッ、だ、大丈夫です。」


アマンダ義母様って、淑女の仮面を取り払うと脳筋なのですね。今後は抱きつかれる時は身構えていましょう。

カール兄様とシャルロッテ姉様が苦笑いをしながら、無事でよかったとそれぞれ言ってくれました。

その奥で、ベッドに寝かされているルーカス義父様がいます。

まだ目覚めてはいない様です。この短時間で目覚めている方がおかしいですが。


「ルーカス義父様は大丈夫でしょうか?」


ルーカス義父様の枕元にいるマルスに問いかけます。


「呼吸も安定していますので大丈夫です。後は目覚めるのを待ちましょう。」

「この状態では皆も寝れないでしょうから、現在の状況を確認しましょう。

まず、私から父上に執務室で聞いた話からさせて頂きます。」

お読み頂きありがとうございます。

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