57話
夕食後にサロンでシャルロッテ姉様を中心に、貴族令嬢の講義をお茶を飲みながら受けます。
内容的には現在の令嬢の派閥やその派閥の特徴と派閥に属していない令嬢、派閥間をうまく立ち回る方法、要注意人物、令嬢間で噂されている男性やゴシップネタ等です。
カール兄様からは、注意する男性やその男性から誘われた際のあしらい方。
ルーカス義父様とアマンダ義母様からは、懇意にすると良い方々とその特徴。そして現在来ているガーデンパーティーや夜会などの招待に対する出欠の決定です。
今まで立ち入った事の無い世界に踏み入れるのは、とても大変で疲れます。
どんどん、舞踏会が憂鬱になってきました。
せめて、アマンダ義母様達が考えてくれていたガーデンパーティーで一度社交会になれてから出席したかったです。
憂鬱になっているのが表情に出ていた様で、シャルロッテ姉様から笑顔を張り付ける練習をするように言われてしまいました。
「ミーナ、私はあなたのその素直な所をとても好ましく思っていますわ。
でも、社交の場で考えている事が顔に出てしまうと色々と不利になる事がありますの。ですから、舞踏会までの2週間はどんな時でも笑顔を張り付けていられる練習をしないといけませんわ。
本来なら家の中までそんな事をする必要はありませんが、ミーナに与えられた立場上どうしようもありませんわ。付け焼刃でもなんでも、舞踏会を無事に乗り切らねばなりませんもの。」
「そうですね。明日からはどんな時でもずっと笑顔を絶やさない様に、笑顔を張り付けましょう。後、令嬢らしい話し方も練習しなければなりませんね。
あぁ、後2週間しかないなんて…。ミーナをこれ以上侮られない様にするには、時間がありませんね。」
えっと…明日からはかなりハードな事になるのですか?普段慣れない事をすると心労が溜まってしまいます。
それに、これ以上侮られない様にって、既に何かがあったのでしょうか?
怖くて聞く気になれません。
「母上、それは明日からにして、今日はもうお開きにしてミーナを休またませてあげてはいかがですか?
もう、かなりの時間が経ってますから。」
「あら本当ですね。全然気が付きませんでした。」
「お祖父様もハンス様も帰られていないので、こんな時間になっているなんて気づきませんでしたわ。
何かあったのでしょうか?」
「あの件での始末に追われているのでしょうね。
詳しくは、明日の朝にでもお話しをしますよ。カールに確認したい事がありますので、執務室の方へ移動しましょう。
それでは、私達はこれで失礼しますよ。」
「シャルもまだ母上やミーナと話していたいでしょうけど、産み月になるのですかそろそろ休んだ方がいいのではありませんか?
明日も朝の訓練の時間から起きているつもりなのでしょう?」
「勿論ですわ。そうですわね、そろそろ私は休ませて頂きますわ。
皆様、お休みなさいませ。」
それぞれに就寝の挨拶を交わして、私も自室に戻ります。
そう言えばすっかり忘れていましたが、もうすぐシャルロッテ姉様のお腹の子が産まれてくるのですね。
出産のお祝いの品を何にしましょう?
産まれてくる子供には、高級なタオル生地で作ったぬいぐるみが良いですね。シャルロッテ姉様には、何が良いでしょうか?
前世の母が弟妹を生んだ時は何をもらっていたでしょうか?
…駄目ですね、思い出せません。
机に向かい、ぬいぐるみのデザインを考えようとしていたら、エマに呼び止められてしまいました。
「ミーナお嬢様、本日はもうお休みになられたらいかがでしょうか?
今日は寝不足だったのですし、明日から奥様よりダンスの特訓をされるのですよね?」
「…そうでしたね。」
「それと、こちらもお忘れの様なのですが、これからアインと共に体磨きをさせて頂きますので、入浴された後はこちらにお着替え下さい。」
そう言われて、バスローブの様な物を差し出されながら、部屋の戸を開けられて浴場へと促されます。
体磨きってどんなことをするのでしょうか?前世のエステの様な事でしょうか?
とは言っても、私は前世は女子高生で終わっているので、エステなど行ったことが無いので、イメージしかありませんが…。
入浴後に部屋に戻り、エマとアインから香りのするオイルを塗られて、全身を揉み解されます。
意外と痛いので、疲れが溜まっていたのですね。
それよりも、全身裸の状態を見られながらするのはとても恥ずかしいです。
アマンダ義母様もシャルロッテ姉様は入浴も侍女に手伝ってもらっているので、こういう事をされても羞恥は無いのでしょうが、着替えを手伝われるよりも段違いで恥ずかしいです。
恥ずかしがりながら、体磨きをされていましたがエマとアインからさらっと爆弾発言を受けます。
「ミーナお嬢様、朝の訓練の後も体磨きをしますので、今の内に諦めた方が宜しいかと。」
「それに、パトリック王太子殿下と婚姻された際は、今の様に入浴を一人でする事は叶わないと思います。数人の侍女に体の隅々を洗われることになりますので、今の内からエマで体を洗われる事もなれていた方が宜しいかと存じます。」
何ですと!?結婚したら一人入浴タイムが没収ですと?私の癒し空間が…。
絶望して羞恥を忘れていると、いつの間にか体磨きが終わっていました。
寝間着に着替えようとしたら、ナイトドレスを渡されました。これを着て寝ろと言う事ですか?これも、来る日に少しずつなれる様にするためだと言う事ですか。
明日は寝間着で寝る事の了承を得てから、ナイトドレスに着替えエマに下がってもらい、ベッドに入って眠りにつきましたが、普段と違う事をしたせいでしょうか?夜半に目が覚めてしまいました。寝返りを打った時に、空いていなかった窓が開いている事に気が付きました。
侵入者かと緊張を高め、習慣になっている脇に置いてある短剣とクナイと手裏剣が入っているポーチに手を伸ばしかけて、手を止めざる終えませんでした。
「動かないでね?大人しく言う事を聞いてくれれば痛い思いをさせないと思いますよ。
分かってると思うけど、声も出さないでくださいよ。」
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