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50話

「ミーナお嬢様、おはようございます。」

「エマ!?おはようございます。

こんなに朝早くにどうされたのですか?」

「私はお嬢様付きの侍女で御座います。主より先に起きてお起こしするのは義務で御座います。」

「でも私の起床時間は通常の侍女より早い時間ですよ。無理されていませんか?」

「ミーナお嬢様、侍女のスキルを舐めて頂いては困りますよ。

シュテルネン侯爵家の侍女は、ミーナお嬢様のお起こしする時間には既に活動している侍女も多くいます。」

「そうなのですか?」

「はい。シュテルネン侯爵家では、男性陣の朝の訓練は日課ですので。

ですが、私としたことがミーナお嬢様がお起きする時間を見誤ってしまった様ですね。申し訳ございません。」

「それはいいのですが、エマだって大変でしょう?

子供だってまだ5歳と3歳で手の掛かる時期なのだし。」

「主人が面倒を見ていますので大丈夫です。

本人達も将来はシュテルネン侯爵家のお抱え庭師になるんだと、主人について回っていますし。」


まだ甘えたい盛りの時期なのに、大人な子供達ですね。

エマの旦那さんはシュテルネン家お抱えの庭師で、果樹園や私専用の花壇の専属もして頂いている方です。

10年前に片思いしていた方と結婚したエマが羨ましいです。私もダンさんと…駄目ですね。パトリック王太子殿下の婚約者になったのですから、ダンさんの事は忘れないといけませんね。


物思いにふけっていると、いつの間にか鏡の前に座らされ髪を纏められていました。

エマは話しながらも、テキパキと私の身支度を整えてくれていた様です。

やはりエマは出来る侍女ですね。

本来なら、エマは次期侯爵夫人になるシャルロッテ姉様付きになれるような有能な侍女なのですが、私が幼い頃よりお世話になっていたので、シャルロッテ姉様の輿入れの後も私のお世話をし続けていました。

シャルロッテ姉様にもエマにも申し訳ない事をしていますね。


「ミーナお嬢様、私の事は気になさらなくていいのですよ。

私はミーナお嬢様のお世話をさせて頂く事は、とても嬉しく思っていますから。

ふふっ、ミーナお嬢様は素直な方ですから、お顔に思っていることが出ていますので、私がエスパーではありません。

私共からしたら、可愛らしい限りですが、社交界では十分にお気を付け下さいませ。」

「そんなに分かりやすかったですか?」

「普段はそうですね。

ですが訓練中などは、無表情か楽しそうな顔をされているかなので、何を考えているかは分かりにくいですが。」


戦闘中の時もそうだったらどうしようかと思っていたら、すかさずフォローが入りました。それよりも、戦闘中に楽しそうな顔をしているって、違う意味で問題大有りですよね?


「ミーナお嬢様、髪型はこちらで大丈夫でしょうか?」


何ですかこの複雑な髪型は?髪をいじりだしてから対して時間は経っていませんでしたよ。

エマの技術が凄すぎます。


「ありがとうございます。

凄く凝った髪型ですね?大変ではありませんでしたか?」

「ミーナお嬢様の髪は癖が無く柔らかい髪質なので、大変ではありませんよ。

それに、凝った様に見えますが実は簡単に出来る髪型なんです。

お気に召して頂けたのでしたら、明日の訓練時もこの髪型に致しますか?」

「うーん、他の髪型もしてもらいたいので、別の髪型でお願いします。」

「畏まりました。」


エマがすかさずお茶を入れてくれたので、それを一杯飲んでから、訓練をする庭へ移動します。

普段訓練する時は、お祖父様とルーカス義父様・父様・カール兄様の男性陣のみなのですが、何故アマンダ義母様と身重のシャルロッテ姉様までいるのですか?


「おはよう、ミーナ。

早速私と手合わせをお願いします。

これから、護衛術を教えるのですから、鈍った体に感覚を取り戻さないといけませんからね。」

「えぇ、私もお義母様とミーナの手合わせをみて、研究をしないといけませんもの。」


アマンダ義母様もシャルロッテ姉様もやる気満々の様です。

男性陣が苦笑いをされていますが、いいのですか?

苦笑いされながら、頷いているのでいいのですね。


「宜しくお願いします、アマンダ義母様。」


暫く、アマンダ義母様に合わせて手合わせをしますたが、確かにお祖父様がじゃじゃ馬だったと言っていた意味が分かります。

動きが洗礼されていて、わざと隙を作ると的確にその場所をせめてきます。

女性初の騎士はアマンダ義母様に相応しかったでしょうね。


「あっ、やっぱりミーナは強いわね。

もうちょっと、私も出来るかと思ってましたが…。」

「いえ、私も驚きました。

まさかアマンダ義母様がここまで出来るとは思いませんでしたから。」


私がアマンダ義母様の剣を弾き飛ばしたので、手合わせが終了しましたが、予想以上の強さでした。

その後も何度かアマンダ義母様と手合わせをして、護衛術で教える範囲以上の暗器の使いた方も教えるはめになってしまいました。

なぜか、それにはシャルロッテ姉様も食いついていましたし、侍女も遠くから凝視しているのが分かります。

この家にいる女性はどこを目指しているのでしょうか?


訓練が終わり、アマンダ義母様とシャルロッテ姉様が楽しそうに一緒に屋敷の中に入って行くのを見送りながら、私はエマと一緒に果樹園と私専用の花壇へと向い、水をあげたり、食べごろになった果物を収穫してから屋敷に入ります。


入浴をして汗を流し、再びエマに身支度を整えてもらいました。

その後、朝食を食べ今日の予定をエマに確認をします。

午後からカール兄様とシャルロッテ姉様と一緒にシュテルネン商会に行き、針子長を交えて今後の方針の話し合いをすることの事です。

それまでは自由時間との事なので、何をして過ごしましょうか?

今日は天気も良いようなので、久しぶりに庭でピーターとフィーと戯れながら、この間思いついたブラトップならぬコルセットを使わない簡易ドレスのデザインでもしましょうか。

エマにより今日もコルセットを締められドレスを着せられたので、早く作る必要がありますからね。

毎日カクテルドレスは嫌なので、平民が着るワンピ―スと同じ膝から足首の間の丈で豪勢過ぎないドレスもデザインしましょう。

そうと決まれば即行動です。時間は有限ですからね。

お読み頂きありがとうございます。


暫くは、ミーナの日常のほのぼの回が続きます。

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