47話
お待たせいたしました。
謁見が終わり婚約の件で呆然としていた私は、いつの間にか父様とお祖父様と共にシュテルネンの屋敷にいました。
「やっと意識が正常に戻って来たようじゃな。」
「お祖父様…いつの間に屋敷に移動したのでしょうか?」
「まずそこからか…。」
謁見終了後からの状況を聞くと、呆然とした私を、父様が周囲に分からない様にエスコートをして、取り敢えず父様の執務室へ移動したそうです。
そこで、アインさんとエマさんがドレスから普段来ているワンピースに着替えさせ、化粧も落としセットされていた髪はほどいた状態にしても、まだ呆然としていたので、父様とお祖父様で相談をして、予定より早い時間ではありましたが、シュテルネンの屋敷に帰ったそうです。
そして屋敷に着き、執事や侍女たちのお出迎えをされたのに驚いて、意識が戻ってきたとの事です。
そりゃー、驚きもします。いつもは別宅に直接かえっていたので、門番さんのお出迎えのみでしたし、本宅に来るときもここまですごいお出迎えはされた事がありませんでしたから。
いえ、嫌がらせではなくて私を気遣って、仰々しくしないでいて頂いていたのですが、突然何があったのでしょうか?
私が、この家の養女になったんでしたね。
皆さんからしたらしばらくの猶予があったので、対応が出来るのでしょうが、私にとっては3日以内に起こった事で、状況についていけません。
これが戦闘に関しての事だったら、申し越し臨機応変に対応できたのかも知れません。戦闘中は対応の遅れが命取りになりかねませんからね。
「大旦那様、ハンス様、ミーナお嬢様、旦那様と奥様がサロンでお待ちですのでご案内いたします。」
マルスさんの案内で、サロンへ向かいます。
サロンに到着すると、伯父様と伯母様…もうお義父様とお義母様とした方がいいでしょうか?…以外にカール兄様とシャルロッテ姉様もいらっしゃいます。
シャルロッテ姉様は身重の体であるにも関わらず、私の方へ駆け寄ってきました。
シャルロッテ姉様、転んだらどうされるのですか!
「シャルロッテ姉様、危ないです。転ばれたらどうされるのですか!?」
「まぁ、ミーナったら。これくらいの道のりで転ぶ程、私は間抜けではありませんわ。
それに、私は武門の家の中ではトップの家柄のイヴォール家の出身でしてよ。ミーナ程ではありませんが、武の心得ぐらいありましてよ。
それよりも、ミーナが無事でよかったわ。
ずっと、お義母様とカール様と心配していたのですもの。」
「シャルロッテ姉様…ご心配お掛け致しました。でも、今は元気いっぱいですよ。」
「その様ですわね。安心しましたわ。」
「シャル、そのくらいにして席に着いたらどうだい?ミーナも病み上がりではあるんだし、積もる話は、これからの話し合いが済んでから、場所を改めてしたらどうだい?」
「カール様、そうでしたわね。私ったらはしたなかったですわ。」
「そんな事はないよ。」
私達が話している間に、カール兄様がやってきて自分の奥さんであるシャルロッテ姉様を仲良く見つめ合いながらエスコートして、先程まで座っていた席へエスコートしていきます。
シャルロッテ姉様の頬が紅色に染まっています。イチャイチャは他所でやって欲しいところです。
…自分の恋がかなわなくなったからと言って、八つ当たりはよくありませんね。
「もう少ししたら、アルノー達も帰ってくるので話し合いはそれからですよ。
それにしても王都襲撃だけでも驚愕でしたが、ミーナの力の事も驚きましたよ。状況がこのようでなければ、喜ばしいことだったかも知れませんが。
それに、半月も目を覚まさなかったので心配で溜まりませんでしたが、無事に目覚めて良かったですよ。
ただ、ずっとハンスの執務室内の仮眠室で寝かされていたので、毎日顔を見に行くことが適わなくて、なんで屋敷に連れて帰ってはいけないのか不満でしたけどね。」
「ルーカスは王宮に出仕しているから会いに行けていいではありませんか。私は一度も顔を見に行けなかったのですから。
まだ、あと1週間も目覚めない様であれば、ハンスの執務室に突撃をして、ミーナを家に連れ帰って来ていましたわ。」
「義姉上…。義姉上の実力であれば、王都襲撃で混乱している騎士団の隊舎への襲撃は可能かもしれませんが、冗談でも決行しないで頂きありがとうございます。」
「ミーナが混乱しとるぞ。
ミーナは知らなかったのかも知れんが、アマンダは結婚以前はとんだじゃじゃ馬娘だったのじゃ。今の淑やかな姿からは想像もう勘かも知れんのじゃが…。
当時の騎士団に女性の登用の発想があれば、女性初の騎士になっていたのはアマンダだったじゃろうな。」
「まぁ、女性騎士の発想はクリーガ団長がミーナと剣を交わしてから出て来た発想ですからね。」
「オルデンは、恐らく騎士団にミーナが居たら、楽しく訓練が出来るからとしか考えていないだろうがな。」
突っ込みどころが多すぎて、何を突っ込めばいいのでしょうか?
助けを求めて、カール兄様とシャルロッテ姉様を見ますが苦笑いをされています。私も突っ込みどころはスルー致しましょうか。
「お義父様、お義母様ご心配お掛けしました。ですが、この通り元気になりましたので、安心して下さいね。」
お義父様とお義母様が顔を見合わせています。何も変な事は言ってはいませんよね?
「ミーナから、お義父様と呼ばれるのは何だか違和感がありますね。」
「そうですね。今までずっとアマンダ伯母様と呼ばれていましたからね。そうですは、これからは、ルーカス義父様・アマンダ義母様と呼んでちょうだい。」
「それが良いですね。ミーナにとっての父様と母様はずっとハンスとマーガレットなのですから。養女になったからと言って無理する必要はないのですからね。
対外的な事もあり今までの様にとはいかないですので、ルーカス義父様とアマンダ義母様が妥協点ですね。カールとアルノーに関しては、今までも兄様と言っていたので問題もありませんし、ハンスやシルバとロイに関しても今まで通りで問題もありませんからね。」
「はい、ルーカス義父様・アマンダ義母様。」
私が返事をすると、周りから生暖かい目線が降り注いでいます。何故ですか?
そして、その目線はサロンの入り口付近からも漂ってきています。そちらを見ると、アルノー兄様とシルバ兄様とロイ兄様がいらっしゃいました。そして、どうしてここにイヴォール大臣もいらっしゃるのですか?
お読み頂きありがとうございます。




