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ー閑話 ~オルデン・クリーガの生還 後編 ~

長くなったので2つに分けています。

前編は本日7時に投稿済みになります。

こちらから入った方は、前話をお耳頂いてからこちらのお話をお読みください。

私はハンスに‘後で執務室に尋ねる’と伝言をして自分の執務室に戻り、ミーナちゃんの隊服を取り出します。

ついにこの日が来るとは感無量です。本来だったら、騎士団に訓練をしに来るたびに来てもらいたかったのですが、周りに止められていましたからね。


「…団長そのニヤニヤ顔をやめろ。

っと、伝達事項が来たな。黒幕を突き止めたか。これが本当の黒幕じゃなさそうだが、王国内での活動はこいつが中心か。後はアジトに何か他に繋がる証拠があればいいんだが。」

「一体誰だったんですか?」

「ドゥムガイツ貿易商会だ。」

「そこは、前々から怪しい取引があるからマークしてませんでしたか?

そんな所の情報を漏らすとは、第3騎士隊に内通者がいるのは確実ですね。しかも複数で。」

「次から次へと頭の痛い事が起こるな。こりゃ、この一件が片付いたら内部調査に追われそうだ。」

「頑張って下さいね。私はミーナちゃんを迎えに行ってきます。」


ルダート副団長が後ろで何かを言っていましたが、華麗に虫をします。聞いていいためしはありませんからね。

ハンスの執務室に向かい、扉をノックします。

中からの返事を待たずに中に入ると、ミーナちゃんがお茶を入れている所でした。

もう私付きの話はしたでしょうか?

どうやら、まだだった様です。事情を説明して、隊服に着替えてもらいます。

ミーナちゃんは、何故自分のサイズの隊服があるのかが疑問の様ですで質問をしていましたが、こちらには父親と言う最強の見方がいますからね。

ミーナちゃんは渋々ながら、同意して隊服に着替えて来てくれました。

着替えて出て来たミーナちゃんを見ると、とても似合っていますね。このまま対戦したい所ですが、今は我慢です。騎士団に入団すれば、いつでも対戦できるのですから、今は泣く泣く諦めましょう。


渋々であったミーナちゃんですが、行くとなれば装備をしっかりとそろえるんですね。

ここに来る前に、第3騎士団の騎舎によってきて正解でしたね。捕縛用の鎖や使用したクナイを渡してあげます。

ここからは、しっかりと騎士団の一員だと言う事を自覚して頂きましょう。


「では、ミーナ・ヴァグナーク。

貴女をプランツェ王国騎士団騎士見習いとして任命致します。

王国を守る剣と盾となり、力の限り尽力するように。」

「…拝命致します。」


私の執務室に行って、ヘレンとどこで合流するのかを確認して、ドゥムガイツ貿易商会に乗り込みましょう。

正門でヘレンと合流すると、ミーナちゃんに歩調を合わせろと言われました。私の歩くスピードは速かったのでしょうか?普段のミーナちゃんのスピードを考えれば、問題ないスピードで歩いていたのですが、解せぬ。


ドゥムガイツ貿易商会に向かっている途中に、中央広場や学園、商業区や宿屋街などで爆発が連鎖的に起こりました。今向かっているドゥムガイツ貿易商会がある、富裕層の平民街でも爆発が起こっています。


「どうやら、こちらが踏み込む前に騒ぎが起こったようですね。

取り敢えずは、当初の目的通りアジトに行きましょう。ちょうど富裕層の平民街にありますからね。

ヘレン、ルダート副団長に風魔法で連絡を飛ばして下さい。

飛ばしますから、ミーナはしっかりと私の後に付いて来て下さいね。」


そう指示を残して、走り出します。

ミーナちゃんもしっかりと後を付いて来ていましたが、周りが気になったようですね。

確かにあの異形なモノは気になります。

騎士団の方は、普段からきっちりと鍛えているので心配はしません。ここで怪我などをするようでは、鍛え方が足りなかったのだと反省をすればいいのですよ。

そんなこんなで、ドゥムガイツ貿易商会に到着しました。


「ミーナ、スリーカウントで突入します。

3…2…1.」


=ドガシャーン=


やはり、ミーナちゃんは素晴らしい子ですね。この頑丈な扉をあっさりと破壊出来るとは。将来が楽しみで仕方ありません。

っと、ここは敵地になるのですから、気を引き締めましょう。

どうやら、扉の破壊音に気が付いたこの店の警備の者が出てきましたが、ガラが悪いですね。

それにしても、この騒ぎなのにのんびりされているとはさっさと商会長の所へ案内すればいいものを。こいつらは無視して、自分の勘を頼りに探しますか。

こう言う勘は外れないんですよね。


「やれやれ、困りましたね。力ずくで行きましょうか。

やれ。」


たったそれだけで、ミーナちゃんは相手を処理しています。入団後は私付きになってもらいましょう。

さて、勘を頼りに歩いていると、脱出用の地下通路に行けそうな扉を見つけました。当たりですね。

さて、中は真っ暗ですので明かりが欲しい所ですが、ミーナちゃんは明かりをつけられないとの事なので、諦めて前に進みますか。


予想通り地下通路に出ましたね。それにしても何か人間では無い気配を感じます。

こちらが、気配に察知したのに気が付いて、いきなり襲ってきました。

ヴォルの様な生き物ですが、違いますね。一体全体何でしょうか?

取り敢えず、周りの気配が無くなるまで、襲ってくるものをミーナちゃんと手分けして倒していきます。

こういう時は、足手まといにならない子はいいですね。自分の敵にだけ集中できますから。

全て、倒し終わるころには目が暗闇に慣れて、襲ってきていたモノの全容が分かりましたが、地上にいた異形なモノの同類ですね。

恐らく人口的に作られたものでしょう。

…何だか嫌な予感がします。まさか20年前のあの悪魔が係わっているのでしょうか?

ですが、奴は死んだはずですよね。そんな馬鹿な事があるはずがないですよ。


暫く歩いていると、今度は人の話し声が聞こえてきましたが、この声はまさか…!!

あの状態で生きていたのですか!?

くっ、私一人の力でどこまで対応できることか。ミーナちゃんだけでも逃がさなければ、ハンスに顔向けが出来ませんね。

それに、あいつが係わっているなら、早急にルダート副団長に伝えて対応策を練ってもらわねばなりません。


どうやら、ドゥムガイツ貿易商会長はあいつに殺された様です。

早急に、ミーナちゃんをここから離脱させなければ。

しかし、ミーナちゃんは私と共に行動すると言っています。何を馬鹿なことを。

20年前の悪魔と言っても反応をしなかったところを見ると、ハンスはミーナちゃんには奴の事を教えていないのですね。

こんな事になるのなら、ミーナちゃんに雑談で話しておけば良かったですね。


ミーナちゃんの言い分を覆せなくて、仕方なく同行を認めざるおえませんでした。それに、もしかしたらあいつは既に私達の事に気が付いている可能性もありますから、ミーナちゃんを一人にするのは得策にはなりませんし。

私はどうやら動揺していたようです。

後方からの攻撃をミーナちゃんが剣で切り落としてから、攻撃された事に気が付きました。

参りましたね。気付かれていましたか。何とかミーナちゃんだけでも守らなければ。

ミーナちゃんを私の後方に下げようとしましたが、あの男の方が早く動き、ミーナちゃんと切り結んでいます。

あれを防げるのですか!?ハンスは一体全体、普段どの様な訓練をしているのですか!


あの男がミーナちゃんに興味を持ちました。私を使い捨てにした様に、今度はミーナちゃんを使い捨てにするのですか?

そんな事はさせませんよ。

ミーナちゃんを連れ去るつもりの様で、今度は私に矛先を変えてきました。

私を殺して、ミーナちゃんを連れて行くつもりですね。私だって、20年を無駄に過ごした訳ではありませんよ。

もし、貴方が生きていたら、刺し違えてでも殺してやるつもりでいたのですから。


…油断したつもりはありませんでしたが、一瞬で片がついてしまいました。

貴方は相変わらずの化け物ですね。ここまでの差がまだあるとは…。

いくら才能があるミーナちゃんでも、瞬殺ですね。ここは私がもう少し時間を稼ぎますから、何とか逃げて下さい。

その思いを込めて、倒れる前にミーナちゃんを見ましたが、驚愕と恐怖の混じった顔をして私に駆け寄って来ます。

そして、手に持っていた小刀を投げ捨て、私を抱き留めました。

なんと馬鹿な子でしょう。私はここで死ぬんです。貴女は逃げないとダメなんですよ。


あの男が私に止めを刺そうと、剣を振りかぶっています。

このままでは、ミーナちゃんも巻き込んでしまいます。ですが、体に力が入らずミーナちゃんを弾き飛ばす事もかないません。

既に耳も聞こえませんし、目も霞んでほとんど見えていません。

私を捨て置いて、逃げて……。


本来なら、これで死ぬはずなんでしょうが、まだ、意識があります。

そして、体が銀色の光に包まれて徐々に力が入る様になって来ました。

この光は10年前に見たミーナちゃんの魔力です。魔法を行使したところで、【陣】以外では魔力が目に見える事は無いのですが、これは一体どういう事でしょう?


目も大分見える様になってくると、首や胴に小刀やクナイ、手裏剣が刺さっているあの男が愕然とした表情でミーナちゃんを見ています。

そして、私が動けるようになったのをみて、慌てて逃げ出しました。

今度こそ逃がす訳には…。

あの男を追って走り出そうとした時に、後ろで何かが倒れる音がしました。

そちらを見ると、ミーナちゃんが倒れていました。

まさかどこか怪我を!?致命傷で無ければいいのですが…。

ミーナちゃんを見ると外相がありません。

一体ミーナちゃんの身に何があったのでしょうか?

あの男を追いたい所ですが、こんな所にミーナちゃんを置き去りにする訳にはいきません。

取り敢えず、あの男の事は置いておいて、ミーナちゃんを医療隊に人間に見せに行きましょう。


来た道を、ミーナちゃんを抱きかかえながら、戻ります。

ドゥムガイツ貿易商会の店の前まで来ると、シュテルネン魔法士団団長が駆け付けて来ていました。


「ミーナの身に何が起こった!?

異常な程の、ミーナの魔力を感知したんだが…魔力枯渇による意識不明の状態か!!?

まずいな…すぐに処置をしなければ、手遅れになる。

済まんが、ミーナは連れて行くぞ。」


シュテルネン魔法士団団長がミーナちゃんを抱きかかえて、風魔法を駆使して王宮に飛んで行きました。


「オルデン、貴方は大丈夫なの!?

服はすごい事になっているけど、傷跡が無いのね。相手の返り血…?」

「いえ、切られていてあと少しで死ぬところでした。

恐らくミーナちゃんの魔法のお蔭でしょう。

私も急いで王宮へ戻ります。緊急会議を再度招集しますので、ヘレンも一緒に戻って下さい。」


これから行う会議の内容に嫌気がさしそうです。しばらくは寝る暇もないくらいに働かないと駄目ですね。

お読み頂きありがとうございます。


次回も閑話になります。

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