―閑話 ~オルデン・クリーガの生還 前編 ~-
長くなったので2つに分けました。
後編は本日8時に投稿します。
今は騎士団の定例の隊長会議を行っていますが、いつもと変わり映えしない内容なのでつまらないですね。
さっさと会議を終わらせて、訓練場でハンスを相手に暴れたい所です。
そんな事を考えていると、会議室のドアを乱暴に叩く者が訪れました。
どこの所属の人間でしょうか?後で調教が必要そうですね。
「失礼します、会議中に申し訳ありません。
緊急事態が発生致しました。ヴァグナーク隊長の娘さんが10人程の人数に襲われています。
私は、ひとまず先に団長に報告するようにと言われたので、詳しい状況は小隊長達が確認する手はずになっております。」
=ガタン=
ハンスが慌てて立ち上がり、椅子を倒した様ですね。
それにしてもこの見習い卒の騎士はあまり宜しくありませんね。今後は再教育を受けさせましょう。ルダート副団長もルダート第2騎士隊隊長の目が分かりずらいですが、細まっているので指示しなくても勝手に再教育をしてくれそうですね。
「ヴァグナーク隊長、落ち着い座って下さい。
まだ状況が分かっていないのでしょう?それにミーナちゃんには半端な訓練はさせていませんし、強さも確かでしょう。
今までだって何度も撃退してきているではありませんか。」
「…そうだな。」
おや、かなり動揺されていますね。やはりいくら強い愛娘の事でも、心配で仕方がないのでしょう。
「ミーナちゃんの件は分かりました。
ルダート副団長はミーナちゃんから事情を確認しに赴いて下さい。
今後の事もあるので、ルダート隊長とドレット隊長も同席して下さい。もし、心のケアが必要であればお願いしますね、ドレット隊長。
今日の定例の隊長会議はこれで終わりに致しましょう。何か報告事項があれば、ルダート副団長に直接言いに行って下さい。」
基本的に騎士団の方針は、ルダート副団長が決めてますからね。私に報告されても意味がありませんから。
私の立場は、強さの象徴でしかありませんからね。
暫く自分の執務室で書類のサインをしていましたが、飽きてきましたね。お目付役のルダート副団長も不在ですし、訓練場に顔を出して、気の緩んでいる騎士にお灸をすえに行きましょうか。ハンスを誘っても、ミーナちゃんの事が心配で本来の力を発揮しないでしょうからつまらないですし。
「団長大変だ!
ミーナちゃんが捕らえた奴らが、かなりやばい事に首突っ込んでやがる。
大至急で緊急会議を招集してくれ。
時間が足りんから、陛下たち重鎮にも参加をしてもらってくれ。」
噂をすれば影と言うわけではありませんが、ルダート副団長が戻ってきてしまいましたね。
しかも、かなりの緊急事態が発生したみたいですね。
ミーナちゃんが捕らえたと言う事は、ミーナちゃん自身は無事と言う事でしょうが、何があったのでしょうか?
今聞きたい所ですが、後々のルダート副団長の報復が恐ろしいので、言われた通りに緊急会議を招集しますか。
と言っても、特別制の魔法が込められているペンのキャップを外すだけですが。
「特別会議を招集しましたよ。
それで何があったのですか?」
「王都襲撃を計画してる連中だった。」
それは何とも…。第3騎士隊は仕事をしていなかったのでしょうか?
ちょっとこれは、由々しき事態になりそうですね。
「騎士団の責任として、私も前線で活動致しましょう。」
「団長は、ただ単に前線で暴れたいだけだろ。」
ため息を吐かれながら、ジト目を向けてきます。
確かに暴れたいだけですが、騎士団の失態をカバーする最善の策ではありませんか?
ルダート副団長と緊急会議を行う会議室を移動します。
呼び出したこちらが遅いようではさらに難癖をつけられてしまいますからね。
会議室に着くと、血相を変えたハンスとシュテルネン魔法士団団長が既に到着していました。
「ミーナに何かあったのか!?」
「ミーナちゃんはいたって元気だ。ただ、相手がな…。
それは、会議が始まってから全員まとめて話す。シュテルネン団長もいいですね。」
それぞれ、納得は仕切っていませんが定位置に着きます。
そして、時間をおかずに続々と国の重鎮や各部隊の隊長・副隊長が集まって来ました。
ドレット隊長とフェルディ隊長以外が揃った所で、ルダート副団長が説明を始めます。
「こたびの緊急の招集に応じて頂きありがとございます。
集まって頂いたのは、緊急性の高い情報を入手したことによります。
事の発端は、今朝方、要保護観察対象者である、ミーナ・ヴァグナーク譲が10人程の男達に襲撃された事にあります。
しかし、この襲撃者達は、ミーナ譲個人を狙った訳ではなく、たまたま学院に向かって歩いていた学院生の少女達を狙っただけだった様です。
連中の目的は、学院内への潜入と王都襲撃が起こった際に、学院で騒動を起こす予定だった様です。
現在は、第5騎士隊の人間が生け捕りにした人間に尋問をそして、死んだ人間からは持ち物などで、出身国などの割り出しをしています。」
「第3騎士隊での活動では王都襲撃の情報を掴めていなかったのか?」
「どうやら、最近情報収集の妨害が頻発していた様で、その調査に奔走していた為に、王都襲撃の情報が入って来なかったとの事です。
まことに申し訳ございません。この事は、騎士団で厳重に調査をし厳罰に処します。」
「処罰をする前に、こちらにも報告をして下さい。
もし騎士団内部に王都襲撃に関する内通者がいる様であれば、それは見せしめにせねばなりませんから。」
「分かっております。」
「王都襲撃における対応はどうなっている。」
「既に、第2騎士隊には王都の警備の強化をさせています。不足の人材は第5騎士隊より補充を行っています。
そして第3騎士隊と残りの第5騎士隊には情報収集に奔走させています。
近衛と第1騎士隊は、王宮の警備強化を至急に行ってくれ。
シュテルネン魔法士団団長には事後報告になりますが、第2魔法士団にも第2騎士隊と共に警備強化に当たってもらっています。」
「構わん。わしも最前線に出た方いいか」
「いえ、シュテルネン魔法士団団長には、王宮と【電魔力】供給所の2か所の警備にあたって頂きたいです。その代り、マーギナ魔法士団副団長には前線にでるクリーガ団長に同行して頂いて、サポートをして頂きます。」
「分かった。すぐに取り掛かろう。
ヘレンもいいな?」
「分かりました。」
おや、ルダート副団長は抜け目なく私にお目付役を付けましたね。確かにヘレンには逆らえませんよ。
私の大切な恋人ですからね。
「それだったらもう一人騎士団からつけたらどうだ?」
「…いえ、クリーガ団長について行ける人間は、指揮をとらないといけない立場にいるので難しいかと。
役職が付いていない1級騎士を含めても、ついて行ける実力があるのは、ミーナちゃんぐらいですし…。」
「それであれば、ミーナ・ヴァグナークを共につけろ。
彼女の実力は折り紙付きだろう。」
「ですが、彼女は騎士団に所属していません。」
「騎士団の制服をこっそりと作っているのは知っていますよ。今は人手が足りないのですから、仕方ありませんよ。」
「私も、ミーナちゃんが同行してくれるのであればいいですね。」
陛下は何と素晴らしい提案をしてくれるのでしょう。そして渋るルダート副団長に対するパトリック殿下フォローも最適ですね。
ハンスは項垂れた顔をしていますね。きっとこんな事になるなら隊服なんて作らせるのを断固拒否したのにと思っているでしょうね。
その後も、細かい事を決めて緊急会議は解散となりました。
お読み頂きありがとうございます。




