46話
王座の奥にある扉から陛下と王妃様そしてパトリック王太子殿下が入場され、陛下と王妃様が王座に座られ、パトリック王太子殿下は王妃様の斜め後ろに立って控えられています。
「ハンス・ヴァグナーク、ミーナ・ヴァグナーク面を上げい。
ミーナ・ヴァグナークの今後の事について、決定したことをこの場で発表する。
そして、その発表した内容は、同盟国や敵対中以外の近隣諸国にも謁見終了後に使者を送り、同じ内容を伝える事が決まっている。」
要は、この場で発表した内容は拒否権無しと言う事ですね。確か、シュテルネン侯爵家に養女として入るんでしたね。
「まず、父方の生家であるシュテルネン侯爵家と養子縁組をして、ミーナ・シュテルネンと名を改め、正式な貴族の令嬢として生きてもらう。
次に、魔法の系統と特徴的な見た目の亜麻色の髪に烏羽色の瞳の容姿の事も発表する。」
謁見の間にいる有力貴族から小さな困惑が伺えます。そう言えば今日も変装用の眼鏡をしていましたね。
父様をちらりと見ると、小さく頷かれました。眼鏡を取って良いと言う事ですね。違ったとしても、陛下が言葉にしてしまったので隠し通せなくなりましたし。
私が眼鏡を外すと、今度は小さなどよめきが起きました。
それを受けて陛下が話を再開されます。
「ミーナ・シュテルネンは生まれた時より、この見た目だ。その為、魔法の行使の有無や系統が分かるまでは秘匿にしてきていた。
3歳の頃より魔法士団に通い、魔力値の測定や魔法の系統の判別を行ってきた。
今までは、魔法の系統が一切不明だった為、緊急時以外での人前での魔法の行使を禁止してきた。
そして、こたびの王都襲撃事件の際に、ようやく魔法の系統が判明した。
ミーナ・シュテルネンの魔法の系統は、回復・治癒系統に当たる。現在まで確認されたことの無い系統の魔法になる。
魔法の系統の判別光の色は淡い銀色になる。」
さらにどよめきが大きくなりました。中には、胡散臭そうな目を向けてくる方もいらっしゃいます。
きちんと陛下や王国の重鎮の方の前で、検証しているのでそんなに胡散臭そうな目を向けてこないで頂けないでしょうか?
伯父様やお祖父様、父様がその様な方をチェックされていますので後でどこの家の方かは聞いておきましょう。無用な争いを避けるために、接触する事が無い様に避けさせて頂きましょう。
あら、陛下や王妃様にパトリック王太子殿下にまで、見つかっていますよ。きっと後で災難な事になるかもしれませんね。
「そして、ミーナ・シュテルネンには教会の司祭の位を与えられる事になった。
助祭が行う仕事は、4年感にわたる教会への奉仕活動により十分果たしているとの事だ。
晴れの日も雨の日も風の日も嵐の日も毎日4年間欠かさずにいたとの事で、これは、前枢機卿のお墨付きだ。」
何か言いたそうにされた方がいたので、陛下が先に牽制をしています。
ですが、前枢機卿が私の4年間のボランティア活動の内容を知っているのでしょうか?教会での知り合いは、ガイストリスタ司祭様のみなのですが…。って、法衣を着た人の中にガイストリスタ司祭様がいらっしゃいます。しかも、枢機卿の法衣を身にまとった状態です。ガイストリスタ司祭様が前枢機卿なのですね。それであれば、プランツェ王国の中央教会に私を紹介できますね。
私が現実逃避をまたしている間も陛下の話が進んでいきます。
私の事のお話なので、しっかりと聞かなければなりませんね。
「さらに、ミーナ・シュテルネンにはこの王国の貴族として、そして教会の司祭として同盟国や敵対国以外の近隣諸国を回ってもらい、怪我人や病人の回復と治癒をしてもらう。
魔法の精度を上げるためにも、実戦で場数を踏むしかないからな。
馬鹿な考えを起こして、ミーナ・シュテルネンを誘拐・監禁をしない事だ。
実父がハンス・ヴァグナークであり、祖父がアーノルド・シュテルネンである事を努々忘れない事だな。」
何人か苦い顔をされています。誘拐・監禁するつもりの方がいらっしゃったのですか?只の自殺志願者か馬鹿なのでしょうか?
と言いますか、謁見の間にいるのは基本的に貴族の方達ですよね?顔に出過ぎで分かりやすすぎますが、大丈夫なのでしょうか?
貴族は腹芸が出来て何ぼのものではなかったのでしょうか?今までよく無事に過ごされてきましたね。
「最後に、ミーナ・シュテルネンの婚約者をパトリックにする。」
はいぃぃぃぃ―――――――!!?
何故にパトリック王太子殿下の婚約者にならなければいけないのでしょうか?私はダンさんが好きなんですよ!?いえ、ダンさんとは恋人関係にはまだなれていませんでしたが、後2年したら私からアプローチする予定でしたのに。
パトリック王太子殿下との婚約など迷惑です!!
周りの貴族の方達もこれには動揺を隠しきれない様です。
どよめきが今までの比ではない程に大きいです。
そうでしょう、この中の何名かは自分の娘をパトリック王太子殿下の妃にしようと画策されている方もいらっしゃる筈です。
それが、突然現れた私に奪われたのですから、心穏やかではいられないですよね。ですが、そんな事を画策される方達なだけあって、表情からは分かりませんね。
と言うか、私は何を調べようとしているのでしょう?そんなの自分の身の安全のためでしたよ。
現実逃避を切実にしたいです。
「以上になる。
ミーナ・シュテルネンは他国巡りに出発するまでは、週に1度は王宮を訪れ王妃教育を受ける様に。
それ以外の細かい事は、義父になるルーカス・シュテルネンに聞くように。」
それだけを言い残して、陛下と王妃様とパトリック王太子殿下は退出されました。
私はこれからの事に、どんよりとした思いになります。
どうして、こんな力を備えたのですか?ナディエージ様!!
お読み頂きありがとうございます。
これにて第3章の本編は終わりになります。
閑話を何話か入れた後に第4章に突入します。




