42話
お待たせしました。
目が覚めると、騎士団の隊舎にある父様の執務室の隣にある休憩室のベッドに寝かされていました。
えっと…何故ここで寝てる事態になっているのでしょうか?
確か学院に行く途中で、10人の襲撃者に襲われて撃退し、その人達が王都襲撃を企てていることが分かって、騎士団第2騎士隊の騎舎で副団長達に説明しましたね。
その後、安全の為に騎士団の隊舎に移って、父様の執務室で団長に期間限定での騎士見習いに任命され、団長と一緒に今回の黒幕と思しきドゥムガイツ貿易商会長を捕縛しに行き…ドゥムガイツ貿易商会長が仲間の男に…殺されて…団長が……。
「いや―――!!」
「ミーナどうした!?」
「ぃゃ…はぁ、はぁ…うっ、ひっ…」
「落ち着け、呼吸をしっかりしろ。吸って吐いて…」
「はぁはぁ……父様?」
「落ち着いたな。怖い夢でも見たのか?
はぁそれよりも、やっと目が覚めたんだな。
……本当に良かった。」
「父様、オルデンさんは…どうなったのですか?」
「オル…団長も無事だ。
怪我の回復も済んで、今回の件の事後処理を行っている。」
「死にかけていたのに、もう回復しているんですか?」
「その件についてだが……。
その前に、あの王都襲撃事件から既に半月が経っている。
あの日から、ミーナは半月ほど眠りについていたんだ。
気を失うまでの事は覚えているか?」
「…覚えています。目が覚めた時に意識を失う前の事を思い出して、オルデ…団長が切られたのを思い出して叫んでしまいましたので。
それにしても半月も経っているのですか?
でも団長の怪我は半月で動き回れる程度の怪我では無かったと思うのですが。」
「話は戻るが、団長の怪我の回復に当たってミーナの魔力の系統が判明したかもしれない。
それは、今まで誰も習得した者も発現した者もいない、回復・治癒系の魔法と言う事に話が纏まっている。
それとミーナが意識を失って、今まで目覚めなかった理由が魔力枯渇だ。
…しかも、生命の危機に瀕する程のレベルでの枯渇だった。」
「魔力枯渇した場合は、魔法の行使が出来なくなり、体に倦怠感が出るだけではないのですか?」
「本来ならそうだ。その状態で無意識にストッパーが掛かりそれ以上の行使が出来ない状態に勝手に体が反応してくれる。
しかし、何らかの原因でそのストッパーが効かなかった場合、生命の危機になるレベルで魔力を持っていかれる事が分かっている。
団長からの話を聞く限り、ミーナのストッパーは目の前で親しい人が殺されるのを見て、壊れてしまったのだろうと結論が出ているがどうだろうか?」
「あの…父様。私、常に魔力を纏っていたので何がキッカケでどんな魔法が行使したのか分からないです。
それに、回復・治癒系の魔法を私が行使したとは思えないのですが…。」
「ミーナが回復次第、その検証実験をすることが決まっている。
それと、団長からの証言と現状がその事実が高い事を示している。」
「どういう事でしょうか?」
「…団長曰く、ミーナが叫び声を上げ20年前の悪魔と対峙した辺りから、遠のいていた意識が回復しだし、そして、傷口が急激に塞がって治癒したとの事だ。
さらに、王都中で軽傷・重症の状態を問わずに、すべての怪我をした者達も同じ頃合いに意識の回復と傷の治癒が起こり、…傷口が銀色の光に包まれていたらしい。」
言葉が出ません。一体私はあの瞬間に何をしたのでしょうか?
もし本当に私が、回復・治癒系の魔法を行使したのであれば、魔力枯渇で意識を失うのも納得できます。だって、王都中の怪我人の回復・治癒を行ってしまっていたのでしょう。
でもそうしますと、せっかく騎士様や魔法士様が倒した敵やあの異形なモノも復活してしまったのでしょうか?
「父様、敵やあの異形なモノはその時どうなったのでしょうか?」
「敵も傷が回復したが、復活したのはこちらも同じだ。そして、あの異形なモノは回復せずに全て死んだ。だからこそ、敵は速やかに捕縛出来ている。」
「…そうですか。良かったです。」
もし私の所為で、敵もせっかく倒したあの異形なモノも完全復活していましたら、寝覚めが悪いですからね。
そして、私は今後どうなるのでしょうか?
「ミーナ、今後の事はすべて、検証結果が出てから決まるが…。
もし本当に回復・治癒系の魔法の使い手だった場合、シュテルネン侯爵家に養女として迎えらる。シュテルネンの家は侯爵の位を賜ったからな。」
「それは、私の力を狙う者から守る為に位が上がったのでしょうか?」
「いや、違う。
お祖父様の若い時からの活躍で、爵位を上げる話はあったが全て断っていただけだ。そして、今回も敵の捕縛や追跡で功績を上げている事から、いい加減爵位を上げる運びになっただけだ。」
「でも、既にお祖父様は爵位をルーカス伯父様に引き継がれていますよね?」
「そうだが、家としての功績にするそうだ。今更新しい爵位を渡したところで、意味が無いのを陛下が知っているからな。」
「確かにそうですね。」
「…どんな結果になったとしても、ミーナが俺の娘である事は変わらない。」
「父様…ありがとうございます。」
父様のどんな状況になっても父娘の絆は切れないと言ってくれているようでうれしくなり、涙が溢れそうになります。
こんな所で泣くのは御免ですので、ぐっと堪えます。
ですが、父様には私が涙をこらえているのがお見通しの様で、頭をポンポンされました。
ダンさんがやって嬉しがっているのを見た時から、励ます時やほめるときによく頭をポンポンするようになりました。
ちょっと恥ずかしいですね。それに好きな人にやられているのを見られていた事にも恥ずかしさが増します。
恥ずかしさに身悶えていると、執務室の方から声を掛けられました。
「ヴァグナーク隊長、ミーナ嬢が目覚めたと伺いました。
そちらの部屋へ入室してもよろしいでしょうか?」
お読み頂きありがとうございます。




