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30話

手にしていた剣を左手に持ち替え、先程オルデンさんを拘束しようとした鎖を再び出します。

鎖を投げ輪をする要領でブンブンと振り回します。かなりのスピードで回し続け、風を発生させ石礫や水球を吹き飛ばそうとして鎖を回しながら近ずいていますが、吹き飛ぶ気配はありませんね。

これでも最高スピードで回しているので、これ以上の風圧は期待できません。

それならば、精密なコントロールが出来る程度にスピードを落として、石礫を破壊しましょうか。


=シュンシュンシュン、カッカッカン=


鎖で鞭打つ様な動きをさせ、石礫を勢いよく破壊していきます。

遠距離からの攻撃なので、破壊した石礫の残骸は私の下までは届きません。

石礫が破壊出来たエリアに少しずつ進入していき、ネイルソン隊長との距離を縮めて行きますが、やはり水球が邪魔ですね。思うようには近ずけません。

火で水球を蒸発させる事も考えましたが、火種も無ければその高温に耐えられる体もしていません。

だいたい、沸騰している水球の大きさが変わらない所を見るに、蒸発してくれそうにありませんしね。


くっ、そろそろ右腕の筋肉が限界です。コントロールが大分甘くなり、撃ち漏らす石礫が出てきました。

こうなれば、鎖は諦めるしかありませんね。

鎖を手元に戻し、腕からワンタッチで取外します。

直ぐに石礫が復活するでしょうから、剣を盾にして身を庇いましょう。

でも、これをすると視界が遮られて反応が悪くなる為、あまり使いたく無かったのですが。


=ガクン=


左足が何かに拘束された様で、前につんのめってしまいました。

足元を見ると、土が足に巻きついています。どうやら土魔法で拘束されてしまいました。

剣を盾代わりにして、意識がそぞろになって足元への注意を怠っていた様です。

足元に向けた目線を前に戻すと、幾つもの氷の槍が私を狙っています。

動けない状態では、全て捌ききれません。困りましたね、降参だけはしたくありませんが…。


左足に隠していた折りたたみ式の大き目な手裏剣を、剣を投擲して目線を誘導している隙に出し組立てブーメランの要領で幾つか投げ付けます。

そして、右足に装備している私の相棒の三節棍を取り出し構えます。


「まだ武器を隠し持っているんですか…一体どれだけ……。」

「まさか、普段からこんなに隠し持ってませんよね…?」


ネイルソン隊長とイヴォール大臣が呟いていますが、今答えが必要ですか?


「何時もは剣を持ってない程度です。」


取り敢えず、答えておきましょうか。

何故、お2人とも呆れた顔なのですか。

鳥籠の鳥にならざる得なかったのですから、自衛の為に出来ることをするのは当たり前じゃないのですか。

それを、残念な子を見る目で見ないで頂きたいです。


前世では、弟と忍者ごっこやヒーローごっこーー弟がヒーロー役で私が悪の魔王役でしたーーをして遊んでいたので、暗器を持って実際に戦うのに抵抗ございません。

むしろ、ありがとうございますと言いたいところです。平凡を装うチートとか楽しいではないですか。

あれっ…私の思考回路が脳筋に侵されて……。まさか、今迄否定していましたが、脳筋の戦闘狂ではありませんか!!

どうした事でしょう。

周りの残念な子を見る目に納得してしまいそうです。

父様とお祖父様は平然としていますが、父様達も隠れ脳筋でしたか。そうですか、シルバ兄様の脳筋は誰に似たのか不思議でしたが、確実にお祖父様からの遺伝ですね。


心が折られ、その場にへたり込みます。そう、orzの形ですね。


「決め手が無いので、降参致します。」

「……勝者、ネイルソン第1魔法隊隊長っ。」


左足を拘束していた土魔法が解除され、ネイルソン隊長に手を差し伸べられます。


「此方も決め手を悉く潰されて困っていましたよ。」

「風魔法を使われれば、また違ったのではないですか?」

「私の風魔法は情報収集と防御が主ですから、使用してましたよ。

でなければ、簡単に攻撃を食らって負けてましたよ。」


竜巻とかカマイタチは使えないのですね。竜巻とか此処で使われても困るので、いいのですが。


「この後は、クリーガ騎士団団長とネイルソン第1魔法隊隊長の連合との模擬戦ですが、直ぐ行いますか?」

「少し休ませて貰っても良いでしょうか?」

「分かりました。では、休憩を挟みましょう。」


意外と長くネイルソン隊長と戦っていたので体力が大分消費してますし、何より心を落ち着かせねば、次は簡単に負けそうです。


再び伯父様の側に戻りローネ水を飲み、心を癒す為に取って置きのリーネのドライフルーツを食べます。

リーネは山になっている為、中々採取出来ないーー基本的に森に来る為ーーので、私にとってはとっておきのドライフルーツです。

あー、甘いものはやはり癒しです。

もっと、甘味が増えればいいのですが。

お読み頂きありがとうございます。


ミーナちゃんは、才能はもともと有りますが、努力を惜しまないので8歳児にしてチートじみた強さがあります。

そして、漸く脳筋に気づいた模様です。実は前世の茜ちゃんの時から隠れ脳筋でした。

勉強は普通に出来るけど、運動してる時が兎に角楽しくて仕方のない子ですね。

と言う、どうでも良い設定です。

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