20話
母様の体を蝕んだ流行病が終息して、今は暖かな日差しが気持ちいリューリンの季節になりました。
日差しが気持ちいいので、庭にピーターとフィーを放して日光浴をさせています。
今までであれば、午前中のこの時間は家事に追われていましたが、母様の体調が落ち着いて以降は、伯父様の家の侍女のエマさんが毎日家事をしに我が家にやってくる様になりました。
私としては、今まで自分で家事をしていたので、家事をやって貰うのが申し訳ないのです。
しかし伯父様と伯母様、父様にエマはこれが仕事でお給金を貰っているのだから、と言われてしまい手伝う事が出来ません。
エマさんにも、手伝おうとするとやんわりと断られます。
午前中の時間が空くだけだったらまだ困らなかったのですが、今まで淑女の勉強を見ていたのが母様だったので、その時間も2週に1回程度に減ってしまいました。
理由は、伯爵夫人で忙しい伯母様の予定が空いている時に、淑女の勉強をする事になったからです。
それなのに、更に暇な時間が増える可能性が出てきました。
どうやら私の勉強が、学院の間に学ぶ事を学び終わっていた様です。
私の部屋の掃除に入ったエマさんが、机に広げたままの勉強道具を見て、父様と伯父様に話した様です。
私としては、学院で習う内容が中学生レベル迄の内容なのでだったので、復習するだけの内容でした。
前世が現役高校生で大学受験の勉強をしていましたしからね。
来週、伯父様の出す学院卒業時にするテストに合格すれば、勉強も終了でいいそうです。
勉強の時間まで無くなったら、私は1日家の中で何をして過ごせばいいのでしょうか。
「ミーナ様、セシルさんがいらっしゃいました。
リビングにご案内で宜しかったでしょうか?」
「ピーターとフィーを部屋に戻すので、私の部屋の方に案内をお願いします。
ピーター、フィーおいで。」
エマさんが一礼して去って行ったので、私もピーターとフィーを抱き上げて部屋へ向かいます。
部屋に着き、ピーターとフィーを定位置に降ろして立ち上がるとノック音がしました。
「ミーナ様、セシルさんをお連れ致しました。」
「ありがとうございます。お入り下さい。」
エマさんが扉を開いて、セシルが中に入ってきました。
「えっ、何この部屋……」
セシルが呆然としています。
そう言えば、セシルとは何時もリビングでおしゃべりをして過ごしていたので、部屋に入るのは初めてでしたね。
「どこか変でしょうか?」
エマさんも我が家に通う様になってから、初めて部屋に入った時に停止してましたね。
前世の妹の部屋の様に、ぬいぐるみを沢山置いたり、布の切れ端で花のコサージュを作って何ヶ所か飾っていますが変でしょうか?
今の私の年齢でしたら、おかしく無いと思ってますし、兄様達も可愛いと褒めてくれているのですが…。
「違うの。
とっても可愛い部屋だし、ぬいぐるみが沢山あっていいなぁって。
私、まだぬいぐるみ1つしか持ってなくて。
やっぱりぬいぐるみを買うにはコナー服飾店のものがいいから、予約待ちで中々手に入らないんだぁ。
ミーナの持ってる物もコナー服飾店のだね。でも幾つか違うのも混ざってる…?」
「コナー服飾店以外では買わないのですか?
あぁ、コナー服飾店以外のこの部屋に有るのは私が作ったもです。」
「ミーナが作ったの!?凄い!!
しかもコナー服飾店の商品と見劣りしてないよ。触ってもいい?
あっそうそう、コナー服飾店以外だとオリジナリティーが無いか、可愛らしさが足りないのよね。可愛いものは、コナー服飾店のぬいぐるみを真似してるだけだから、それなら予約待ちしてでもオリジナルをと思っていて。
最初、父さんが違うお店で買おうとして、母さんと私に怒られて、しょんぼりしてたの。」
ヘルンーーリスーーのぬいぐるみを抱きながら、楽しそうに笑うセシルがとても可愛らしいです。この光景に勝るものは中々無いですね。
やはり可愛いは正義です。
でも他のお店はコナー服飾店の真似ですか。想像力が足りないのでしょうか?
だから、ぬいぐるみを他のお店が発売しても、私の手元に入ってくるお金が減る事がないのですね。
「でも、ミーナって凄いね。コナー服飾店顔負けの可愛いぬいぐるみを作れるんだもの。
コナー服飾店にないラインナップだったからわかったけど、これなんてガーティで、こっちはラーベでしょ?
あんな獰猛な動物までこんな可愛いぬいぐるみになるなんて。」
「今度、コナー服飾店で販売する予定ですよ。
でもよかった。セシルが可愛いと言ってくれたので安心しました。」
「ちょっと待って、販売予定ってどう言う事なの!?」
「言ってませんでしたっけ?
コナー服飾店で販売しているラービ以外のぬいぐるみのデザインは私がしてるんですよ。」
「ミーナってそんなに凄い人だったの?
私、今からでもやっぱり敬語使うべきかな。」
「最初にお願いした通り、今までと同じタメ口でお願いします。
そもそも、裁縫の練習で作ったぬいぐるみを、伯父様がいつの間にかコナー服飾店で製作して行くんですよ。
まぁ、アイディア料としてお金が入ってきているので、何の問題もありませんし、税金関係は父様が処理してくれていますし。」
「はぁー凄いね。
それに、人形の多さで気になって無かったけど、ぬいぐるみが洋服着てるのね。
ミーナが時々着ている洋服に似てるね。あれも可愛いと思ってたけど、まさかミーナが作ってたの?」
「えぇ、母様から裁縫を習って作ってみたくてなったので、作ってみました。」
「ミーナは将来、お針子に成れる…いやお店を開けそうだね。
色々と大変な問題もあるだろうけど。」
セシルには、父様に許可を取って私の事情を話してあります。
せっかく出来たお友達に隠し事をしていたく無かったのです。
「ねぇミーナ、私に裁縫教えて欲しいの。
母さん忙しくて、裁縫とか教わる時間がなくて。学院で裁縫の授業もあるから…ミーナも一緒に通えるといいんだけどね。」
「…学院に多分通えないでしょうね。
いいですよ。私も時間を持て余して暇だったので、裁縫を教えますね。」
「ありがとう。
あれっ、机の上にもぬいぐるみが置いてあるね。
他のぬいぐるみと違って大きいね。それに首にリボン結んでるんだ。この子には洋服着せないの?」
「えっとその子は…願掛けしてるんです。
そのリボンも意味があるので洋服は着せないです。」
「そうなんだ。どんな意味があるか聞いてもいい?」
「うっ、誰にも言わないで下さいね。
ダンさんの瞳色です。また会いたいなと思ってまして。」
「ふーん、もしかして、ダンにぃに恋しちゃった!?」
「セシルっ!」
「えっ、本当に?
ダンにぃって、何処にでもいる顔だし、何か特筆する事も無いと思うけど…。」
セシルにダンさんに恋してるのがバレてしまいました。
顔がどんどん赤くなってしまいます。セシルがニヤニヤ顔をしています。
恋話は、恥ずかしいですね。
「うーん、ダンにぃの好きな人は聞いた事がないな。
今度聞いてみるね。」
=バン=
「どう言う事かな、ミーナ?」
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