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第三十六話:砂塵のレイダーズ 後編その2

【第三十六話:砂塵のレイダーズ 後編 その2】

港町クシュナール 風鳴きの渓谷

 早朝、クシュナールを出発したユアラたちはガーベイジの野営地に差し掛かっていた。


「お前たち!一旦止まるよ!!」


先頭を走るルシーダが全員に号令を出した。


「マリアンたちに最後の挨拶していきな!!」


見ると、ソマンとの戦闘で亡くなった、マリアンたちの亡骸を、ルカたちが簡易的に土葬した跡があった。


5基の墓標には装備品が並べられ、誰がどこに埋まっているのかわかるようになっていた。


「…本当に死んじゃったのね…マリアン」


マーラがマリアンの墓標の前まで歩み寄ると、口元に手を当てて涙を流した。


「あの時、私がマリアンをもっと強く言っていれば…」


マーラのその言葉に、ルカの脳裏にマリアンの子供を見た時のように笑った顔が映り、表情が暗くなる。

するとルカがマリアンに言う。


「マリアンの願いは…アイリは必ず助け出す!」


それを聞いてマーラも墓標に向かってこう言う。


「私たち親友だもんね。

あなたの忘れ形見を必ず取り戻してみせるわ」


マーラはそう言うと、マリアンが愛用していたロングソードを手に取った。


しかしマーラはガーベイジの仲間の中でも小柄で、役職も魔法兵だ。


重いロングソードを背負ってはみたものの、剣の扱いは初めてのようで、剣先は地面を突いてしまうし、動きもどこかぎこちなかった。


するとレイダーが頭を掻きながら声をかえた。


「もし、その…あんたが良ければ。

その剣を俺に譲ってくれないか?」


「えっ…」


「君が背負うには…重すぎるだろ。

俺が言える立場じゃないのは理解している。

それでも、マリアンの生き様ごと、俺に預けてくれてはくれないか?」


レイダーのその言葉に、マーラはその意図を理解して涙を流すと、レイダーにロングソードを手渡すのだった。


その他の土葬した場所にも、遺留品を置いたので、4人を知る者たちが各々最後の挨拶をしたり、武器を手に取ってゆく。


一通り別れの挨拶が済むと、一行は丁字路を北上しはじめた。


ルシーダが言う。


「以前も通った道だからって皆、抜かるんじゃないよ!

この先はサンドワームの巣に近いからね。

地面の揺らぎには気をつけな!」


するとルカがルシーダに聞く。


「ルシーダさん。地面の揺らぎ?って」


「えっ…ってアンタたち、サンドワームを見るのは初めてかい?

ったく、よくそんな知識で私らに“着いてくる”だなんて言ったもんだね」


ルシーダは呆れたように言うと、こう続けた。


「サンドワームはね、地面に潜っちゃいるが、息継ぎしなきゃ死んじまう生き物なんだよ。

だから、地面を潜って移動する場合であっても、10分に一度は表に顔を出して呼吸しないといけないのさ。

豪快に砂海を泳いでる時なら誰だって警戒するし、近づこうだなんて思わないだろ?

じゃあ、奴らが地下に潜って休んでいる場合、地表はどうなっていると思う? 」


「どうなってるんだ?」


「砂漠から、まるで湧き水がブクブクと吹き出ているように砂を巻き上げて揺らいで見えるのさ。

遠巻きに見たら、水が湧き出てきそうな雰囲気を醸しているものだから、

水と勘違いした動物や、人間がそれに引き寄せられる。

でもそれに触れられる距離に入ったら最後。

サンドワームの大きな口のど真ん中にいるって事なのさ。

後は判るな?地面の砂ごと胃の中に飲み込まれる」


「こわ!」


「だから地面の揺らぎには注意が必要なんだ。

さっ!無駄口はここまでだ、渓谷を抜けるよ!!」


ルシーダはそう言うと、前方に広がった砂海を注意深く凝視する。


すると遠く、アズマヤールの砦方向から逆鱗の丘に向かう一団の砂塵が目に止まった。


ルシーダが伝達魔法を繋いでルディウスに言う。


「ルディウス。こちらの声は届いているね」


「ああ、聞こえている」


「あんたの思惑どおり、アデルたちが逆鱗の丘へと向かっている。

でも見たところ数はそんなでもないよ。

おそらく、アデルの私兵のみのようだ」


「フラット公国軍は一緒じゃないという事か?」


するとルシーダが苦笑いしながら言う。


「ふん。どうせそんな事だろうと思ったよ。

フラット公国の連中はプライドが高くてね。

私らと同行しようだなんてこれっぽっちも考えちゃいないのさ」


「状況は判った。アデルたちの迎撃はこちらで対応できるだろう。

しかしそうなると。危険なのはそっちだ。

フラット公国軍が動かないとなれば、アズマヤールの砦で長居すると、引き返したアデルと進撃してきたフラット軍に囲まれる」


ルディウスの言葉にルシーダが笑った。


「アハハ!随分とお優しい戦軍神官だね。

でも心配はご無用だよ。

私らを誰だと思っている。

略奪と簒奪を繰り返してきた砂塵のガーベイジだよ」


するとルディウスが言う。


「頼もしいが、子供を引き連れて戻る時には十分気を付けてくれ」


「ああ、判ったよ!」


ルディウスとの伝達魔法を終えたルシーダが言う。


「あいつ何なんだい!?」


するとレイダーが言った。


「ルディウスはそういう男さ。

誰でも助けないと気がすまない」


「気に入らないねぇ…そういうヤツは早死にするんだよ」



港町クシュナール 逆鱗の丘付近

 ルディウスたちは直ぐに移動できた800人の兵士と先行して逆鱗の丘に入っていた。


ルディウスがクシュナールで陣容を整えているオーエンに伝達魔法で言う。


「ルシーダから連絡が入った。アデルたち3,000人が、予想どおり我々に向かって進んでいる」


「フラット公国軍は一緒じゃないんですか?」


「ああ。幸いな事に、一枚岩ではないという事だ」


「こちらは1,000人がそろそろ準備できます。

クシュナールには念のため200人残します」


「ああ、よろしく頼む。

こちらは現地に到着した。

地面が思いのほか硬い。

これでは杭が地中に刺さらないので、馬坊柵は岩で代用する。

現地に着いたら確認してくれ」


「判りました。どうかご無事で」


するとルディウスが兵士たちに命令を出した。


「この場所を最終防衛陣地とする。

計画どおり500人の兵士たちはこの場に残り、野営地の設営を急げ!

300人の兵士たちと、セツナとロビンは私と一緒にこの先の脇道に岩で道を塞ぎにいく。

ロビン。まずはこの道の左右に地魔法で壁を交互に複数立ててくれ」


「あいよ!」


するとロビンが早速、地魔法を詠唱し、道の両脇を狙って地面を隆起させた。


隆起した岩は馬に跨って見ても先が見通せないほどの高さになり、馬車3台分の道幅の2/3を塞いだ。


続けて、数十メートル奥にも、同じように岩を隆起させたので、岩を左右に迂回しなければ進めない状態を作り出してゆく。


「ここは何箇所隆起させりゃいいんだ?」とロビン。


するとルディウスが道の両脇の高い丘を見て言う。


「あの丘の上に弓兵を配置できる。

射線を考慮すると、今の位置が最適だろう。

アデルたちがそろそろ逆鱗の丘に入る頃だ。

ここは兵士に任せて先を急ぐぞ」


するとセツナがフィールを呼んだ。


「フィール、先行して状況を見てくれ」


「ブロロ!」


フィールはひと鳴きすると天高く飛翔し逆鱗の丘の向こうへと飛び去った。


 ルディウスたちはつづら折りの道をアデルたちの進撃する方向に向かって進みながら、

脇道に地魔法で壁を作って経路を塞いでゆく。


セツナたちが逆鱗の丘の半分程度まで進んだ時、フィールが眼下にアデルの一団を捉えた。


アデルたちの陣容は、手に短槍やショートソードを持った近接戦闘の兵士が1,500人、

弓兵が1,000人、魔法兵が500人の部隊だった。


セツナがルディウスたちに説明する。


「アデル自身は一番後ろにいる。

皆、スナ飛びネズミに騎乗してこちらに向かっている。

先行偵察に3名が来ている。

あと2回道を折れると視界に入る位置だ」


「判った。ではこちらも3名の兵士を偵察として残して、後は計画どおり迂回ルートで背後へと回り込む。

兵士3名は無理をするな。会敵したら斥候との距離を着かず離れず、本陣の位置までおびき寄せろ。

偶然遭遇したように見せかけて少し慌てろよ」


「任せてください!」と兵士。


「うむ!では我々は脇道を抜けて、奇襲できる位置で待機だ」


ルディウスはそう言うと、東へと馬首を向け、残った兵士を引き連れてその場を立ち去った。


丘の奥へと音が消え、静寂が周囲に漂う。


するとつづら折りの曲がり角からアデルの斥候が姿を現した。


クシュナール兵士の一人が叫ぶ「敵発見!!」そして上空に向けて発煙魔法を放つ。


アデルの斥候もこちらを視認するな否や上空に向けて発煙魔法を放った。


ほぼ同時に異なる色の煙が空高く上がった。


最初に反応したのはアデルだった。


「む…早いな。もう会敵したのか!」


すると立て続けに別の色の煙が上空に上がる。


「赤に青色…少数で逃げているのか?」


アデルは事前にクシュナールの戦力を把握していたので、撃って出てきた事に少し違和感を覚えたが、逆鱗の丘であった事を考え、合点がいった。


「なるほど、狭い場所に誘い込み、我々と互角に戦う作戦か!

悪あがきか…面白い。のってやる」


アデルは荒くれどもに指示を出した。


「斥候が会敵した。敵が近いぞ!」


一方クシュナールの兵士は冷静だった。


ルディウスの言う通り、アデルの斥候との距離を弓で狙いきれない距離を保ちながら、つづら折りを抜けてゆく。


そして最後の折り返しを曲がると、岩を隆起させて作った即席の要塞の中へと駆け込んだ。


クシュナールの偵察兵を追ってきたアデルの斥候のうち一人は、突然現れた岩の壁に戸惑って動きを緩めたが、残りの2人は考えなしに突っ込んでいった。


4回ほど左右に折り返し、一気に視界が回復する。


すると目の前にクシュナールの兵士たちが槍を構えて待っていた。


「うわ!!」「うお!!」


斥候二人は突然目の前に並んだ兵士に驚いて、急制動をかけた。


しかし、勢いがついたスナ飛びネズミはそんなピタリとは止まれない。


斥候たちは騎乗姿勢を崩すと並んだ兵士たちの目前に転がった。


「突け!!」


転がった斥候に向け、兵士の槍が付き込まれた。


斥候二人はあっと言う間に仕留められた。


しかし一人が死に際に発煙魔法を上空へと放つ。


上空に上がる黄色の煙。


それを見た、尻込みしていた斥候が慌てて引き返しながらさらに2発の発煙魔法を上空へ放つ。


それは本陣を発見した合図だった。


その頃、アデルたちは逆鱗の丘の中腹まで進んでいた。


しばらくすると、斥候がアデルの元に戻ってきた。


「敵の本陣を確認!

敵は逆鱗の丘の出口付近に布陣しています」


それを聞いたアデルはニヤリとしながらこう言う。


「どうやら敵は我々に囲まれるのを恐れているようだ。腰抜けめ!」


 一方その頃、クシュナールを出たオーエン率いる1,000人の後詰が現地に到着した。


「状況は!」


すると現場の指揮を任されていた兵長が報告する。


「先ほど斥候が2名入り込み、仕留めました。

また、こちらの偵察の話ではアデル軍は逆鱗の丘の中腹あたりを行軍中のようです」


「判った。では作戦どおり弓兵を両脇の丘へと登らせよ。

合図があるまで存在を悟られるな!

正面には10班に分けて縦列陣で整列!

敵が押し寄せてくるぞ!」


 アデル率いる荒くれどもは、兵士とはいえ、烏合の衆だった。


進撃速度はあるものの、当初最前線にいた近接武器の兵士たちと、すぐ後ろにいた弓兵たちの境界が入り乱れ、一部は混ざった状態だった。


唯一規律があったのは魔法兵だったが、前線の進撃速度に歩調を合わせられず、遅れていた。


その様子をフィールが遠巻きに確認している。


セツナがルディウスに言う。


「先行している槍兵と弓兵の一部は、そろそろ最後のつづら折りにさしかかる。

魔法兵は10馬身ほど後方を行軍中だ」


「ふむ…できれば魔法兵と弓兵を優先的に叩きたいが…魔法兵の動きが鈍いのか…」


ルディウスがオーエンに指示を出す。


「オーエン。しばらくは弓矢の攻撃を凌いでくれ。魔法兵を我々の弓兵の射程圏内まで引き込みたい」


「そりゃ~大変です。でもやってやりますよ。

ところで魔法兵はのこのこ前線に出てきますかね?」


「心配いらん。我々がさっき構築した岩の壁が厄介と判れば、魔法で吹き飛ばそうとするはずだ」


「その壁が吹き飛んだら、数で押し切られて削り取られますよ?」


「心配するな。そのための我々奇襲部隊だ。壁が残っているうちにこちらも動く」


「まあ、伊達に騎士をやっているわけじゃないんで、やってみせます。

そちらも十分気を付けて下さいよ」


ルディウスはオーエンとの伝達魔法を終えると、セツナに聞いた。


「アデルは今どこにいる?」


「今は逆鱗の丘の2/3辺りに手勢100名と共に、列の最後尾にいる。

自分たちが塞いだ脇道には目もくれてないみたい。

あ!今前線が本陣の壁の前まで到達した!」


「ならば我々も行動を開始しよう。

アデルの背後を襲う!」


 前線では道に突き出た岩を掻い潜って荒くれどもが侵攻し始めていた。


オーエンが号令を出す。


「槍兵構え!!」


号令と共に兵士の矛先が天に向く。


荒くれどもも、盾をかざして駆け込んでくる。


そして手前の荒くれが槍のリーチ内に飛び込んだ時だった。


オーエンの号令が響いた。


「振り下ろせ!!」


その号令と共に、まるで高波が岩肌を打ち付けるように、槍先が荒くれどもの頭目掛けて振り下ろされた。


「バキャン!!」という金属のぶち当たる音が丘に響き、盾を構えた荒くれどもの頭上に、重たい矛先がヒットする。


重力と加速度の乗った矛先の攻撃を受けて、一部の荒くれは地面に転がり、盾で辛うじて受け止めた荒くれも姿勢を崩す。


「突け!!」


オーエンの号令で兵士たちが横一線で槍を繰り出す。


槍襖により、荒くれどもは次々と突きさされ地面に転がった。


しかしその後ろにいた荒くれも、手前で転がった仲間を踏み越えて突きだした槍を掴んで封じようとする。


すると今度は兵士の直ぐ後に整列していた兵士が、前線の兵士の脇を半歩すり抜けて、先ほどと同様に荒くれどもの直上から槍を振り下ろす。


「バキャン!!」とまた音が響き、槍を掴もうとした荒くれの頭をかち割った。


「突け!!」


さっきと同じように矛先で叩き落としてからの突きを繰り出す兵士たち。


古典的ながら一矢乱れぬその動きに、荒くれどもは恐れをなした。


岩によって道を制約され、抜けた先での槍兵による叩き落としからの突きの前に、

荒くれどもの勢いはあっと言う間に鈍化した。


アデル軍の前線から苦戦の報が届き、アデルは焦った。


「なにをもたもたしている!!矢を射かけろ!!魔法兵は忌々しい岩壁を破壊しろ!!」


アデルの指示で弓兵が各々壁の向こう側にいるであろう兵士に向けブラインドショットを放つ。


しかし射程が計算できないため、一部は前線に到達したばかりの荒くれどもの背中を襲った。


一方で兵士たちは盾を頭上に張り巡らせ、矢を防ぐ。


すると、荒くれどもの兵長らしき人物が撤退を叫んだ。


「退け!!退け!!」


その号令と共に、荒くれどもは兵士の正面から撤退し、ロビンが作った岩陰まで撤退した。


前線から戻って来た荒くれどもの兵長がアデルに言う。


「壁が邪魔で戦えない!何とかしてくれ!!」


「判っている!!!敵の術中にはまるからこうなるのだ!

兵士を引上げさせろ。魔法兵で壁を破壊する!!」


アデルはイライラしながら直ぐに指示を出す。


前線に出ていた荒くれどもと入れ違うように、これまで後方で待機していた魔法兵が前線近くまで来て、詠唱しはじめた。


5層ある壁の内、最初の壁に魔法兵たちが爆裂魔法を収束させて破壊を試みる。


「ボン!」「ドゴーン!!」という地面を揺らす破裂音が丘に響き、隆起した岩肌を砕いてゆく。


しかし、分厚い岩肌は、そう簡単に破砕できなかった。


その音を聞いたオーエンが丘の上に伏せさせていた弓兵に指示を出す。


「弓兵、敵に向けて三連射!構え!!」


号令と共に、丘の上で待機していた弓兵が弓を引き切る。


「斉射開始!!」


魔法兵たちの両脇の丘から弓兵が一斉に身を乗り出したかと思うと、一気に矢の雨を降らせた。


魔法兵は突然頭上から降り注いだ矢の雨に圧倒され、前線に出てきた半数以上が1分とたたずに地面に貼付けされ壊滅した。


後方で待機していた荒くれどもの弓兵も反応して反撃しようと試みたが、前線から戻った兵士と混ざり合ってしまっていたため、射撃の姿勢が取れずまともに反撃もできないまま、丘の上から狙撃され打倒された。


「前線が壊滅寸前です!!」


アデルの元に、前線から矢を肩に受けた兵士が必死の形相で駆け込んで叫ぶ。


「魔法兵に反撃させろ!!」とアデルが叫ぶ。


「魔法兵、弓兵共に、混乱状態です!」


「なんだと!…」


アデルの表情が硬直したその時だった。


前線の喧騒に混じって後方から馬の掛ける音が響いてきた。


『切り裂け。烈風の刃よ、愚か者を刻め』


『焼き尽くせ。貪欲なる炎よ、彼の髄まですすり燃やし清めよ』


『噛み砕け。大地の牙よ、愚鈍なる敵に更なる枷を』


詠唱が耳に届くと同時に、周囲の兵士がちが魔法で吹き飛んでゆく。


見ると、逆鱗の丘の裏手を大きく迂回したルディウス隊がアデルに迫っていた。


「ばかな!?」アデルが狼狽する。


すると先陣を切って駆けてきたロビンがアデルに初撃をお見舞いする。


ガキュン!!


思わず剣で受け詰めるアデル。


しかし騎馬の勢いの乗ったロビンのツヴァイハンダーの一撃を諸に受けとめたため、アデルは弾かれ地面に転がった。


アデルが身を起こす頃には、周囲の護衛兵は駆逐され、兵士たちに囲まれていた。


ルディウスが馬上からアデルに言う。


「投降しろ。もはやお前たちに勝ち目はない」


言うが早いか、兵士が一気にアデルを拘束し地面に組み伏せた。


アデルの頭に分厚い布をかぶせると、馬に荷物のように載せ、一気にその場を離れる一行。


数分後、前線から兵士が報告に戻った時には、アデルの姿はなく、100人いたはずの護衛兵の屍が地面に転がっていた。


アデルを失った荒くれどもに組織的な抵抗はできず、前線の荒くれどもは、何の指令も貰えないまますり減らされ、100名にも満たない仲間と共に壊走した。


クシュナール側の被害は矢で被弾した3名のみであった。


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