小さな疑問と深まる疑惑と
「なんだか、聞いていたよりも大変そうだな、お前の部活って」
「いや、あれはたまたま特殊な例だっただけで⋯⋯」
大人しく無謀な挑戦を諦めた僕と友也は、フードコーナーを冷やかしながらブラブラと探索を続けていた。
さっきの遠山先輩の行動だけで、天文部が変な部活動だと思われてはたまらない。
そう思った僕は、普段の活動内容や、今までの観測会の出来事を説明しようとしていた。
「それで、観測の準備をしていたら、犬が乱入してきて⋯⋯」
あれっ⋯⋯。
「一応体力も必要だから走り込みとかも大事だし⋯⋯」
そういえばタヌキも拾ってきたよな⋯⋯。
「合宿所には本格的な観測装置もあってさ」
本格的(?)な流しソーメンも体験したっけ⋯⋯。
なんでだろう、説明しようとすればするほど誤解がひどくなる様な⋯⋯。
「とにかく、普段は真面目にやってるし、良かったら後で見に来てよ」
「まあ気が向いたらな」
全然来る気が無さそうな友也に苦笑しながら、ふと時間を確認すると、いつの間にか11時を回ろうとしていた。
「そろそろ戻ろうか」
「そういえば12時から会場当番だったっけ」
「まあね」
そんな会話をしながら校舎に戻る途中、折りたたまれたコピー用紙の様なものが落ちているのに気が付いた。
「誰だよ、こんな所に」
ゴミかとも思ったけれど、万が一の事を考えて、中を確認する為に拡げてみる。
「あれっ!?」
「なんだよ、それ。⋯⋯あなたの相性診断書?」
そこに書かれていたのは、どうやら占いの分析シートらしかった。
「どうするんだよ、こんなの」
明らかに面倒くさそうな友也の顔。
僕だって関わりたくは無いけれど、なんだか落とした人が気の毒な気もする。
そして、もっと関わりたく無い気もするけれど、占いといえば、どうしても浮かんでくる、あの人の影。
慌ててパンフレットで確認してみると、どうやらある教室でそれは開催されているらしかった。
「ごめん、友也。ちょっとこれ届けに行ってくる」
「なんだよ。もしかして知り合い?」
「知り合いというか、なんというか⋯⋯」
「その言い方、何か隠しているだろ」
まずい、付き合いが長いだけあって、完全に僕の癖を読まれている。
「まだ時間あるだろ。どうせ暇だから付き合ってやるよ」
暇つぶしの良いネタを見つけたと言わんばかりのその顔に、更に誤解が広がらない事を祈りながら友也を連れて、その教室へと向かったのだった。
「すいません、こちらに竹内という方は⋯⋯」
「⋯⋯おや、久しぶりだね」
「一輝、この人も知り合いなのか?」
「うん⋯⋯。 天文部のOBで、前の部長さんなんだ⋯⋯」
明らかに戸惑った顔の友也。
無理もない、暗幕が張られた教室の中を見渡せば、意味有りげな謎の地図の様な物だったり、積み重ねられた本だったり、カードだったり。
更に見渡せば、そこに居るのはほとんどが女子生徒ばかりで、僕達2人は、どう見ても場違いな空間だった。
「すいません、これが落ちていたので何か知らないかと思って」
「⋯⋯確かにこれは私の診断書だね。⋯⋯届けてくれてありがとう、ついでに何か占ってあげようか?」
「すいません、そろそろ僕は天文部に戻らないと」
「⋯⋯それは残念。⋯⋯そちらのお友達は何かあるかな?」
「あの、俺は大丈夫です」
流石の友也もその怪しげ⋯⋯、神秘的な空間に気おされて大人しくなっている。
「⋯⋯なんなら君達2人の相性でも⋯⋯」
「お疲れ様でした。またいつか」
久しぶりの竹内元部長に、最後まで言わせる前に僕と友也はその教室、ーー占いの館コーナーから飛び出したのだった。
「なあ、やっぱり天文部って⋯⋯」
「いや、あれは個人の趣味で、部活とは関係無くて⋯⋯」
いや、占星術だからやっぱり関係あるのかな、そんな事を頭の片隅で考えながら、変な部活疑惑を打ち消すのだった。
今週はシルバーウィークという事で久しぶりに更新多め
次回『少しの決意とまさかの展開と』は9月20日(日)21時頃更新予定です




