表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
65/67

去年の秘密


「あっ、久しぶり〜。うん、まあね⋯⋯」


 学園祭の為の買い出しの途中、久しぶりに顔を合わせた佐藤先輩に手伝ってもらいながら、部室に戻ってきた僕達。


 ちょうど差し入れに来た宮前先輩も合流して、最近の出来事を話し合っていた時だった。


 展示用の写真のサポートをしてくれている写真部の島本先輩の事が話題になると、佐藤先輩と宮前先輩の様子がなんだかおかしい。


 この間の写真チェックの時に感じていた結星先輩と島本先輩の距離感には、やはり何かあったのだろうか。


「勝志さん、島本先輩と去年何かあったのですか?」


 どうやら、他のみんなも違和感を感じていたのか、大山君が佐藤先輩に、問いかける。


 さすが幼馴染だけあって、僕と矢口君では聞きにくかった話題を、遠慮なく切り出してくれた。


「島本は去年の夏合宿の時に松井先輩が連れて来たのが最初だった⋯⋯」


 そういえば、松井先輩は写真部と掛け持ちしていたのだったっけ。


 話を聞いていくと、去年の写真部の新入生の中でも色々と活動熱心で、それを気にいった松井先輩が天文部の合宿に誘ったのがきっかけだったとか。


「今年も写真部とうまく付き合える橋渡しもしたかったのだろうな」


「そうだったのですか」


 確かに色々と写真の事に詳しそうだったし、松井先輩の推薦だったのならば、問題は無さそうだけれど。


「う〜ん。悪い人ではないんだけどね〜」


 いつもは歯切れの良い宮前先輩までもが、なんだか口ごもっている。


「そう、悪い奴ではないけれど、少し熱心すぎたんだ」


 夏合宿に参加した島本先輩は、天文写真についてはあまり詳しくなく、松井先輩や他の天文部員達に教えてもらいながら交流を深めて、打ち解けていったのだとか。


「それでちょっと、仲良くなりすぎたというか〜」


 うん?!


「結星をモデルにして写真を撮りたいとか言い出したのよね〜」


 えっ!?


 確かに結星先輩は親切だし、勘違いしても仕方ない。


そこまで考えてから、ふと気付く。


 それって今の僕も同じなのでは⋯⋯。


 胸騒ぎを覚えながらも、その後も2人の話を聞き続ける僕。


 結局、モデルの話にあまり乗り気では無かった事もあって、学園祭の準備が終わった後は自然にフェードアウトしていったのだとか。


「結構、いろんな娘をモデルに誘ったりしているみたいだし。それでこの間も愛純ちゃんを連れて、席を外したんだ〜」


 この間は飲み物を買ってくると言って席を外したのはそんな理由だったのか。

 

「まあ、悪い噂がたっている訳じゃないけどな」


 むしろ、可愛く撮ってくれるという事で、一部界隈では引っ張りだこなんだとか。


 ただ気がかりなのは、今年の学園祭の準備の機会で再び距離感が近くなっている所らしい。


「結星はそういうの、鈍いところあるしね〜」


「結局は島本のダメージが大きくなりそうなんだよな」


 なるほど、そんな理由があったとは。


 それでも万が一、2人の気が合ったりしたらどうしよう。


 そんな事を考えている途中、佐藤先輩のスマホが鳴り出した。


「おっ、遠山だ。バイト終わったかな」


「あれ、何か約束してたの〜」


「うん、久しぶりだし、ご飯でも行こうかって」


「ああ〜」


 そう言いながら、通話を取るとスピーカーにしていなくてもこちらまで聞こえてくる遠山先輩の声。


『おう!! 待たせたな!!』


「お疲れさん。どこに行こうか」


『疲れて腹も減ったし、あそこの店かな!!』


 とても疲れている人の声とは思えない位に元気そうなのですけれど。  


「あー。あそこか」


『それじゃあ、あっちで合流で!!』


 そう言って通話は切れた。


「あ〜。私そろそろ帰らないと、佐藤君またね〜」


 そう言って宮前先輩は、帰り支度を始めたのだけれど、なんだか『あそこの店』と聞いた途端に準備を急ぎ

はじめたのは気のせいかな。


「お疲れさん。クッキーありがとう」


「うん、じゃあね〜」


 そう言って、帰っていった宮前先輩の姿が見えなくなると、佐藤先輩が意味有りげに笑う。


「よし、ここからは男だけのお楽しみタイムだな」


 そのひと言に、さっきまでの不安とはまた違う嫌な予感がしてきた僕だった。




次回は8月21日(金)21時頃更新予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ