思わぬ再会?
「おっ、準備は順調か?」
「佐藤先輩!」「勝志さん」
結局僕と大山君の2人だけで、必要な資材を見て回っている最中に出会ったのは佐藤先輩だった。
モデルロケットの大会に専念したいと言って、部活から離れてから半月ぐらいしか経っていないのに、随分と懐かしい感じがする。
「何だよ、変な顔をして。俺に会えなくて寂しかったのか」
冗談交じりに軽く笑っているその姿は、部活の時に感じていた頼れる先輩といったイメージでは無く、少しやんちゃな感じがする。
「それにしても2人だけなんて珍しいな。少しは独立心でも出てきたか?」
「いや、実はですね⋯⋯」
何故こんな事になっているかの説明を聞いた佐藤先輩は、大笑い。
「相変わらずだな、お前たち」
「あまり笑い事じゃ無いんですけどね」
「いや、それでいいんだよ。楽しくやるのが1番だ」
その言葉に、ハッとする。
さっきから感じていた、佐藤先輩の違和感。
一緒に活動していた時は、どちらかと言うと、大人しめで、ブレーキ役の様な感じだったけれど、今は無責任に相変わらずの天文部の暴走っぷりを楽しんでいる様だ。
きっと部活を離れる時には色々悩みもあっただろうけれど、今は自分の好きな事に専念しているからか、肩の力が抜けている様に見える。
「おう!! お前達、こんな所にいたのか!!」
「2人ともお待たせ」
ちょうどその時、カートを押しながら戻ってきた矢口君と遠山先輩。
「全く、急に居なくなるから探したぞ!!」
いや、矢口君を拉致(?)して姿を消したのは遠山先輩の方ですよね。
「矢口君、その荷物は一体?」
大山君に言われて押してきたカートを見ると、何やら段ボールまで積み込まれている様だ。
「ケース買いがお得だって先輩が言うから⋯⋯」
よく見ると、経口補水液や、塩分タブレットのラベルまで見える。
「これって高塚さんの分?」
「うん、熱には水分補給が大事だからって⋯⋯」
「今買っておかないと、シーズンオフになるからな!!」
そういう問題では無いのでは?
「随分と営業熱心だな」
呆れながら声をかける佐藤先輩に、遠山先輩と矢口君も気付いた様だ。
「おう!!」
「お久しぶりです」
あらためて、挨拶を交わしていると、『3番お願いします』という店内放送が聞こえてきた。
「おっ!! ヘルプの要請だ、すまんな!!」
急に、顔を引き締める遠山先輩。
そういえば今まで僕達に付きっきりで大丈夫だったのだろうか。
「久しぶりだし、折角だから終わったら、メシでも食いにいかないか?」
そんな事言っている場合なのだろうか?
そのまま返事も聞かずに去って行く遠山先輩を見ながら苦笑いする僕達だった。
「よし、とりあえず必要な物を揃えたら、部室に運ぶか。」
「勝志さんの方は大丈夫なんですか?」
「今日は下見だけの予定だから手伝ってやるよ」
こうして、僕達は手分けして荷物を運びながら、1度学校に戻る事となったのだった。
「そういえば、写真の準備は出来たのか?」
「そちらは、倉野先輩と、写真部の島本先輩が中心になって進めてくれました」
「ああ、島本か⋯⋯」
そう言った佐藤先輩の声が、若干曇ったような気がした。
この間の宮前先輩も少し様子がおかしかったし、やっぱり何か問題でもあるのだろうか。
「島本先輩が何か?」
あえて軽い調子で聞いてみる。
「いや、いい奴だし、写真の事に関しては心配無いんだが⋯⋯」
逆に不安になるその言い方。
そんな会話をしている間に部室に着き、まずは荷物を整理しながら、遠山先輩のアルバイトが終わるのを待っている時だった。
「お疲れ様〜」
部室に顔を出したのは、宮前先輩。
「差し入れだよ〜。学園祭の試作品」
料理部の方の模擬店で出す、クッキーの試作品を持ってきてくれたのだとか。
「宮前、今年も島本が担当なんだって?」
「あっ、久しぶり〜。うん、まあね⋯⋯」
一体去年に何があったのだろう。
次回のは8月14日(金)21時頃更新予定です




