勘違いの休日
「もしもし友也?」
「ん、どうした?」
「どうしたって、この間の事だけど⋯⋯」
佐藤先輩の1件が終わった後、僕はすぐに友也に連絡を取っていた。
とにかく、色々悩んでいても仕方ない。
1つずつ問題を片付けて少しでも前に進んでいこうと思っていたのだけれど⋯⋯。
「あー、真理恵の事か」
まさかの面倒くさそうな感じの返事。
もしかして、僕が思い込み過ぎていただけなのか?
「どうせヒマだし、うちに来ないか?」
「今からってまだ学校だし」
「あー、天文部だったっけ?なんて言うか、お前高校に入ってから少し変わったな」
「えっ」
「陸上やってた頃はなんとなくみたいな感じだったのに、最近積極的になったというか」
確かに中学の頃はみんながやっているから、別に嫌いでは無いけれど、好きでも無くて、それが当たり前と思いながら部活もやっていた。
「そんなに変わったように見えるかな」
「まあいいんじゃない。とりあえず今日が無理なら、週末にでも遊びに来るか?」
そういえば、前々から遊ぶ約束はしていたけれど、そのままになっていたな。
「それじゃあ、また」
「おう」
なんとなく先延ばしにしている感じにはなったけれども、少し時間を置くのも良いかもしれない。
焦らずに問題を片付けていこう。
夏休みが終わった途端、急に現実に引き戻されたこの2日間の疲れからか、その日帰宅した後はさっさと布団に潜り込んだのだった。
「あら、久しぶりね」
「お邪魔します」
そういえば、友也の家に来たのは、いつぶりだろう。
出迎えてくれたお母さんに挨拶しながら考える。
GW前に中学時代の連れ達と遊んだ時は現地集合だったし、春休み以来?
そういえば、結星先輩と初めて会ったのも春休みだったっけ。
わずか半年前の事なのに、随分昔の出来事な気がする。
「よう」
遅れて顔を出した友也について、部屋に入ると積み上げられた雑誌や、ゲーム機、後は最近ハマっているらしいアイドルのポスター。
「この部屋、全然変わってないね」
「やりたい事出来るのも今のうちだけだろ」
そう言って僕にクッションを勧めながら、ベッドに腰掛ける友也。
「まあね」
やりたい事か⋯⋯。
今の僕にとって大事な事ってなんだろう。
「なんだよ変な顔して、やっぱり彼女居るのか?」
「いや、そうじゃ無くて」
半分ふざけながら聞いてくる友也に返事しながら考える。
僕にとって⋯⋯。
天文部? 結星先輩? それとも?
「変なのは、最近の真理恵もだけどさ」
そうだ、今日ここに来たのは真理恵ちゃんの事だったよな。
「真理恵ちゃんが?」
「あいつが部活で遅くなるのはいつもの事なんだけどさ。顔を合わせると少しは動けとか、外にも出ろとか文句ばかり言っていたのが⋯⋯」
「言っていたのが?」
「最近は、どんな音楽聞いているのとか、マイブームを聞いてきたり⋯⋯」
「聞いてきたり?」
「ご飯は2杯までしかおかわりしないし、スイーツをあまり食べなくなったり⋯⋯」
「!?」
「あいつも気になる男でも出来たのかなって」
やっぱりこの間の遊園地の1件は⋯⋯。
「だからやっぱり気になる相手が出来たら色々知りたくなるのか、彼女の居そうなお前に聞いてみたかったんだけど」
「だから居ないって」
内心は焦りながらも、冗談っぽく答えを返す。
友也が心配性の兄貴なのか、ただの天然ボケなのかはよくわからないけれど、どうやら僕が相手だとは思っていなかったみたいだ。
「この間、遊園地行った時はどうだったの」
「えっ?」
やっぱり気付かれている?
「だから、もしかしたらお前にだったら何か相談しているかと思ってさ」
「普通に色々遊んでまわっただけだよ」
よし、気付かれていないな。
「そうかー。ならしばらく放っておくか」
「まあ、そのうちなんとかなるんじゃないかな」
曖昧にごまかしながら、その後は、出来るだけ真理恵ちゃんの事には触れない様にしながら、久しぶりに友也とバカな話をしながら盛り上がった僕だった。
次回『答え合わせのひと時』は6月26日(金)21時頃更新予定です




