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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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デート開始

「こういうのって中1の時以来だったっけ?」


「うん、そうだね⋯⋯」


 入場ゲートへ向う人の流れの中で、明らかにテンションが上がっている真理恵ちゃん。


「何よ、元気ないわね。もしかして楽しみにし過ぎて寝不足とか?」


「いや、結構混んでるなと思って⋯⋯」


「つまらない事心配してないで、行くよ」


 そう言って、僕の手をつかんで今にも駆け出しそうな真理恵ちゃん。


 そんな変な顔していたかな。


 確かに真理恵ちゃんと来る事になるとは思っていなかったけれど、このままでは真理恵ちゃんにも悪いし、気持ちを切り替えなければ。





「最初は、あれにしよう」


 真理恵ちゃんの指さす方を見ると、高い所まで張り巡らされたレールが見えた。


 いきなりメイン級のジェットコースターからスタートなんてなんだか真理恵ちゃんらしいな。


 そんな事を考えていた僕の頭の上を1台のコースターが駆けていった。


「あれっ?!」


 気のせいだったかな、なんだか今のコースター、逆走していた様に見えたけれど⋯⋯。


「今の見えた?楽しそうでしょ」


「見えたけれど進んでいる方向逆じゃ無かった?」


「あれであってるのよ」


 そう言って真理恵ちゃんが見せてくれたスマホ画面には、ガイドが表示されていたのだけれど⋯⋯。


「⋯⋯バック⋯⋯トルネード!?」


「刺激的で楽しそうでしょ」


 後ろ向きに進むジェットコースターなんてあるの?


 最初から予想外にハードなアトラクションを体験する事になった僕は、今日一日無事で終われるのだろうかと、早くも嫌な予感がするのだった。




「結構良かったね。じゃあ次は⋯⋯」


 その後も、ハードなアトラクションばかりを選んで挑戦しようとする真理恵ちゃん、さすが体育会系というか、何というか。


 結局、午前中だけで4回も刺激的な体験をした僕は、すっかり平衡感覚がおかしくなってきたような気がしていた。


「ねえ、次は少しクールダウンして、これに挑戦するのはどうかな?」


 とにかく、少しでも時間を稼いで身体を休めなければ、真理恵ちゃんの前でダウンして情けない姿を見せるのも嫌だし。


 そう思って、ランチタイム中に僕が提案したのは、ミステリアス・ラビリンスという謎解き型の迷宮コースだった。


「なんだか面倒くさそうな感じね」


「ほら、夏休み限定企画だから今しか挑戦出来ないし」


 まだまだ体力が余っていそうな真理恵ちゃん。


 あまり乗り気では無さそうだけれど、なんとかその気にさせようと必死に説得を続ける。


「結構暑いから、少し涼しい所に行くのもありかな」


 ようやく真理恵ちゃんを納得させて、僕達は次のイベントへと向かったのだった。






「そういえば一輝、高校では天文部なんて、インドア系になったね」


「いや、結構体力使っているよ」


 この前の合宿もなんだかかんだとハードだったしな⋯⋯。


 


 ミステリアス・ラビリンスは期間限定という事もあって、結構人が並んでいた。


 待ち時間の間に、体力作りで走らされた事や、観測会での体験を色々と話す。


「知らない間に、色々頑張っているんだね」


「ずっとバスケ部で頑張っている真理恵ちゃんも凄いよ」


 あらためてこうして話をしていると、お互い結構変わっていたりするんだなと思う。


「でも、一生懸命頑張っているのいいと思うよ」


 なんだか、少しさみしそうな感じがするのは気のせいだろうか。


「あっ、そろそろ私たちの番じゃない?」


 そう言われて気付くと、スタート地点のすぐそばまで来ていたみたいだった。




「何、これ?」


「⋯⋯地図みたいだけど」


 最初のチェックポイントで渡されたのは、ゴールまでの簡単な地図らしいけれど、どうやら途中で迷路の謎を解かないとクリア出来ないらしい。


「頭脳派になった一輝に期待しているからね」


「そんな事言わないで、一緒に頑張ってよ」


 こんな調子で大丈夫なのだろうか、そんな事を思いながら僕達は第一歩を踏み出したのだった。



 


果たして何事も無く脱出出来るのでしょうか

次回『すれ違いのラビリンス』は4月17日(金)21時頃更新予定です

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