どうしてこうなった?!
「お待たせ⋯⋯。何、そのチケット?さっきの話ってもしかして私に?!」
会計しているのを待っている間に考え事をしていたら、遊園地のペアチケットを真理恵ちゃんに見られてしまった。
「いや、あの、えっと⋯⋯」
どうしよう、とっさの事でうまく言葉が出てこない。
「なによ、今更照れるなんておかしくない?」
口ごもっている僕を見て、ますます勘違いが進んでいる様な気がする。
とにかくこの場をなんとかしなくては。
「いや、これは、友達が行けなくなったからって譲ってもらった物で⋯⋯」
「それで行く相手を探していたんでしょ」
違わないけれど違うんだってば。
「ちょっと待ってね。空いている日は⋯⋯」
スマホを取り出してスケジュールを確認している真理恵ちゃん。
その様子を見ていると、今更違うとは言いだせなくなる。
昔から活発で、運動神経も良かったけれど、たまに早とちりして暴走するのを友也と一緒に振り回された事もあったっけ。
相変わらずといえば相変わらずだけれど、幼なじみのままの感覚で、距離感とか気にしていないのだろうか。
別に嫌な訳では無いけれど、あらためて2人でどこかへ行くのも変な感じだし、やっぱりここは、ちゃんと説明した方が良いのかも。
「練習試合がこの日だから⋯⋯、ねえ、今度の週末の後はどうかな?」
「⋯⋯夏休み中だから特に予定は無いかな」
しまった、つい勢いにつられて返事してしまった。
「じゃあね。また近くなったら連絡するね。そうだ、たまには友也も外に連れ出してあげてよ」
そう言って、奢ってくれたスポーツドリンクを僕に手渡すと、僕の返事も待たずに、真理恵ちゃんは立ち去っていってしまった。
「どうしよう⋯⋯」
思いがけない展開ですっかり調子がくるってしまった僕は、しばらくその場に立ちつくした後、下見の予定を取り止めて、家へと引き返す事にしたのだった。
数日後、真理恵ちゃんの双子の兄妹、友也から着信があった。
「お前、真理恵とデートするんだって?」
久しぶりに遊びの誘いかと思ったら、開口一番に出たこの言葉。
「いや、あれは、勘違いだったはずなんだけど⋯⋯」
「なんだか最近、あいつの様子がおかしいと思っていたらさ⋯⋯」
どうやら、最近家で真理恵ちゃんの様子がそわそわと落ち着かない様子で、彼氏でも出来たのかと思って聞いてみたのだそうだ。
「ちょっと待ってよ」
知らない間に、話が大きくなっている気がして、慌てて事情を説明する。
「お前もお人好しだねー」
事情を聞いて大笑いしている友也、身内だと思って遠慮無しだな。
「まあ、お互い相手が出来た時の予行演習みたいな感じでいい経験じゃないの?」
遠慮無しというよりは完全に他人事で楽しんでいるな。
「それで、結局その部活の先輩へのお返しどうするのよ?」
⋯⋯他人事では無くてただの野次馬かもしれない。
「友也だったらどうする?」
「帰宅部の俺にそれを聞くの?」
わらにもすがる思いで聞いてみたらこの調子。
「遊園地に行ったお土産とかでお菓子でも渡しとけば? じゃあ、真理恵のお守りよろしくな」
お土産作戦は確かに良さげだけれど、誰と行ってきた事にすればいいんだよ。
その後は、完全に興味を無くしたらしく、参考になるのかよくわからないアドバイスを貰って通話は終了したのだった。
「おはよう」
結局、事態は何も解決しないままで迎えたデート(?)当日、待ち合わせの場所に現れた真理恵ちゃん。
天文部のみんなと出かけた時とは違って、なんだか少し気恥ずかしいのは何故だろう。
「こうして出かけるの久しぶりだね」
「そうだね」
「今日はうるさい友也もいないし」
相変わらずお互いに遠慮の無い兄妹だな。
遊園地へ向う道中で、思い出話や近況報告をしながら、同窓会ってこんな感じなのかなと少し思った僕だった。
という訳でどんな事になるのか
次回『デート開始』は4月10日(金)21時頃更新予定です




