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WSS/1-異界冒険譚  作者: たかしモドキ
第7話「実にエッチである」
58/80

-【7-5】-何をしでかすか分からないよ僕は

オトロが北アンガフ街入り口に消えてから、

リュンクは篤丸へ質問を投げかけるタイミングを狙っていた。


事情を知らない篤丸は、足腰を屈伸させた後、

上半身のストレッチを行いながら、

一人でリュンクが脱線させたトロッコへと向かった。


何をするのかと傾注していると、篤丸は横たわるトロッコの側で、

口から血を(にじ)ませているアマテオ兵の遺体の前に立ち

その足を掴むと、ズリズリと引きづりながらこちらに帰ってきた。


「捨て置いて野ざらしにしとくのもな。気が悪いけぇな」


「ああ‥そうだね」


リュンクは、「最もな考え方だけど、その運び方は無いんじゃない?」と

ぶっきら棒な武士に道徳を説きたい気持ちになった。


篤丸は引きずってきた死体を、縛られたアマテオ兵達の前に降ろし

キッと威嚇するように睨みつける。


「おう!おめぇらの大将は誰じゃ!」


「‥‥‥」


篤丸の質問にだんまりで返すアマテオ兵。


「何じゃ!?おめぇ等!口が無ぇんか!?

 しゃきっと答えんか!!」


(いか)つい怒声で威圧する篤丸、

それに気圧されたのか、先ほど降伏したアマテオ兵が

首を上げて死体の方へ向け(あご)で指し示す。


「そこのガキが殺した‥‥その人がアドヒ隊長だ」


「おう‥そうか、そりゃすまんの。

 死んどるなら返事できんわな」


悪びれる様子も無くそう言う篤丸に、

返答を返したアマテオ兵は敵意を剥き出しにした。


「お前等‥とんでもない事しやがったよ

 俺達の寝首を掻いておいて、勝利だと良い気になっている様だが

 何にも分かっちゃいない!」


「おお?何じゃ?負け惜しみか?情けない」


「もう終わりなんだよ!!お前等は!!!

 大人しく帝国の占領を受け入れていれば良かったものの!

 この地にはあの人が来てるんだ!!もうすぐそこまで来ているかもな!!」


「おい!!お前!!ベラベラ喋るな!」


熱くなり感情のままに口を滑らせるアマテオ兵に、

仲間が静止する様、肩をぶつける。


しかし興奮するアマテオ兵は、

敗走に失敗してヤケになっているのか、

仲間の言葉に強く言い返す。


「良いだろうが!どうせ俺達は見せしめに殺される!!

 悪態ぐらいつかせろ!!そもそもアマテオに忠義なんか無いだろ!

 それに知られたところで、こいつ等にどうこう出来る人達じゃ無い!!」


「おまっ‥‥くっそ‥‥ああ!そうかよ!好きにしろ!!」


行く先は絶望。


その事を仲間の口から聞いた事で、根性が折れたのか

静止を促していたアマテオ兵は静かになってしまう。


「何じゃ?仲間割れかよ。アマ公は根性無しばかりじゃ!

 そんな国の兵なんぞ、戦士じゃろうが騎士じゃろうが相手にならんわ!!」


ここぞとアマテオ兵を煽るあたり、これが篤丸流の尋問なのだと(うかが)え、

リュンクは、自分が下手に口出しすると、話の流れが変わる気がしたので

黙っておく事にしたが、意味深に腕を組んで悪そうに頬をニヤけさせては、

「何をしでかすか分からないよ僕は」と言った具合に極悪の尋問官を装ってみる。


「はっ!!お前なんか相手になるかよ!!お前等が相手にしようとしているのは

 白銀騎士隊だ!!もう既に、この地に来てる!!突貫騎士サルホーガ卿と一緒にな!!!」


ドン!!と効果線でも付きそうな言い回しで真実を告げるアマテオ兵。


その言葉を受けた篤丸は眉を(ひそ)める。


「白銀騎士隊‥‥其処元(そこもと)よ‥詳しいか?」


「ひひひっ‥‥ん?‥え‥あっ‥僕?」


「なんぞ其処元!悪い顔じゃな!」


極悪人を演じるあまり、

会話を聞き逃していたリュンクは、顔を赤くする。


「ははっ‥ごめん。聞いてなかった何の話?」


「頼むぞ其処元?白銀騎士隊の事を聞いたんじゃ。

 なんか知らんか?」


「ああ‥あいつ等か‥‥えっと‥白銀騎士隊は‥確か

 何たら大陸で最強の武力集団とか‥すごい強い騎士達…‥らしいよ」


「ふむ‥‥耳にした事はあるが、戦場で目立つ白銀の武具などと

 母衣衆(ほろしゅう)の様な奴らか?しかし精兵(せいびょう)なれば‥」


「せ‥性病?よくわかんないけど、サルホーガとか言う奴は、

 一人で500人を倒せるくらい強いんだ‥‥って‥‥うん‥‥そんな感じ」


「そうだ!!少しは腕が立つみたいだがな!

 キンビニーの片田舎で偉そうにできても

 お山の大将気取りが関の山、あの人達がここに来れば

 お前達反乱軍なんか一瞬で潰されておしまいなんだよ!!」


「‥‥‥‥」


気まずい。


こんなに気まずい事が他にあるだろうか?


リュンクは、自死を悟った兵士の悪足掻きじみた悪態が、

中身が空っぽの最後っ屁だと知っている。


なにせ、目の前のアマテオ兵が最後の希望とする

その突貫騎士様は、自分がこの手で殺害したのだから。


この様な完全マウント状態を妄想し、

相手に吠え面をかかせるシュチュエーションは、

第三者からしてほくそ笑む様な優越感を得られるものだが

当事者からすれば、安易にネタをばらしドヤ顔などできたものじゃない。


最後の自尊心を振り絞って分泌された

濃度の高い負け惜しみを踏みにじる行為は、

例え敵兵であってもしてはいけない気がする。


大の大人が、充血した目尻を潤ませた言葉を

無思慮(むしりょ)に侮辱するのは、冒涜と言って余りある様に感じた。


このアマテオ兵の具合で、再びサルホーガの言葉が蘇る。


自分の様に超常の異能を持つ存在が、戦に関与すれば

こう言う大番狂わせが起こる。


正しいのは彼の方なのだ。



「面白いのぉ」



ふと、頭を悩ませるリュンクに投げかけられた言葉。


篤丸は、さも嬉しそうに天を仰いでいる。


「面白い!?何が面白い!!」


嘲笑とも取れる篤丸の言葉にアマテオ兵が吠えたが

篤丸は陽気に続ける。


「おめぇ等には、預かり知らん事じゃけどな

 わしの()った国では、そんな者は居らなんだ。

 いや、居るには居ったが、蓋を開けてみれば

 噂の一人歩きだったり、兵法に長けるだけの話で

 武人然として生き、兵具一つで無双を叶えた者は殆ど知らん」


篤丸の言葉が侮辱ではないと気が付いたのか

アマテオ兵は口を噤み、その言葉に耳を傾ける。


「しかしどうじゃ?この国には、その様な豪傑(ごうけつ)が実在しておる。

 生身一つで500の兵とな‥‥本当に面白いのう!

 わしとて武芸に生涯を(つい)やす身、是非見習いたい。

 ここに来とると言うのなら手合わせの一つでも願いたい所じゃな!」


「っぐ‥‥‥‥うるせぇな‥‥気安く言うなよ

 これだから‥‥この土地の人間は嫌いなんだ」


屈託の無い純粋な篤丸の言葉で気概が失せたのか

アマテオ兵は、炭酸が抜けたソーダの様に勢いを無くす。


その様子を見たリュンクは、

自分に無い篤丸の戦いに対する価値観に対し

強い興味を抱いた。


戦いを通して自分に生じた強い葛藤を打ち砕く

きっかけの様なものを篤丸の中に見出したからだ。


それからしばし沈黙があり、少し間をあけてから

先程息まいたアマテオ兵が再び口を開いた。


「おいガキ‥‥あのジジイくたばったか?」


「‥ジジイ?」


突然の質問を受けたリュンクは、

一瞬該当する人物が分からなかったが

それがあの道具屋の老人ドダウだと気付く。


「ああ‥道具屋のお爺さんか」


「そうだよ。あのじじいくたばったかよ?

 馬鹿な爺さんだよな!!まんまと騙されて!!!」


その言葉で、リュンクはムッと感情的になる。


老人ドダウとは知り合いでも無いリュンクだが、

アマテオ兵を善意で匿っていた経緯を知っている者からして

そういう言い方をされると腹が立って当然だ。


「そんな事よく‥」

「亡くなられた」


リュンクの言葉に被せる様に篤丸が言う。


「‥‥は?死んだって‥‥馬鹿言うなよ」


「老体じゃからの。お前らの射った矢の当たりどころが悪くてな

 血が止まらんで亡くなったわ」


「そんな訳ないだろ!!太い血管は交わしたはずだ!!

 あんなんで‥死ぬ訳ねぇよ‥」


「満足か?まぁ騙される爺さんも悪いけぇ自業自得じゃが

 馬鹿な爺さんを殺せて嬉しいじゃろ?」


「‥‥‥‥‥」


えらく消沈した様子のアマテオ兵を見て

リュンクは疑問を感じると同時に

足の負傷をものともしていなかった

あの元気そうな老人を思い出す。


「アツ?」


「其処元、何もいうな

 これくらいの罰は受けさせんと駄目じゃ」


そう小声で会話した後でリュンクは、

篤丸がどうしてそんな意地悪な嘘をついたのか考え、

頭を悩ませた結果、この目の前のアマテオ兵こそ

オトロに対して老人ドダウが命乞いした

ケサブロとかいう名前のアマテオ兵だと分かる。


そう言う事かと、遅れて勘付くリュンク。


老人の口ぶりと、先ほどの質問からして

このケサブロとか言うアマテオ兵は、

本当に老人に情が移っていて、

逃げる為、止む終えず老人を傷つけたのだ。


要するに、自分がした事を理解させる為に

わざと老人の死を匂わせて反省を促したと言う訳か。


更に「これくらいの罰は」と言う事は、

篤丸にも老人の要求に応じる気持ちがあると言う事で‥。


リュンクは、オトロには厳しいことを言っていたが

結局は篤丸も甘いじゃないかと、なぜだが嬉しくなった。


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


それからめっきり話さなくなったアマテオ兵を置いて

リュンクと篤丸は、肩を並べて尻をつく。



少し、感情がブレてしまったが

このタイミングを逃してなるものかと

リュンクは口早に質問を試みる。


「アツ!いや、篤丸はさ!どこの出身なの!?」


「うーむ。其処元に言うても知らんとこじゃ

 備前の国、御野郡がわしのお里よ」


「びせん?日本じゃ無いの?」


「にほん?‥‥おお!?大和の呼び名じゃ!!

 其処元!!わしの国を知っとるんか!!」


だいたい分かっていた事だが、やはり篤丸は、

リュンクと同じ世界の人間で間違いない様。


「やっぱり!!篤丸も日本人なんだろ!!」


「ほんなら、其処元もかよ!嬉しいのう!!

 国はどこじゃ!其処元も備前か!?」


篤丸は強く興奮した様子でリュンクの左肩をバンバンと叩く、

彼は、篤丸の質問に答え、自分の生まれた県と町を素直に伝える。


「知らん国じゃの。あいや!しかし気にする事はないぞ!

 なんせわしはひと月前まで、自分の里を出た事も無い若輩(じゃくはい)じゃ」


「ああ‥えっと‥うん‥‥そうだね」


悩ましい。


リュンクには、自分のいた時代と

篤丸のいた時代が違う事が分っていたが、

彼は、その辺りへの理解は薄いと見える。


漫画やアニメなどが栄えた時代で、

可能性を踏襲(とうしゅう)して生み出された創作物に多く触れたリュンクと、

そんなものが一切無い時代に生まれた篤丸、

どちらが現状の理解に長けるかは言うまでも無いだろう。


だからこそ悩ましい。


同じ日本人だから、お互いに素早くコミュニケーションを取れると

たかを括っていたが、この生きた化石の様な人間には

どう言うアプローチが正解なのだろうか?


リュンクは思案し、取り敢えず相手の土俵に立って会話を続ける事とする。


「篤丸は武士なんでしょ?だからそんなに強いんだね!!」


「武士か。そうじゃと言いたい所じゃが、偉そうに苗など付けておるが、

 わしの田舎は、まだまだ手柄の無い兵法道場よ。

 赤松殿の死後、不安定な国の内乱に乗じ

 名をあげんと一族一丸となって奮い立っとる所じゃ」


篤丸の口から飛び出す、お里事情の数々は、

リュンクの頭には全く留まらない。

まさにちくわ耳とはこの事。


ふと、リュンクは社会の授業で先生が言っていた事を思い出す。


社会の先生曰く、映画やドラマで表現されている時代劇では、

その言葉を現代向けにしているが、いざ昔の人間と会話しようとすれば

ほぼ違う言語に聞こえ、お互い会話が成立しないらしい。


なら、ある程度会話が成立しているこの状況は、

どちらかが疎通の紋術を行使していると言う事になるが

それが篤丸である可能性は低い。


ならば、これもリュンクの持つ紋印とやらの影響なのかもしれない。


なんにせよ不幸中の幸いと思うとしよう。


「道場って事はさ!その柄の長い日本刀を使った剣術を使うんだね?」


「にほんとう‥とはなんじゃ?」


「え?日本刀だよ!侍が持ってる刀さ!

 それは日本刀じゃ無いの?」


「?‥おお!長巻か!?其処元の国では、長巻の事を日本刀と呼んどるのか?」


意外だが、納得できる事実。

昔の人間に、日本刀という名称は通じない様だ。


確かに、他の国の刀剣と区別する必要が無い時代に

わざわざ国の名前を頭につける必要はない。


「長巻か‥その長巻を使う剣術を篤丸は習得しているの?

 その‥必殺技とか‥奥義とかあるのかな!?」


「いや。わしの道場は長巻を扱う流派じゃなく

 打刀(うちがたな)を獲物とした業前で道場を開いておる。

 わしは未熟故に打刀を扱うには足らんのよ」


うまく理解できないが、最初の内は長い日本刀を使って

その強さに比例して持ち手を短くしていくのだろうか?


リュンクは、それならば最終的には、柄の無い刀になり

刀身を手にくくりつける百鬼丸スタイルが最強か?とやや勘違いをした。


しかし、このまま相手に合わせて会話を続けていても

どうにも前に進む気がしないので

リュンクは、ここいらで本題に入る事にする。


「篤丸はどうやってこの世界に?

 もしかして君も女神に連れてこられたの!?」


「うむ‥この地に来たきっかけか。

 今よりひと月程前の事になるが、あれは女神というよりも

 天女か物の怪の類よ。かのように美しい髪をした女をわしは初めて見た。

 青味がかった濃く艶やかな髪に、雪の様な肌。わしは狐に化かされたと(おのの)いた」


篤丸の言う容姿から人物像を想像すると、

リュンクを異界に招いたうんこ女神とは全く異なる存在に思える。


そうして篤丸は、神妙な顔で語り始める。



〜以下説明〜【渡界、篤丸の場合】

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


ひと月ほど前の事。


先ほども言うたが、わしの国は不安定な状況で

浦上殿に続き、機に乗じて名を上げようといきり立っておった。


わしも、未熟ながら兄上の護衛として戦さ場に赴く次第となったが

何分にも修行が足らず合戦では長巻でないと獲物にできん。


そこでじゃ。


わしの里より離れ、邑久郡の冬井村に向かい

親父殿の旧友である薙刀(なぎなた)の兵法者なるお方に

薙刀術を御指南頂き、その都合で山籠りをしておったのじゃが。


そこで出会おうたのよ。


名を「アエウオ」と名乗り、美しい着物を血潮で濡らした痩けた女じゃった。


わしは、危篤と思い身を案じたが、どうにも急いておる様子でな、

罠にはめられただの、なんだの聞きなれん言葉で色々と話しておった。


わしも平時ならまだしも、突然の事故(ことゆえ)に内容はあまり覚えとらん。


確か「あぶにる」だとか「じととと」がどうだとか言うとったわ。


その女には天命を尽くす者が居るらしく、

わしにその者に何かを渡すように頼んできたのじゃが

それを受け取る前に突き飛ばされてな

気が付けば、わしは見た事もない岩山に居った。


何も分からぬまま、その地を放浪していた所、

大きな熊のような生き物に襲われたんじゃが

そこをアンガフ決起隊の連中に助けられたと言う具合。


それからアンガフ町長のワワロ殿に拾われ

見知らぬ地で助けられ、飯まで食わせて貰らっては、

一命の儀を感じ、わしもアンガフの決起隊の戦士団になったわけじゃ。


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

〜以下説明終わり〜



どうにも内容が掴めない。


篤丸の話を聞く限りは概ね

リュンクと同じ具合でこの異界にやって来たようだが、

何というかキャストや状況がやや異なる。


リュンクの場合では女神であった位置に当てはまる

その「アエウオ」とかいう女は何者だろう‥

名前からして母音の女神とでも言うのだろうか?


まぁ、それは無いにしても

天命を尽くす者が居るという部分には既視感がある。


アエウオが犬スメル(フロエ)の様に神に仕える巫女に相当するのなら

そういう言い回しをするのも頷ける。


篤丸の話ではアエウオは怪我をしていたみたいだが、

確かうんこ女神の身なりも、使用感以上の汚れがあった。


それを強引に結びつけアエウオとうんこ女神の関係を予想すると

二人とも悪神の追っ手から逃げていてその時に負傷したのかも知れない。


篤丸が(おぼろ)げに覚えている「あぶにる」や「じととと」という言葉も

どこか意味深で、特に後者の方はフロエの下半身を切断したという

悪神の手先「トトジトト」と名前が似ている。



とにかく確信めいて思えるのは、

そのアエウオという女は、女神に纏わる事情の関係者で

味方か敵のどちらかであるという事。


更にアエウオは、何かを篤丸に託そうとしたみたいだが

それの内容も気になる。


もしもアエウオが女神の味方だと言うのなら

篤丸がもらい損ねたアイテムは、うんこ女神宛に用意された

悪神の討伐に関係する何かだったはず。


その場合は困った話になる。


もしも逆だと言うのなら、女神やリュンクを害する何かが

未然に防がれたと言う事でとても助かる話だ。


しかし、何よりも気になる事が不明瞭だ。


それは篤丸がどうしてリュンクと異なる時代から

やって来たのかと言う点。


歴史に詳しく無いリュンクには、

篤丸がどれくらい昔の人間か見当もつかないが、

正確な時代云々よりも彼が過去からやって来た意味が分からない。


必然性があったのか、偶然なのか。


そもそも女神側の仕業か悪神側の仕業が分らないが

過去に戻ったりする能力があるのなら

それを駆使して過去に刺客を送り対象を亡き者にする

ダダンダンダダン的な解決方法をとりそうなものだ。


女神に纏わる物事は、どれも(もや)がかかった様に簡単に理解できないが

悪神を討伐する為に動いていれば

いつか全ての真実が解き明かされる日が来るのだろうか?


何にせよ、悪神の討伐を目的とした旅を続けるのなら

この篤丸の存在が強く関係してくるのは確かだろう。


これは成り行き上の偶然だが、

リュンクは地方同盟に所属し、

篤丸はアンガフ決起隊に所属している。


この二つの勢力は、先ほど両代表者の

オーケンとワワロの合意によって結託したばかり

当面の間、リュンクは篤丸を仲間として見て問題ないだろう。


「わしの話はこれくらいじゃ

 其処元はどの様にしてこの地に」


篤丸の言葉尻に被せる様に、

ブワァという感覚がリュンクを支配した。


これは‥‥


「時間遅延!?」


突然の危機到来を知ったリュンクは、

時間遅延を発動させる自分を害する原因を探る為に

辺りを見渡したが、既にその必要も無いくらいに

自身の触覚がその原因を感じ取っていた。


それは、目も開けられない程の熱気。


リュンクの左半身が耐えられないほどの高温に晒されている。


熱源に触れた時と同じ、条件反射的に右側に飛び上がったリュンク、

咄嗟に回避行動に出てしまったが、遅延する世界の中で篤丸の方を見ると

彼が炎に包まれつつあるのに全くそれを知覚していない事に気付く。


「しまった!!」


リュンクは、篤丸を助ける前に、時間遅延の発動条件である

自身の有害範囲外に出てしまった事で、その機会を逃してしまう。


無慈悲に特かれる時間遅延。


次の瞬間、先ほどまで二人が身の内を語り合っていた場所を、

目が眩むような火炎が包む。


「篤丸!!!!」


炎に包まれた篤丸の安否を、すぐにでも確認したいリュンクだが

その火炎の放射元からは、尚も炎が吐き出され続けていて

篤丸の状況はおろか、この現象を巻き起こしている原因すら視認できない。


リュンクは、足元に置いていた竜剣を

炎を避け転がりながら回収し抜剣してから背負う様に構えたが

そこにも更に炎が迫る。


突然の事で、安直に爆弾でも爆発したのかと思ったリュンクだが

追従してくる炎を見てこれが何者かの攻撃であると確信した。

設定資料のキャラクターを編集しました。


挿絵(By みてみん)



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