表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WSS/1-異界冒険譚  作者: たかしモドキ
第7話「実にエッチである」
54/80

-【7-1】-我ら穴掘り野郎ども

分断監視塔を超え岩盤を(えぐ)る無骨な道を抜けると、

谷間(たにあい)を埋め尽くすその街並みが一望できた。


ケトアトの建築様式が、盛り土の立方体なら

アンガフの建築は、一言で言うと穴。


街を囲う角ばった岩盤の壁に無数に開いた穴と、

それを利用して建築された家々には、

この街特有の色を伺う事ができる。


流石は採掘で栄えた街と言うだけあり、

採掘に利用された穴の利用方法にも、

一朝一夕では成せない創意工夫が見て取れた。


〜以下説明〜【採掘の街アンガフ】

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


採掘の街アンガフの起源は、

ヘテルダ王家がその資産源として

鉱山を開拓し始めた事にあり


旧ヘテルダ王国、現在のウニウラから

派遣された採掘作業員達が、鉱山付近に住み着き

それが集落となり、規模を広げて成ったのがこのアンガフである。


その歴史は、ケトアトよりも古く

当時は、採掘のみであったアンガフでの仕事は、

現在では精錬、製鉄にまで及ぶ。


ケトアトが金物の町と呼ばれるようになったのも

アンガフからの恩恵が大きい。


品質の良いアンガフ製の鋼材は、異界全土で信用され、

武器や防具に関わらず、建築資材、建造資材としても重宝されている。


また、稀に貴金属も発掘され、それらは高級武具に使用され高額で取引される。


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

〜以上説明終わり〜


「岩盤に面した建物はな、だいたい食い物に関連するんだ

 洞窟の中は、温度の変化が少ないってんで、冷暗所保存はもちろん

 肉の塩漬けやら干物やらの保存食を作るのに丁度いいんだとよ」


「へぇ〜、それじゃ穴掘ってる時に生き埋めになっても

 しばらくは大丈夫そうだね!」


「んん〜?ははは!そうかもな!ほれっ肝の串焼き、もう一個食え」


「ありがと!」


分断監視塔が解放されて一日も経たない間に

リュンクとオーケンは、アンガフへと足を運んでいた。


かくいうリュンクはただの付き添い

用事があるのはオーケンで、アンガフの町長達との会談に出席するとの事。


例のごとくポルシィから小遣いを貰った二人は、

ケトアトの出店で買い込んだ軽食を齧りつつ

待ち合わせ場所の第六製鉄所へと向かっている次第。


「生き埋めで思い出したが、昔の鉱山は人間の腕か

 簡単な紋術で洞窟が掘られていてな。

 当時の採掘現場と言えば、火災やら土砂崩れやらが多発する

 大そう危険な職業だったらしい。今じゃ紋術装置が発達しているから

 人間が手で掘るなんて事は殆ど無いらしいがな」


「紋術装置って、アジトの入り口にあった送風機とかの事でしょ?」


「そうだ。完成された紋術回路が組み込まれているから

 適合原級素(てきごうアブニア)に関係なく、紋術を行使できる便利な道具だ

 値段を聞くだけで糞を漏らすくらい高額だがな」


リュンクは、洞窟を掘る装置と聞いて、

どでかいドリル付きの戦車を想像する。


そりゃさぞかし高そうだ。


待ち合わせ場所に指定された第六製鉄所に着くと、

リュンク達を出迎えたのは髭面でよく肥えた男で、

以前、分断監視塔の攻略会議で見かけたアンガフ出身のワワロだ。


「オーケンさん。よく来てくれました!

 紹介します!あなた方に救われた私の家族です」


そう言って髭の間から、白い歯をニカーッと輝かせ

堪らなく嬉しそうにそう言うワワロに対してリュンクは救われる気持ちだ。


「家族が無事で何よりだなワワロさん!

 そして家族の皆、親父さんを返すのが遅くなって済まなかったな!」


「貴方が地方同盟の指導者オーケン様ですか!

 お会いできて光栄です!

 この度の英断、アンガフ一同、頭が上がりませんわ!」


ワワロの妻と思わしき膨よかな女性は、

手を叩きながら感嘆の声を上げる。


「英断だなんて聞こえはいいが、

 俺たちの癇癪(かんしゃく)に巻き込んでいるだけかと考えると

 こちらこそ頭が上がらないよ」


賛美に対し謙遜(けんそん)した態度で返すオーケンに、

ワワロ一家はとんでもないと言い、皆、口早に感謝を述べる。


「それで、そちらの方はご子息ですか?」


「ん?ああ。こいつはリュンク。

 今日は付き添いで来てもらった」


「あ。どうも!こんにちは!」


急に話をふられたリュンクは、急いで元気な挨拶をかます。


「その背負った剣!なんて分厚い剣なのでしょう!

 これが噂の大剣操縦者(アクテオーラー)の武器ですか?

 リュンクさんも地方同盟の戦士なのね!」


「まぁ‥そうだね」


戦士かと尋ねられて、返答に困るリュンク。

その辺りに対する腹づもりは、まだ上手な答えが見つかっていない。


「こいつはこう見えて中々の腕前なんだ。

 分断監視塔攻略では、1番の功労者と言っても過言じゃない」


「ほう!それは凄い!

 是非ともウチの息子にも御指南頂きたいものだ。

 インベル!リュンクさんに挨拶しなさい」


「はい!よろしくお願いします!リュンクさん!!」


「あっ‥えっと、よろしく」


ワワロに呼ばれて現れた、二十歳ほどの見た目をした好青年と

挨拶を交わすリュンクだが、おそらくは

自分の親に近いほど年上、なんとも対応に困る。


(せがれ)のインベルは、アンガフ決起隊‥

 要は、地方同盟と同じ様な組織の一員で、

 アンガフ町長のトフォンを手伝う役職でもあります。

 ここからは(せがれ)が案内致しますので‥‥インベル。無礼がない様にするんだぞ」


「はいお父さん。任せてください」


「まぁまぁ、そう固くなるな!気楽に行こうじゃないか!えぇ?」


インベルは、見た目や態度からも

上品な真面目さがよく伺える。


対してのオーケンは、山賊の様な見た目に乱雑な態度。


その対比を見ては、少し恥ずかしく思うリュンク。


「オーケンは、もうちょっと真面目にしなよ」


「うはは!!無理だな!!そんなことしたら緊張でゲロ吐いちゃうよ」



リュンクは、「この筋肉男、見た目の割に、肝が小さいなぁ」と思った。



インベルに連れられ鉄製の配管に囲まれた道を進むと

製鉄所の奥に背の高い、ビルの様な施設が見えて来た。


その道中、質素な布だけを被せ(とむら)われた

アマテオ兵らしき遺体がいくつか転がっているのを見て、

昨日の作戦中に、アンガフでも戦いがあった事を知る。


しかし、敵兵を捨て置くといった雰囲気でもなく

よく見れば、遺体の頭部の辺りには酒瓶と焼き菓子が供えられ

そこには言い表せない悲壮感が垣間見れた。


遺体を目にしてから歩みが滞るリュンクを見て、

その原因を察したオーケンが呟く。


「分断監視塔の攻略に乗じて

 アンガフに居るアマテオ兵を一掃する動きがあったんだ

 監視塔に侵攻する少し前に偵察が先んじてアンガフに情報を伝え

 アンガフ市街に残留していたアマテオ兵を根こそぎ始末した。

 何年もこの街で過ごしてりゃ、警戒心も薄れるだろうから

 完全に寝首を搔かれた状態だったに違いない‥まぁ、自業自得だな」


長い間同じ空間で生活すれば、敵味方という関係であれ

友好的な交流があってもおかしくは無い。

日常には、そうやって少しづつ闘争心を鈍化させる効果もあるが、

それは時に、気の長い殺傷手段として使われる事もある。


これは良い例だろう。


ただし、敵の死骸ではなく、人の死体として扱い

遺体の尊厳を尊ぶ様に被せられたあの薄い布と、

人として在った事を認める趣向品の供物に、

儚く哀しい人間性が宿っている様に思える。


人の死に対し、特別、感受性が高くなったリュンクだからこそ

そういう人間性の魅せる行為に敬意を抱いた。


「失われた命に思いを馳せるのも大事だが、

 前を向いて見てみろリュンク。

 紡がれた命にも目を向けなくちゃな?」


オーケンに諭され、目線を先に向けると

案内をするインベルの先、高層建造物の前には、

大勢の人間が集まっていて、皆、目を爛々とさせながら二人を見つめていた。


その中心には、ガタイの良い初老の男。

雰囲気からして、おそらく彼が採掘の街アンガフの町長だ。


「よくぞ来てださった!オーケン殿!!

 私はアンガフ町長のトフォン・セノアード。

 長きに渡るケトアトとアンガフ分断からの解放

 アンガフを代表して心からお礼申し上げる!」


「オーケン・アクテオールだ。

 地方同盟の指導者を任されている。

 こちらこそ会えて光栄だ。トフォン町長」


二人は、拳と肘をぶつけ合い命交を交わす。


「ささやかですが、歓迎の準備があります!

 中へどうぞ!」


建築物の中に招かれた二人は、大きな会議室に通される。


案内役のインベル(いわ)く、普段は製鉄所の重役達が集まる

重要な会議に使用する部屋で、

独特な意匠の家具や、ケトアト製と思わしき真鍮(しんちゅう)(うね)る飾窓は、

ただの施設にしては、確かに仰々(ぎょうぎょう)しい。


部屋の中心には、艶やかに仕上げられた無垢材の長机がドスンと置かれ、

その前に座らされた二人に、次々と軽食や甘味菓子、果実飲料などが振舞われる。


集まった少数のアンガフ市民達を交え、

しばし、談笑しながら飲食を堪能し

和やかなムードになった所で、

オーケンとトフォン町長は、互いの街の現状や民意などを

アマテオ帝国を嘲笑するジョークを挟みながら情報交換していたが

戦争関連の話題となると、少しピリついた雰囲気となる。


「 アンガフにも、地方同盟と同じ動きがありましてな

 それらはアンガフ決起隊として水面下で動いており

 当時、私はそこの指導者をやっておりました。

 私供もケトアトとの結託を考えて行動を起こし

 数年の間、大岩山をぶち抜き横穴を開通させようと準備をしていたのですが

 小さなきっかけであの赤鎧(ブリウトン)めに見つかり‥‥」


「‥‥見せしめにされたか」


「はい。前市長と、捕らえられた決起隊の男供は、皆の眼前で処刑されました。

 それが強い抑止力となり、ペナルティを恐れたアンガフの有権者達は協力を渋り

 決起隊に対して否定的な者達も多く、その一件からは表立った反抗は行えなくなりました。

 外側にある脅威よりも、内側に生じた弊害の方が厄介なのだと、辛酸を嘗める日々でした」


「心労を察するよ。地方同盟とて否定派と折り合いを付けるのに長い時間を割いたからな。

 しかし、ブリウトンの野郎をぶちのめしてやるべきだったと後悔しているよ」


「いえ。奴ら降伏したのでしょう?

 相手に屈辱を味あわせるのなら、それは命を奪うよりも効果的です。

 それに‥‥噂の通りだと、帝国にはもっと大きな痛手を負わせたと聞きましたが?」


その言葉に、全員が傾注するのがわかる。

室内の緊張感が高まり、誰かが固唾を飲む音が聞こえんばかりだ。


ブリウトンの降伏以上に、帝国に負わせた痛手とは、

つまりは、アマテオ帝国宰相の奥の手にして、シルバーノ大陸最強の武力集団

白銀騎士隊を率いる六騎士の一人、サルホーガ・イデラケウスの殺害を意味していた。


話半分に対談の内容を聞いていたリュンクにも

話の動向が分かり、濃い汗が吹き出す。


というのも、アンガフへ向かうに当たり

オーケンからいくつか箝口(きんこう)を強いられた話題があり

その一つが「サルホーガを殺害した事と、その事実」が在ったからだ。


オーケン曰く、過剰に希望を満たす事実は、人の心を制御できない状態に変え

それから生じた淀みは簡単には正せないらしい。


それをリュンクなりに解釈すれば‥‥。


おもちゃを買ってもらえると言われテンションが上がった状態で、

調子に乗っていると、想像もしていないタイミングで叱られる事がある。


そういった具合の話だろう。


嬉しくて楽しかった反面、叱られて萎縮した時の

惨めな気持ちったら無い、その後何をしても楽しく無くなる。


さて、オーケンはこの状況をどう乗り越えるのだろうか。


「噂には尾ひれがつくものだよ、トフォン市長。

 地方同盟などと名乗っていても、寄せ集めの集団だ。

 今回は緻密な計画の上、奇襲という形を取れたから良かったものの

 最上でも傭兵止まりの俺たちに伝説を覆す度量は無いさ。

 少々厄介な手合いが在ったことは認めるがな」


オーケンはそう言い、やんわりと否定成分の多い言葉で

話をはぐらかしたが、実情、否定も肯定もしていない。


しかし、それを聞いたアンガフ側の人間は、

安心か、もしくは落胆した様な表情になる。


「いやいや。これは失礼な質問をしました。

 確かに、我々は少々浮かれていた様ですな。

 話を戻しますが、我々とてその状況で指をくわえていた訳ではありません。

 この街は見ての通り穴だらけですから、採掘跡地として残る地形を利用すれば

 秘密裏に動くことも可能なのですよ」


「ははんっ!穴を使って帝国の穴を突いた訳だな!!穴だけに!!!!」


「え‥‥あっ‥はい‥ふははは」


一瞬困惑したトフォン町長だが

すぐ様、鋭いアイサインを放ち

それを起点に室内に乾いた笑いが巻き起こる。


リュンクは「マジでクソつまんない横槍入れんなや脳筋が」と赤面しながら思った。


アンガフ側にも、アマテオ帝国に反抗する備えが

多少なりともあった事で、この度の分断監視塔攻略に便乗した、

アンガフに残るアマテオ兵の一層も速やかに行われた。


トフォン町長が続けて言うには、

アンガフ北部から学園都市ビッショウに続く山道は、

数年前の土砂災害で殆ど閉ざされた状態であり

アンガフは袋小路状態でアマテオ兵の行動は、

その殆どがミゴーン大河川に面したケトアトに集中していた為、

そもそもアンガフ側には余り多くのアマテオ兵が居なかったらしい。


「ビッショウへの道は閉ざされているのか‥‥困りものだ。

 それはそうと、アンガフの食糧問題が深刻だな‥

 今日出された品々も余裕のない所から出たものでは?」


オーケンの言う事にもうなづける。

ただでさえ帝国に征服されている状態で、

街が袋状態となると食糧難は目に見えている。


「それは、まぁ地形に救われまして。

 採掘跡の洞窟を利用した保存食の蓄えが十分にあったのと、

 北アンガフと南アンガフの間には、深い渓谷と河川がありまして

 そこから良く太った川魚がたくさん捕れるのですよ。

 そうやって備蓄を補充できていたので食うには困りませんでしたな。

 まぁ‥どれも乾き物ばかりですので塩分過多は否めませんし‥

 困った事に‥‥これが酒に合いましてな」


トフォン町長は、顔をにやつかせ

肥えた腹をリズミカルに叩いてみせた。


「なるほどな。その立派な腹も帝国の仕業か」


どうやら町長お決まりのギャグなのだろう、

待っていたと言わんばかりにアンガフ側の人間にドッと笑いが起きる。


リュンクは「こう言う上手いギャグを勉強しろよな?」と、心の中で再びオーケンを詰った。


「しかし、粗方のアマテオ兵は排除しましたが

 全てのアマ兵を対処できたとは言いづらい。

 一応、学園都市ビッショウへの道に見張りを付けておりますが

 山を越えて敗走した者も居るでしょう、アマテオ本国に情報が漏れ

 討伐隊を編成されるのは時間の問題ですぞ」


「この時期の山は、養育期のマウテラや、ダイヅツロも活発。

 無事には山を越えられない‥‥と、考えるのは浅はかか」


「可能性としては十分あり得ます」


「討伐隊と言わなくても、キンビニー地方全体に残留するアマテオ兵だけでも相当な数が居る

 それが集められ大規模な軍団になれば、今の俺たちに勝ち目は無い。

 地の利があっても、良くて拮抗。善戦しても本国の増援が到着した時点でアウトか。

 キンビニー地方以外の情報はどうだ?西南のカターナ地方や、東のサジカンタン地方は

 今どうなっているか知らないか?」


町長のトフォンは、情報を持っている旨を明かし

アマテオ帝国の侵略戦争の情勢を語り始める。


〜以下説明〜【アマテオ帝国進軍に対する他地方の状況】

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


キンビニー地方を掌握したアマテオ帝国は、

その生産性を利用する形で

現在はカターナ地方と、サジカンタン地方へ進軍を進めている。


アマテオ帝国は戦力を分断し、

サジカンタン地方へは白銀騎士隊、

カターナ地方へはリシュモン教兵団が

各々割り振られ、どの地方も苦戦を強いられている。


特にカターナ地方は、首都のオラワーズが包囲され

紋術師達の攻防で保っているが、

【開拓の聖人代行カロマオ】率いるリシュモン修道女による

強烈な紋術攻撃により、制圧は時間の問題だと言う。


【宰相アイーロン・ゲルサウス】率いる

白銀騎士隊が進軍するサジカンタン地方は、

意外にも制圧が難航しており、

地方一の大国である農務のメルテロアと

北のガイブレド王国、南のロベニー王国が結託した事で

アマテオ帝国の正規軍と同等の戦力を獲得した結果

早期に侵略を許したバララン地方を舞台に

両者は大きな戦争を繰り広げていると言う。


だが、それでもなお、白銀騎士隊の戦力は凄まじく

当初は圧倒的な戦力で進軍していたのだが

サジカンタン地方のヴァリゲから突如として現れた

【ヴァリゲの死兵隊】を名乗る集団が加勢した事により

戦況が大きく変わり、攻めあぐねている状況との事。


ただし、アマテオの正規軍であるアマテオ帝国軍は、

侵略後、その土地に残留する役割がある為、

帝国内で待機しておりまだ余力がある状況なので、

他地方へ進軍しているからと言って、簡単に出し抜ける訳では無い。


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

〜以上説明終わり〜


「とまぁ‥こう言う(から)い状況でして

 アマテオ帝国軍が自由である以上、

 我々の反乱など簡単に嗅ぎつけてくるでしょうな」


他地方の情報を聞いたオーケンは、

訝しむ様子を隠さず、あご髭を擦りながら言う。


「驚いた。自分の街を袋状態だと言った人間の口から出たとは思えない。

 どのようにして、ここまでの状況を仕入れたんだ?」


驚嘆(きょうたん)のその言葉、驚愕(きょうがく)のその表情、

それを待っていたと、口の端を釣り上げたトフォン町長は、

「カラクリがあります」と、とにかく嬉しい様子で喋り始めた。


「一度、ケトアト方面へ横穴を掘ろうとしている事がバレた事で、

 そちら側は見張りが強化されたのですが、

 結託を望めない事もあってか学園都市ビッショウ方面への警戒は薄れておりましてな。

 古い採掘場を複雑に繋げる事で学園都市ビッショウへの開通に成功しました」


「それは本当か!?」


「はい!そこから何ども密偵を送っていますので、

 先ほどの情報を得られたと言う訳です」


「はっ!!辛酸を嘗める日々などと言っておきながら

 流石はアンガフの屈強な男共!崇敬に値する野郎どもだ!!」


「フハハハハ!!!そうですとも!!

 我ら穴掘り野郎どもは、壁をぶち抜いて生きてきたんだ!

 アマ公程度では、その歴史を覆す事はできませんぞ!!!」


トフォン町長は、大きな声で笑った後、

アンガフの戦力を丸ごと地方同盟に参入する事を告げた。


これにより地方同盟は、戦力を大きく拡大した上、

次の進軍への手掛かりとなる学園都市ビッショウへの道をも確保したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ