総集編(22話~31話)AI漫画一気読み
冒頭にAI漫画があります。ページ右上の表示調整/挿絵を表示で表示されます。苦手な方はOFFにしてください。
第22話 坂本龍馬は武市道場へ行く
第23話 坂本龍馬はニートになる
第24話 坂本龍馬は河田小龍に会う
第25話 坂本龍馬は河田小龍に弟子入りする
第26話 坂本龍馬はストーカーと婚約する
第27話 坂本龍馬は大地震に慄く
第28話 坂本龍馬の父・八平、没す
第29話 坂本龍馬は犬に負け江戸行を決める
第30話 坂本龍馬は千葉佐那子と再会する
第31話 坂本龍馬は佐那と正式にお付き合いを始める
土佐へ戻った坂本龍馬は、家族を前に江戸修行の成果を自慢した。すると姉の乙女が、言葉より立ち合いで確かめようと竹刀を取った。以前なら力で押し負けていたが、今は違う。千葉佐那に学んだ足運びと柔らかな技で打ち込みを流し、小手を取った。
「何じゃ、その気持ち悪い剣は」
「腕が上がったと言うてほしいのう」
文句を言いながらも、姉の口元は緩んでいた。江戸で散々打たれた甲斐があったと、龍馬も胸を張った。
武市半平太の道場では、昔馴染みが江戸の土産話を待っていた。女の話で盛り上がったところまではよかったが、佐那との仲を探られまいと黒船の話へ変えると、皆の顔つきが変わった。武市たちは尊皇攘夷を掲げ、国のために働く者を育てようとしていたのである。
桂小五郎との交際や、吉田松陰の密航計画を耳にしたことまで話すと、龍馬はいつの間にか大物扱いされた。頼まれるまま聞きかじりをつないで語れば、道場は歓声に包まれた。
だが、武市が本気で感激するのを見ると、気が重くなった。女の話を大げさにするのとは違う。龍馬はそれから、分からないことは分からないと答えるようになった。
剣では江戸仕込みの技が通じたものの、武市には勝てなかった。弟分の岡田以蔵まで腕を上げている。以前は自分について回った男が、今は武市先生のおかげだと喜んでいるのも、少し面白くなかった。
それでも暮らしに困らない龍馬は、やがて家で寝転がる日が増えた。佐那に会いたいし、江戸で剣も学びたい。だが再修行の段取りを考えると面倒になり、明日こそと思ううちに、明日が何度も来ていた。
そんな龍馬へ、武市が絵師の河田小龍を教えた。異国の話を聞きに行くと、蒸気船や政治、カンパニーという商売の仕組みまで出てくる。黒船の大きさばかりに驚いていた龍馬にも、それを造り、海の向こうから動かしてくる力が気になり始めた。
「日本はどうすればえいがでしょう」
「知った上で、自分で考えるしかないだろう」
答えを決めてもらえなかったが、分からないから調べるという姿勢は心に残った。龍馬は弟子となり、先輩弟子の長次郎と張り合いながら、本を開くようになった。
オランダ語は難しく、砲術の書物も簡単には読めない。それでも、何を知りたいのかは以前よりはっきりしていた。塾から逃げた勉強嫌いが、今は自分から質問を書き留めている。龍馬自身にも、不思議な変わりようだった。
その一方で、女の問題は相変わらずだった。平井加尾の草履の鼻緒を直すと、親切が思いがけず婚約騒動へ発展する。兄の収二郎が話を収めてくれたが、龍馬も軽い気持ちでは済まないと認め、頭を下げた。
嘉永七年十一月五日、土佐を大地震が襲った。坂本家の家族は無事だったが、城下には潰れた家が並び、海沿いには津波の被害も出た。武市の屋敷も傷んでいた。それでも、生きていれば直せる。二人は互いの無事を確かめた。
年が改まり、安政二年になると、父の八平が床に伏す日が増えた。家は兄の権平が取り仕切り、父の小言が減るほど、龍馬は落ち着かなくなった。
この頃、龍馬は徳弘孝蔵のもとで砲術を学んでいた。手順や角度を覚え、仲間と役割を分けて砲を扱う。実地の稽古で標的へ命中させると、小龍から聞いた技術を支える仕組みが、少し分かった気がした。
だが、その成長を父へ十分に話す時間は残されていなかった。安政二年十二月四日、八平の枕元へ家族が集まった。
「権平の言うことを、よう聞け」
「分かっちゅう」
家族に心配をかけるなと言い残し、父は息を引き取った。少しは安心させられただろうか。それだけは、もう聞けなかった。葬儀の後、龍馬は剣も学問も休み、父のいない家で、しばらく喪に服した。
安政三年、普段の暮らしへ戻った龍馬は、武市道場で以蔵に面を取られた。上達は認めていたが、正面から負けるとは思っていない。最初に剣を教え、飯まで食わせた弟分である。喜ばしい成長のはずなのに、どうにも腹が立った。
小龍の話を聞いていても、あの一本を思い出す。学問は面白い。だが剣でも、もっと強くなりたかった。龍馬は千葉定吉が再修行を後押ししてくれた書状を取り出し、権平へ相談した。
佐那を二年近く待たせた気まずさはあった。それでも、今度こそ行こうと思った。武市も江戸へ遊学し、以蔵も同行するという。龍馬は再戦を宣言し、竹刀を取った。江戸へ行くまで待ってやる理由もなかった。
九月、龍馬は再び江戸へ戻った。小千葉道場では、定吉に代わって重太郎が中心となっていた。佐那も変わらず稽古を続け、龍馬を静かに迎えた。
桂を訪ねれば、武市との交流や、下田に来たアメリカの役人ハリスの話が出た。以前より異国の動向に関心は持てる。だが龍馬には、佐那とまともに話すという身近な難題もあった。
先に稽古へ誘ったのは佐那だった。立ち合いでは打ち直す隙を捉えられ、また面を取られる。土佐で学問や砲術を学び、父を亡くしたことを話すと、佐那は静かに聞いた。その上で、遅れを取り戻すための指導が始まった。
足運び、構え、力み。細かく直され、少しよくなったと思えば、また打たれる。自分で戻ってきた道場なのだから、逃げるわけにもいかなかった。
ある夕方、重太郎に酒へ誘われた龍馬は、佐那への気持ちを問い詰められた。彼女は帰りを待ち、家事や料理にも励んでいたという。逃げ道を塞がれ、龍馬は好いていると認めた。
すると隣室から佐那が現れた。重太郎は二人を残して退室する。気まずさを越えて話すうち、龍馬は初めて、一緒に暮らす先のことを口にした。
「家にも話をせにゃならん。酔うた勢いで全部決めて、後で困らせとうはないきに」
正式に何かが決まったわけではない。それでも、佐那との将来から逃げるのはやめようと思った。
数日後、なぜか門人たちが競って稽古を申し出るようになった。二人の仲を察したらしい視線も気になる。佐那は力任せの打ち込みを注意したが、龍馬にも力みを直すよう告げた。修行相手が増えるのは結構なことだ。そう自分に言い聞かせながら、龍馬は熱心すぎる門人へ竹刀を構えた。




