串刺しゲーム
カクヨムでも投稿をしています。
目を開けるが、当然ルーズの姿はなかった。もうあちらから積極的に会うことは、できないということか。
ランクが一つ上がった。ランクをあと、三ランク上げれば、レイへの挑戦権を得ることができる。そのためには、早くゲームをしなくては。自然と足が進んだ。
前と同じ工程で、ゲームの参加権を得ると、クロノの声が響いた。
——これよりゲームを開始しますと。
目を開けると、そこには、変わらずプレイヤーが大勢乱立していて、顔色を伺いあっている。
「みなさんに今回やってもらうゲームは、串刺しゲーム。このゲームでは、真剣を使います。くれぐれもゲーム以外のことでは使わないように」
クロノが注意喚起をした。
そして、ルールが提示された。
一、ゲームは、二人一組を組んでもらう。
二、二人一組の決め方は、ランダムでの抽選とする。
三、決まった二人一組で、ジャンケンをしてもらう。
四、勝った場合は、剣を刺す役割。負けた場合は、樽の中に入る役割を担う。
五、樽の中に入った方は、樽に空いている無数の穴から一つ選ぶ。その穴に剣を刺された場合、プレイヤーは、脱落とする。
六、ゲームは、合図があるまで続ける。
七、ゲームの途中棄権は認めないものとする。
八、通過者は、一名とする。
このゲームは、剣を刺す方が有利だということがわかった。じゃんけんの必勝法は、よく理解しているので、問題は、その点においてはなかった。
「怖い! もうやりたくない!」
髪の毛が目にかかっている男が蹲って、泣き言を叫んでいる。情けがない。覚悟もない。
ランダムにペアが割り振られた。すると、その情けない男とペアだということがわかった。
「あぁー」ずっと泣き叫んでいる。
どうにかじゃんけんをして、勝ったので、剣を刺す役割に徹した。
相手が決めた穴を当てるゲーム。そうしたら、この男の泣き顔も見なくて済むし、情けない声も聞かなくて済む。
早く終わらせたいため、いつもよりも頭をフル回転させた。
穴の数は、とても多いが、無限ではない。そして、選ぶときには、何かしらのクセというものが関係していそうだ。
例えば、右利きだったら、右を選ぶというように。
結果、こう推定した。
自己肯定感が低いこの男は、樽の下の方を選びやすく、かつおそらく右利きなので、樽の右下が怪しいと。推定こそしたが、まったくもって外れている可能性のほうが高かった。
剣を刺した。男は、悲鳴をあげる。
それからも右下を刺していったが、どうも違うようだ。
とにかく終了の合図が出た。プレイヤーが結構脱落したのだろう。
辺りを見ると、剣を刺したプレイヤーは、残っているが、樽と、樽の中に入っていたプレイヤーの姿は跡形もなく消え去っていた。
再びランダムにペアが割り振られる。
次は、背の高い女だった。まるでゴボウのようだ。
このゲームでも、刺す側になり、前回とは違って、相手が選んだ穴を選ぶことができた。
それを繰り返して、最後の二人となった。
もちろん私と、もう一人のことだ。
じゃんけんをした。
当然、勝つだろうとばかりにたかを括っていたが、傲慢になっていたせいか、じゃんけんに初めて負けた。
このゲームのこの役割において、圧倒的不利なのはいうまでもない。
あえて、中央を狙うか、それとも——。
一つの穴を選んだ。
対戦相手であるプレイヤーは、何の迷いもなく刺した。
このゲームには、十分慣れているようだ。
ヒヤリとした瞬間こそあったが、結局選んだ穴には、刺されなかった。
そこで、終了の合図が出たので、役割を交代する。
選ぶ穴には、傾向があるが、それでもこのプレイヤーは、それらしい癖というものが特段なかったように感じる。掴みどころがない。
これは、もう勘に頼るしかない。
剣を刺していく。だが、完全に勘頼りというわけではなく、満遍なく刺していった。
そうすることによって、相手の動揺を誘えると思ったから。だが、これといった反応が得ることができない。
「諦めなよ」
悪戦苦闘していると悪魔のように誘惑してくる。
「僕には、きみが正解を見つけられずに、僕に敗北する未来が見える」
未來が見える? そんなことで揺さぶったってなにも変わらない。
だが、このタイミングでカマをかけたことでわかった。
言った瞬間に、剣を刺した所の近くが、正解の場所であることを。
付近を刺していき、5本目ぐらいで当たりだったため、やっとの思いで勝利した。
そして、私は、目を閉じて、次のゲームを待った。




