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転生遊戯、人類滅亡を阻止するために  作者: 不知火 数多


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22/24

二度目の敗北、そして、決意

カクヨムでも投稿をしています

いつもルーズのいた空間に来た。いつもは、すがすがしく感じる空も今は、私の目が濁っているせいか、それとも、この鬱々とした気分に呼応しているのか、とても薄暗く、不気味に映った。

 ルーズがなにもせずただこちらをじとりとした目で見つめてくる。

「ルーズ、今回は、負けたけど、次は、次こそは必ずか——」

「言い訳は、いいの。見苦しい。あなたは、負けた。期待したほどの存在では、なかった。ただそれだけ。……わたし、ひとつ嘘を吐いたの。何かわかる?」

「嘘?」

「わたしは、複数存在していない。ただあなたがとびっきり有望株だと聞いていたから、あなたと会っていただけ。でも、それも今回で最後ね。さようなら」

空間が裂けた。森は枯れ、川は、干からび、太陽は落ちた。

 今回の負けは、とても重要なものだということを理解するのには、もう時はすでに遅かった。ルーズは、美しく、気高かった。そんな彼女のことを私は、憧れていた。彼女のような自由な。そして、美しい生き方を。

 参加者数は、もう五千万人を超えていた。いつのまに、こんなに増えていたのだろうか。

 人類滅亡は、日に日に迫っている。こうしている間にも。今までは、これまで記憶のない状態での、人生の延長のような生き方をしてきたが、これからは、そんな生き方ではだめだ。そんな生き方では——。

 私の意識は、遥か彼方にとんだ。


 目が覚めると、研究所のような、消毒液のする閉鎖空間の中にいた。

 私は決めたのだ。人類滅亡を本気で阻止するとともに、必ず。必ずレイに勝利することを。私は来ていた白衣を脱ぎ捨てて外に出た。

 早くゲームをする方法を探さなくては。必ず負けた分の穴を埋めなくては。

 カシンならば、なにか知っているかもしれない。きっと、何度転生してもあの場所にいるはずだ。

 なんの根拠もないのに、自然と足がそちらを向いた。

 前回では、合言葉が必要だったので、カシンにこっそり教えてもらった。

そして、案内された場所には、以前とは、見た目の異なる外見だが、間違いなくカシンその人だろう。

「カシン、ちょっと、尋ねたいことがあるんだが」

「うん? あなたは、誰?」

「私は、あのブロックのある場所、ない場所を探すゲームで対戦した——」

「あーね。転生しちゃうとさ、まったく外見が違うからわからないね」

やっと誰か理解してもらったようだ。

瞼を振動させて、「それで話って?」と訊く。

「実は、ついさっき。いや、前回の人生で初めの負けを期してしまったんだ」

「へぇ、あなたが。意外ね」

「それで、すぐに負けた分を取り戻したい。そして、あわよくば人類滅亡の危機を阻止する」

「つまりは、声が掛かる前に、記憶が戻ってすぐゲームをしたいと。そういうことね?」

 あぁと、同意を示した。

「ひとつ、ひとつ心当たりがあるわ。あまりおすすめは、できないけど」

私の耳に口を近づけて、ボソボソと呟いた。

「ゲームには、極秘に裏ルールがある。その裏ルールの一つ。他のプレイヤーと契約を交わした時、すぐにゲームをプレイできる」

契約とはなんだろうか。する人がいなそうだから、よっぽど厳しい内容なのだろう。

「契約内容は、その人の代わりにゲームをプレイすること。その人自身は、転生し続けるという呪縛からは逃れることができる。ただし、契約を交わして、ゲームをした場合一回も負けてはならない。負けた場合は、一番下のライトグリーンのランクになってしまう。それは、避けたいからみんなやろうとしない」

目を伏せていて、それは危険さを物語っているようであった。

「構わない。覚悟はできている。それで、方法は?」

 まっすぐカシンの目を睨むように見た。はぁと呆れたように言った。

「そこまでいうのならば、教えてあげましょう。拳を重ね合わせてこう言うんです——」

その言葉は、どこか聞き馴染みがあった。

「よければ、紹介しましょうか? ちょうどいい相手がいます」

小走りにその人物がいるであろう方向に向かった。

連れてきた人は、様子がおかしかった。目の焦点が合わず、ぶるぶると痙攣している。

「この人は、度重なる痛みと苦しみに耐えきれず精神が壊れてしまった。けれど、いくら死んでも苦しみは続くから、なにもしないという選択をこの人は、選ぶしかなかった」

悲痛そうな表情でその人をカシンは、見ながら、自分の無力さに絶望しているようであった。

「でも、それは、きみが、契約を交わしてくれれば終わる。死という救いによって」

拳を突き出した。相手も突き出す。そして、言葉を唱えた。

すると、相手は、光り輝いて、足の方から消えていく。その人は、忘我の状態だったのが、通常の状態に戻ったかのような安らかな表情でこちらを見て「ありがとう」と感謝の言葉を残して消えた。

 残ったのは、その人に対する同情だけであった。

「契約は、成立。これからもやると思うから、そのときは、ここにきな。さっきみたいなやつは、大勢いるからね」

クロノの声が響いた。ここからは、ただのゲームではない。ここからは、全身全霊を尽くし、そして、人類を救う。

 そのときまで、私は、力を蓄え続けてなければならない。



 

 

 

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