表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原型:みんなが心躍る世界を■■したいですが(多少)手こずっています。  作者: アイティ
五章:ナゼ タタカワナケレバナラヌノダ?
97/271

ヒショウカイシ、イソゲヤイソゲ

斉藤 創は足を急がせる。

この状況になった経緯を思い浮かべながら、

神堕 愁やロゼや風吹など、いろんな人たちを心配しながら。

牢屋があったフロアから階段を駆け上り、ひたすら前に進む。

右左分かれる通路、十字の通路で、もう一人の自分にナビを聞くを繰り返し。

しばらく同じような廊下を駆けていると、もう一人の斉藤 創が疑問を抱く。


”……おかしい、なんで人がいないのかなぁ?”


「そういえば……? なんでいないんでしょう?」


自分に言われて彼女も疑問を抱いた。

こんなに広い場所に人一人いないなんておかしいと思う。

というか、今は知っている通路が何のための通路なのか全然分からない。

まるで迷宮のようなこの場所を通る人などいるのだろうか。

迷路と分かって入るのはまだしも、普通に過ごす場合こんなのは必要ない。


「”確かに、なんでこんな通路にしたんだろうね……

 私がここに連れてこられる時も、総大将殿の仲間も迷ってたし……

 まさかとは思うけど、迷うから見張りだのいないのかな? ザルじゃない?”」


彼女が思ったことは、もう一人の自分に聞こえているようだ。


「なんで迷うような物を作ったんですかね……」


「”さぁ? でもナイスアイデアだとは思うよ。

 牢屋から脱走した囚人を捕えるために、迷う時間で準備を整え、

 万全の状態で脱走犯に対応できるからね。まぁ、それをする側が……ねぇ?”」


「そうですけど……というか、よく道を覚えていますね。

 私だったら、確実に来た道を忘れちゃいますよ……? あれ?」


「”自分で言って自分で矛盾を生むんじゃないよ!

 今案内しているのは他でもない()だから! 私ができてるから私もできる!”」


もう一人の自分にツッコまれる始末である。

彼女はもう一人の自分のそれに少しだけ笑みを見せる。

自分と話をするのが楽しく思えてきた斉藤 創だが、

やはり、みんなのことが心配でままならない。


「”ん、よし、次は右! それで最後! そのまま突き進んで!」


「分かりました!」


もう一人の自分も、みんなの事を心配しているはず。

彼女は自分に従いながら、自分を思い、みんなを思って突き進む。

右に曲がったその先に、まばゆい光が見えた。

彼女はそこが出口だと確信し、その光に向かって全速力、


しようと思ったのだが。


走り抜けようとして足を踏み出したその時、

その出口につながる通路が、急に真ん中から両サイドへ割れた。

一瞬にして彼女(ともう一人の創)は、床が落とし穴になったことを理解する。

そして湧き上がる絶望と怒り。なんでこんな仕掛けがあるんじゃい。


「にゃぁぁぁぁぁ!!」

「”にゃぁぁぁぁぁ!?”」


そのまま、彼女は穴に落ちてしまった。

通路がそのまま縦になったようなそんな落とし穴に。

しかもその通路はとてつもないほど長く、先が見えそうにない。

もしかしたら無限に続いているんじゃないかと言うほど、長い。

落ちる時の風圧と恐怖で声が出ない、ので、

(ど、どうすればいいですか!)と、彼女は心の中で言葉を発した。


「”どっ、どうするって言われてもっ! 私もこれはっ……!!”」


(このまま落ちるしかないんですか!?)


「”そうだね! 落ちるしかないよっ! どこにかは知らないけどっ!”」


(……っ、千里眼で、この先を……!!)


千里眼(笑)スキルを使おうと思ってもなかなか作動しない。

じっと穴を見ようとも、力を抜いてみても、穴の先は見えない。

いや、もしかしたら作動しているけど同じ景色が続いてるだけかもしれない。

もしそうならどうしようもない。先も見えない落し穴にどう対応しろと。

それに今落ちるのをやめて止まったとして、どうやって上に登る?


「”そうだっ! 刀を壁に刺したらいいんじゃないかなっ!”」


すぐに彼女はもう一人の自分の意見に従い、刀の持ち手を触り、抜刀。

そして近くの壁に頑張って寄り、ブシュッと壁に突き刺しさそうと……


(いや無理ですよっ! どうやって刺すんですかっ!)


とにかく策を模索していたので、案をそのまま鵜呑みにしていたのだが。

普通に考えてブシュッとなんてできるはずない。

仮にできたとして、たぶん反動がすごいだろうから腕がもげる気がする。

いくら格子をケーキみたいに切れる刀でも、無理がありそう。


「”た、確かにっ!? あー!? うーんどしたらっ!?”」


自分に正直な彼女は迷走。とりあえず刀を鞘にしまう。

このまま落ちるのは嫌だが、どうしていいかまったく分からない。

どうにかしなければと考えていると、

目の前に左ポケットに突っ込んでおいたはずのGWEが目の前にあった。


それを見た彼女は左ポケットに手を突っ込み、

GWEがポケットから出てしまっている事を確認、そして、


(あっ、この紙! 突っ込んだままでした!)


いつぞやで見つけたコンビニにあった謎のメモがポケットに。

そういえばこんなのあった、なんてことを思いながらメモを見る。

とはいえこんな状況で紙切れが使えるはずもなく、すぐさまポケットに戻した。

そして、目の前で自分と一緒に落下してるGWEを手に取り、握りしめる。


(これでっ……()()()()()()()……!!)


なんて思った拍子に、急に落ちるスピードが減速し始め、完全に空中で静止した。


「……え?」

「”……ん? GWEって……使えたの……?”」


GWEが使えた。 え、なんで?

あの時、七騎士のキャラ設定が終わり、突如として現れたウィンドウには、

『GWEのシステムは一切使用不可能』そう書かれていたはず。

それに、その後1回GWEに触れても起動できなかった。なのに、これ。

狐につままれたような顔をした創は、GWEの中心にある、起動ボタンを押す。


「……あれ、起動できません。」

「”起動……できないけど、空だけ飛べるってことかな……?”」


なにがなんだかわからないが、

世界を作っている時に飛んでた感覚と、同じ感覚で飛んでいるのは確かであった。

なんであれ穴から抜けようと、彼女はその感覚で、いつも通りに上と飛ぶ。

そして奈落に近いところまで落ちていた彼女がまもなく落ちた穴付近まで来た。


最初、創をここまで落としたそれは、飛翔を遮る天井となっている。

彼女は片手で鞘から刀を引き抜き、天井付近まで来たと思えば空中静止。

そして刀を天井に突き刺して、円状に滑らかに斬ろうとする。

が、空中浮遊しながら、慣れない刀を片手で使っているせいか、

なかなか綺麗には切れずに歪んだ円になってしまう。


「”刀としての役割じゃないよね、これ。”」


「言わないでください、余計にそう思っちゃいます……」


「”っていう私が思ってるから言ってるんだ……

 あと、そこに居たら斬ったやつ落ちてくるっ……あーあ。”」


彼女が斬った歪んだ円は、

創の『でこ』に当たり、そのまま奈落へと落ちていった。

通路の床は薄かったため、そこまで痛くはない。そこまでは、だが。

GWEを持つ手ででこを抑え、痛がる彼女。

だが瞬時にそれをかみしめ、そのまま浮遊して開けた穴に入り、

光がさす、出口らしき物が奥に見える通路まで戻ってきた。


「……ふぅ、ここまで戻ってこれました……。」


一息ついて刀をしまい、彼女はGWEを見る。

まさか飛べることができたなんて、そんな驚きの余韻に浸る。

また、世界を造っていた時のことを思い出し懐かしむ彼女。

そして彼女は、GWEを握りしめ、光の方を見た。


「……待っていてください……。」

「”さ、レッツゴー! 飛べるならもう怖いものなしだ!」


呼吸を整え、光の方に体を向けて全速力。

風圧を顧みず、一瞬にして通路を抜けた彼女が見た物は……


「……あれ、巨人が……いなくなってる……?」

「”それどころか、跡すらなくない……ですか?”」


綺麗な青空が広がる、平和な江戸の光景がそこにはあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ